コーヒーがメラノーマのリスクを低下させる可能性

キャンサーコンサルタンツ

コーヒーは元気回復以上の効果があるかもしれない。新たな研究結果によれば、コーヒーを飲む人は悪性メラノーマになる可能性が低く、カップ1杯飲む度にリスクが低下するということである[1]。コーヒーは長らく各種の癌のリスク低下と関連があるとされてきたが、最新の研究で初めてメラノーマのリスク低下が示された[1-6]。

毎年、新たに皮膚癌と診断される100万人以上の患者のうち、およそ68,000人がメラノーマ関連である。アメリカでは毎年8,000人以上がメラノーマで死亡している。メラノーマが危険なのは、他の皮膚癌より身体の他の部位に転移する可能性が高いためである。

米国国立衛生研究所(NIH)と全米退職者協会(AARP)が実施した研究において、カリフォルニア、フロリダ、ルイジアナ、ニュージャージー、ノースカロライナ、ペンシルバニア、アトランタ、デトロイト在住のAARP会員350万人に食物アンケートを送付した。

Journal of the National Cancer Institute誌で発表された本研究の所見によると、コーヒーを毎日最も多く飲む人々は、コーヒーをあまり飲まないか全く飲まない人々よりメラノーマのリスクが低かった。

1日にカップ1~3杯飲む人々は、まったく飲まない人々と比べてメラノーマのリスクが約10%低く、4杯以上飲む人々はリスクが約20%低かった。

重要な点であるが、本研究はコーヒー摂取とメラノーマ発現リスクとの間に関連性を発見しただけであり、真の因果関係を証明するものではない。とはいうものの、確かに興味深い研究である。

過去の研究から、コーヒー摂取は太陽の紫外線に起因する皮膚細胞へのダメージを軽減することにより、他の皮膚癌を防ぐ可能性があることがわかっている[4]。

カフェインがこうした防御効果の原因であると考えることができる。研究者らはカフェイン入りコーヒーを飲む人々のみメラノーマのリスクが著しく低いことを発見した。過去の研究からカフェインが紫外線B波から皮膚細胞を保護しうることがわかっている。

コーヒー摂取が癌のリスクを低下させる可能性を示唆した研究は、これが初めてではない。過去の研究ではコーヒーが皮膚の基底細胞癌、子宮癌、前立腺癌、肝臓癌などの癌のリスクを低下させる可能性が示唆されている。

参考文献:

1. Loftfield E, Freedman N, Graubard B, et al. Coffee Drinking and Cutaneous Melanoma Risk in the NIH-AARP Diet and Health Study. JNCI J Natl Cancer Inst, 2015, 1–9.
2. Bravi F, Bosetti C, Tavani A, et al. Coffee reduces risk for hepatocellular carcinoma: An updated meta-analysis. Clinical Gastroenterology and Hepatology. 2013; 11(11): 1413-1421.e1.
3. Bravi F, Bosetti C, Tavani A, et al. Coffee drinking and hepatocellular carcinoma risk: a meta-analysis. Hepatology. 2007;46: 430–435.
4. Song F, Qureshi AA, Han J. Increased caffeine intake is associated with reduced risk of basal cell carcinoma of the skin. Cancer Research. 2012; 72: 3282-3289.
5. Je Y, Hankinson SE, Tworoger SS, DeVivo I, Giovannucci E. A prospective cohort study of coffee consumption and risk of endometrial cancer over a 26-year follow-up. Cancer Epidemiology, Biomarkers, & Prevention. Early online publication November 22, 2011.
6. Wilson WM, Kasperzyk JL, Stark JR et al. Coffee consumption and risk of lethal and advanced prostate cancer. Presented at the 2009 AACR Frontiers in Cancer Prevention Research conference. December 6-9, 2009. Houston, TX. Abstract A106.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 太田 奈津美

監修 朝井鈴佳(獣医学・免疫学)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

皮膚がんに関連する記事

進行メラノーマに初の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法をFDAが承認の画像

進行メラノーマに初の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法をFDAが承認

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ米国食品医薬品局(FDA)は30年以上の歳月をかけて、免疫細胞である腫瘍浸潤リンパ球(tumor-infiltrating lymphocy...
進行メラノーマにペムブロリズマブ投与後わずか1週間でFDG PET/CT検査が治療奏効を予測かの画像

進行メラノーマにペムブロリズマブ投与後わずか1週間でFDG PET/CT検査が治療奏効を予測か

米国がん学会(AACR)ペムブロリズマブの単回投与後のFDG PET/CT画像が生存期間延長と相関する腫瘍の代謝変化を示す 

ペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ)の投与を受けた進行メ...
MDアンダーソンによるASCO2023発表の画像

MDアンダーソンによるASCO2023発表

MDアンダーソンがんセンター(MDA)急性リンパ性白血病(ALL)、大腸がん、メラノーマ、EGFRおよびKRAS変異に対する新規治療、消化器がんにおける人種的格差の縮小を特集
テキサス大...
軟髄膜疾患のメラノーマに対する免疫療法薬の画期的投与法は安全で有効の画像

軟髄膜疾患のメラノーマに対する免疫療法薬の画期的投与法は安全で有効

MDアンダーソンがんセンター
髄腔内および静脈内への同時投与により一部の患者の転帰が改善
髄腔内(IT)の免疫療法(髄液に直接投与)と静脈内(IV)の免疫療法を行う革新的な方法は、安全であり、かつ、転移性黒色腫(メラノーマ)に起因する軟髄膜疾患(LMD)患者の生存率を上昇させることが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者による第1/1b相試験の中間解析によって認められた。