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アスピリンによる有意な発癌率低下を示唆する研究報告

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アスピリンによる有意な発癌率低下を示唆する研究報告

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毎日アスピリンを低用量服用することで、数種類の癌の発生または死亡リスクが有意に低下することが、このほど複数の研究を検討して確認された[1]。

 

アスピリンが大腸癌および他の消化器癌のリスクを低下させることを示唆する臨床研究はこれまでに数件報告されている[2,3,4]。このことについてさらに検討するために研究者らは、10年間毎日アスピリン服用した人々を評価した研究および臨床試験から得られたあらゆるエビデンスを分析して、毎日のアスピリン服用で大腸癌の発生率が約35%、死亡率が40%低下することを確認した。これらの結果はAnnals of Oncology誌に掲載された[1]。

 

アスピリンはドイツのバイエル薬品株式会社が最初に開発した製品で、鎮痛や解熱に広く使われる安価な市販薬である。この薬を低用量(1日75~100㎎)服用すると、血管内の血液凝固リスクが低減し、心臓発作や脳卒中を予防できる。そのため、心疾患があり、一回以上心臓発作を起こしたことのある患者にしばしば処方される。今回の研究では、大腸癌のリスク低下に加えて、食道癌および胃癌のリスクが30%低下し、これら癌による死亡率が35%~50%低下することが判明した。

 

今回の研究の著者らは、50~65歳のすべての人がアスピリンの服用を開始し、10年以上毎日服用すれば、癌、脳卒中および心臓発作の発生率が男性で9%、女性で約7%低下すると思われると述べている。

 

しかしながら、アスピリンには胃部出血リスクなど重篤な副作用がいくつかある。10年間毎日アスピリンを服用する60歳の人では、消化管出血リスクが2.2%から3.6%へ増加し、少数ではあるが生命を脅かす可能性もある。この出血リスクのせいで、毎日定期的なアスピリン服用を患者に勧めていない医師もいる。この出血リスクはよく知られており、とりわけ高リスクの患者では無視されるべきではない。しかしながら、健康への関心が高い昨今、発癌リスクを抑える代替医療、抗酸化物質を多く含む栄養補助食品や食品、およびその他の栄養素に期待を寄せる人が多い中、1日1回のアスピリン服用は、消化管癌のリスクを低下させるもっとも簡単で、費用対効果の高い方法と言えるかもしれない。

 

参考文献:

1. Cuzick J, Thorat MA, Bosetti C. et al. Estimates of benefits and harms of prophylactic use of aspirin in the general population. Annals of Oncology. 10,2014 doi:10.1093/annonc/md
2. Burn J, Bishop T, Mecklin JP, et al. Effect of aspirin or resistant starch on colorectal neoplasia in the lynch syndrome. New England Journal of Medicine. 2008; 359: 2567-2578.
3. Burn J, Gerdes A-M, Macrae F et al. Long-term effect of aspirin on cancer risk in carriers of hereditary colorectal cancer: an analysis from the CAPP2 randomised controlled trial. Lancet. Early online publication October 28, 2011.
4. Tan X-L, Reid Lombardo KM, Bamlet WR, Robinson DP, Anderson K, Petersen GM. Aspirin, nonsteroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs), acetaminophen and risk of pancreatic cancer. Presented at the 102nd Annual Meeting of the American Association for Cancer Research (AACR), April 2-6, 2011, Orlando, FL. Abstract 1902.

 


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原文掲載日

翻訳木水友子

監修金田澄子(薬学)

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