OncoLog 2014年7月号◆子宮頸癌の検診方法としてHPV検査がパップテストに代わることはない | 海外がん医療情報リファレンス

OncoLog 2014年7月号◆子宮頸癌の検診方法としてHPV検査がパップテストに代わることはない

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OncoLog 2014年7月号◆子宮頸癌の検診方法としてHPV検査がパップテストに代わることはない

MDアンダーソン OncoLog 2014年7月号(Volume 59 / Number 7)

 Oncologとは、米国MDアンダーソンがんセンターが発行する最新の癌研究とケアについてのオンラインおよび紙媒体の月刊情報誌です。最新号URL

 

子宮頸癌の検診方法としてHPV検査がパップテストに代わることはない

最近、子宮頸癌の検診方法としてヒトパピローマウイルス(HPV)検査が承認されたことから、適切な検診ガイドラインをめぐって医療関係者内で混乱が生じている。

 

残念なことに、米国食品医薬品局(FDA)のコバスHPVテスト承認に関する報道の中には誤解を招くものもある。「一部のメディアがこれを『パップテスト(子宮頸部細胞診)はもう必要ない』と報じたのです」と、Andrea Milbourne医師(テキサス大学MDアンダーソンがんセンター婦人科腫瘍学・生殖医学科教授)は語った。「人々に間違った印象を与えます」。こうした混乱の結果、多くの患者だけでなく医師の中でさえも、子宮頸癌の検診ガイドラインについて不確かな状態である。

 

現行の検診ガイドライン

MDアンダーソンでは、米国コルポスコピー・子宮頸部病理学会(the American Society for Colposcopy and Cervical Pathology)が米国癌協会(the American Cancer Society)と米国臨床病理学会(the American Society for Clinical Pathology)とともに策定したガイドラインに従っている。子宮頸癌のリスク因子がない女性に対するガイドラインの推奨は下記の通りである。

・21~29歳の女性は、パップテストのみ3年に1回行う
・30~65歳の女性は、パップテストとHPV検査を5年に1回行う
・65歳より高齢の女性、および良性疾患で子宮摘出術を受けた女性は、検診を行う必要はない

パップテストで異常が認められた場合、病変のグレードに応じてパップテスト再検、HPV検査、即時的なコルポスコピーを行う必要がある。

 

提案された検診アルゴリズム

Milbourne医師の話によると、コバスHPVテストの製造元であるロシュ社は、FDAへの承認申請の際に次のような検診アルゴリズムを提案した。

・25歳より検診を開始し、初回はHPV検査のみ行う
・検査結果が陰性の場合、3年後に再検を行う
・HPV-16ないしHPV-18(最も頻度の高い2種の癌原生ウイルス型)が陽性の場合、コルポスコピーを行う
・他の癌原生ウイルス型(12種)が陽性の場合、パップテストを行う

この検診アルゴリズムはパップテスト単独の子宮頸癌検診と同等であることが臨床試験により示され、それによりコバスHPVテストが承認されることになった。だが、新しいアルゴリズムへの転換や現行の検診ガイドラインとの統合を行う前に対処すべき課題がいくつか存在する。

 

HPV検査単独による検診の限界

提案された検診アルゴリズムに関する懸念材料としては、臨床試験ではアルゴリズムの比較対象がパップテスト単独のアルゴリズムであることで、現在30歳以上の女性を対象に推奨されるパップテストとHPV検査の併用アルゴリズムではないことが挙げられる。

 

また、30歳未満の女性に対するHPV検査の信頼性に限界があることも懸念材料である。「30歳未満の女性に対してルーチンでHPV検査を行わないのは、ほぼすべての女性が初回ないし2回目の性交渉でHPVに暴露されるからです」と同医師は語った。「ですが、この年代で陽性と判定された女性の多くは、介入しなくてもウイルスが消滅する一時的なHPV感染であることが多いのです」。

 

さらに同医師によると、HPV検査の不適切な実施も多いとのことである。同医師は米国コルポスコピー・子宮頸部病理学会の2014年度隔年会議で議論された議題を挙げ、「FDAが定めたガイドラインに沿ってHPV検査を行っている医療機関は約20%しかないのです」と語った。

 

同医師は、パップテストで高グレードの扁平上皮内病変と判定された30歳未満の女性に対して不適切なHPV検査を勧めている医療機関が存在することにも言及した。「パップテストで高グレードと判定された女性は、ただちにコルポスコピーを行うべきです」と同医師は語った。「HPV検査は、パップテストで意義不明異型扁平上皮細胞と判定された場合の確定手段として行うべきです。 HPV検査が陽性であれば受診者はコルポスコピーを受けるべきです」。

 

展望

臨床医と研究者は子宮頸癌検診におけるパップテストとHPV検査の役割の明確化に取り組んでいるが、HPVワクチン接種は患者数の変化に影響を与える。Milbourne医師は、子宮頸癌に対するHPVワクチン接種のすべての効果を調べるには何十年もかかると述べる。「新しい領域です。ワクチン接種を受けた受診者に対するパップテストの感度がどの程度になるのかはわかりません。理論的に考えれば、HPVの感染率が低下するため、より感度の高い子宮頸癌の検査法が必要になります」と同医師は語った。

 

The information from OncoLog is provided for educational purposes only. While great care has been taken to ensure the accuracy of the information provided in OncoLog, The University of Texas MD Anderson Cancer Center and its employees cannot be held responsible for errors or any consequences arising from the use of this information. All medical information should be reviewed with a health-care provider. In addition, translation of this article into Japanese has been independently performed by the Japan Association of Medical Translation for Cancer and MD Anderson and its employees cannot be held responsible for any errors in translation.
OncoLogに掲載される情報は、教育的目的に限って提供されています。 OncoLogが提供する情報は正確を期すよう細心の注意を払っていますが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターおよびその関係者は、誤りがあっても、また本情報を使用することによっていかなる結果が生じても、一切責任を負うことができません。 医療情報は、必ず医療者に確認し見直して下さい。 加えて、当記事の日本語訳は(社)日本癌医療翻訳アソシエイツが独自に作成したものであり、MDアンダーソンおよびその関係者はいかなる誤訳についても一切責任を負うことができません。

原文掲載日

翻訳渋谷武道

監修石井一夫(ゲノム科学/東京農工大学)

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