レナリドミドは骨髄腫患者の二次性原発悪性腫瘍に関連

キャンサーコンサルタンツ

レナリドミド(レブラミド)は、特に経口薬メルファランと併用した場合、骨髄腫患者では二次性原発悪性腫瘍のリスクが増加するという試験結果が Lancet Oncology誌に掲載された。

多発性骨髄腫は、形質細胞(抗体を作る白血球)の癌である。2013年、米国では多発性骨髄腫と初めて診断された人は、推計で22,350人であった。

レナリドミドは、骨髄内の骨髄腫の増殖を止めるか遅くすることが可能な経口薬である。レナリドミドは、少なくとも1回の前治療を受けたことのある多発性骨髄腫患者に対して、デキサメタゾンとの併用で承認されているが、二次性原発悪性腫瘍に関連があるとされてきた。

この患者集団での二次性原発悪性腫瘍のリスクを評価するために、研究者は、2000年と2012年の間に実施された7つの第3相試験からの調査データを含むメタアナリシスを実施した。この解析には、初めて多発性骨髄腫と診断された3,218人の患者のデータを含めたが、そのうちレナリドミドを投与されていた患者は2,620人、投与されていなかった患者は598人だった。レナリドミドを投与された患者は全員、メルファランを基にした療法を受けた。

全ての二次性原発悪性腫瘍は、5年時の積算発生率がレナリドミドを投与された患者で6.9%、レナリドミドを投与されなかった患者では4.8%であった。二次性原発悪性固形腫瘍の5年時積算発生率については、レナリドミド投与集団では3.8%でレナリドミド非投与集団では3.4%であり、有意差はみられなかった。しかし、レナリドミド投与集団の二次性原発悪性血液腫瘍のリスクは増加した(レナリドミド投与集団3.1%に対し、レナリドミド非投与集団は1.4%)。

レナリドミドと経口メルファラン両方を投与した場合、メルファラン単独の場合に比較して、二次性原発悪性血液腫瘍のリスクが著しく増加した。これに対して、レナリドミドとデキサメタゾンまたはレナリドミドとシクロホスファミドを使用した場合、リスクは増加しなかった。

初めて多発性骨髄腫と診断された患者が、経口薬メルファランと併用してレナリドミドを投与された場合、二次性原発悪性血液腫瘍のリスクが増加すると結論づけた。研究者は、経口メルファランの代わりに、デキサメタゾンやシクロホスファミドなどを選択肢として検討するように勧めている。

参考文献
Palumbo A, Bringhen S, Kumar SK, et al: Second primary malignancies with lenalidomide therapy for newly diagnosed myeloma: a meta-analysis of individual patient data. The Lancet Oncology. 2014; 15(3): 333-342.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 大木勝弥

監修 林 正樹 (血液・腫瘍内科/社会医療法人敬愛会中頭病院)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

骨髄腫に関連する記事

再発難治性多発性骨髄腫にベランタマブ マホドチン3剤併用療法は新たな選択肢となるかの画像

再発難治性多発性骨髄腫にベランタマブ マホドチン3剤併用療法は新たな選択肢となるか

米国臨床腫瘍学会(ASCO)ASCO専門家の見解「多発性骨髄腫は 血液腫瘍の中では2 番目に多くみられ、再発と寛解を繰り返すのが特徴です。ダラツムマブ(販売名:ダラキューロ)、...
多発性骨髄腫の初期治療へのダラツムマブ上乗せ効果を示す試験結果の画像

多発性骨髄腫の初期治療へのダラツムマブ上乗せ効果を示す試験結果

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ新たに多発性骨髄腫と診断された患者を対象とした大規模ランダム化臨床試験で、標準治療レジメンにダラツムマブ(販売名:ダラキューロ配合皮下注)を...
意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果の画像

意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果

ダナファーバーがん研究所意図せぬ体重減少は、その後1年以内にがんと診断されるリスクの増加と関連するという研究結果が、ダナファーバーがん研究所により発表された。

「運動習慣の改善や食事制限...
【米国血液学会(ASH)】 ルキソリチニブ+ナビトクラックス併用で骨髄線維症の脾臓容積が有意に減少の画像

【米国血液学会(ASH)】 ルキソリチニブ+ナビトクラックス併用で骨髄線維症の脾臓容積が有意に減少

MDアンダーソンがんセンターMDアンダーソン主導の第3相試験で脾臓縮小患者数が約2倍に希少な骨髄がんである骨髄線維症の中リスクまたは高リスクの成人患者に対して、JAK阻害剤ルキ...