OncoLog 2014年10月号◆新たな併用療法はFLT3-ITD急性骨髄性白血病の治癒の可能性をもたらす | 海外がん医療情報リファレンス

OncoLog 2014年10月号◆新たな併用療法はFLT3-ITD急性骨髄性白血病の治癒の可能性をもたらす

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OncoLog 2014年10月号◆新たな併用療法はFLT3-ITD急性骨髄性白血病の治癒の可能性をもたらす

MDアンダーソン OncoLog 2014年10月号(Volume 59 / Number 10)

 Oncologとは、米国MDアンダーソンがんセンターが発行する最新の癌研究とケアについてのオンラインおよび紙媒体の月刊情報誌です。最新号URL

 

新たな併用療法はFLT3-ITD急性骨髄性白血病の治癒の可能性をもたらす

Fms様チロシンキナーゼ3(FLT3)遺伝子に遺伝子内縦列重複(ITD)のある急性骨髄性白血病(AML)患者は、plerixafor[プレリキサホル]、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、ソラフェニブの新たな併用療法によって長期寛解状態を維持できる可能性や、治癒を目指せる可能性がある。

 

AML患者の約30%の症例において、白血病細胞にFLT3-ITD変異を認める。FLT-ITD変異はAMLの最も多くみられる変異であり、AMLの標準治療では、これらの患者の生存期間中央値はわずか9カ月で、治癒するのは5%未満である。

 

マルチキナーゼ阻害剤ソラフェニブを含むFLT3キナーゼのいくつかの阻害剤は、FLT3-ITD AMLに対する活性を示しているが、どれも単剤の臨床試験では持続する効果を示していない。この新たな併用療法は、薬剤抵抗性の原因となる機序を克服するようデザインされている。

 

FLT3阻害に対する抵抗性

FLT3阻害剤単剤によるFLT3-ITD AMLの治療に持続する効果がみられない1つの理由は、骨髄間質細胞の保護作用である。FLT3-ITD変異は、骨髄内においてケモカイン受容体CXCR4およびそのリガンドである間質細胞由来因子1(SDF-1)のシグナル伝達を活性化する。いったん活性化すると、SDF-1/CXCR4シグナル伝達経路は、白血病細胞の増殖および動員を調節し、治療に対する抵抗性が生じる。

 

前臨床試験では、CXCR4阻害剤プレリキサホルおよびG-CSFは、白血病細胞を骨髄の保護的微小環境から血流へと動員することができ、血流内ではソラフェニブにより白血病細胞に対する細胞死誘導が可能であった。また前臨床試験では、プレリキサホルおよびG-CSFは白血病細胞および幹細胞を選択的に動員し、白血病細胞を骨髄に結合させるCXCR4およびその他の接着分子を不活化することも示された。さらに、これらの試験では、転写因子、マイクロRNA、細胞死調節因子の複雑なネットワークを介したCXCR4阻害によって白血病細胞が化学療法に反応するよう直接に感作されることも明らかになった。

 

臨床試験

この新たな併用療法は、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターにおいて2010年から開始され、最近まで登録を行っていた第1相臨床試験において検討されたものである。この臨床試験は、白血病細胞を誘き寄せて攻撃するためにプレリキサホル、G-CSF、ソラフェニブを用いた最初の試験であった。

 

臨床試験の対象は18歳以上の再発又は難治性FLT3-ITD AML患者であった。患者は、1~13日目にプレリキサホル(240mg/kg)、G-CSF(10mg/kg)の注射を1日おきに受け、28日サイクルで1日2回ソラフェニブ(400~600mg)の経口投与を受けた。この試験の患者の全奏効率は64%であった。36%が完全奏効で、あとの28%が部分奏功であった。治療関連死はなかった。また、この併用療法は正常な幹細胞に対して安全であることが示された。

 

白血病科の教授でありこの試験の試験責任医師Michael Andreeff医学博士は、6月に2014年ASCO(米国臨床腫瘍学会)年次総会においてこの結果を発表した。「高い奏効率に加え、特に興味深いのは、過去に行われた骨髄移植に効果がなかった2人の患者において効果があったということです。1人は完全寛解が1年間持続し、もう1人はほぼ2年間に渡る完全寛解を達成しました」とAndreeff医師は述べた。「現在利用できるようになりつつあるより効果のある薬剤によって、この治療戦略はFLT3-ITD AMLの治癒の可能性をもたらします」。

For more information, contact Dr. Michael Andreeff at 713-792-7261.

— Roberto Molar-Candanosa

 

The information from OncoLog is provided for educational purposes only. While great care has been taken to ensure the accuracy of the information provided in OncoLog, The University of Texas MD Anderson Cancer Center and its employees cannot be held responsible for errors or any consequences arising from the use of this information. All medical information should be reviewed with a health-care provider. In addition, translation of this article into Japanese has been independently performed by the Japan Association of Medical Translation for Cancer and MD Anderson and its employees cannot be held responsible for any errors in translation.
OncoLogに掲載される情報は、教育的目的に限って提供されています。 OncoLogが提供する情報は正確を期すよう細心の注意を払っていますが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターおよびその関係者は、誤りがあっても、また本情報を使用することによっていかなる結果が生じても、一切責任を負うことができません。 医療情報は、必ず医療者に確認し見直して下さい。 加えて、当記事の日本語訳は(社)日本癌医療翻訳アソシエイツが独自に作成したものであり、MDアンダーソンおよびその関係者はいかなる誤訳についても一切責任を負うことができません。

原文掲載日

翻訳鈴木久美子

監修佐々木裕哉(血液内科、血液病理/久留米大学病院)

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