Blinatumomabは再発または難治性の成人急性リンパ芽球性白血病(ALL)の生存期間を延長する

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Blinatumomab(ブリナツモマブ)が完全寛解率を高め、再発または難治性B前駆細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)の成人患者の生存期間を延長するとの研究結果が、ジョージア州アトランタの米国血液学会第54回年次総会で発表された。

急性リンパ芽球性白血病(ALL)は、進行の速い白血球の癌である。成人における再発または難治性B前駆細胞性ALLでは、血液学的完全寛解(CR)を示すのは患者のわずか35~40%であり、全生存期間の中央値は4~6カ月で、予後不良である。

Blinatumomabは、二重特異性T細胞誘導(BiTE)抗体である。BiTE抗体は、同時に2つの異なる標的に結合するように作られている。この2つの結合能力によって、BiTE抗体はT細胞(脅威として認識した他の細胞を死滅させる白血球の一種)と腫瘍細胞を結合させる。Blinatumomabは、標的細胞の発現しているCD19、すなわち白血病やリンパ腫を引き起こす多くのB細胞の表面にある蛋白質へT細胞を向けさせるように設計されている。Blinatumomabは、米国食品医薬品局(FDA)から希少疾病用医薬品指定を受けており、現在、ALLおよび非ホジキンリンパ腫の治療のために検討されている。

研究者らは、再発または難治性B前駆細胞性ALLの成人患者36人においてBlinatumomabを評価するために、探索的第2相試験を実施した。患者らは28日間Blinatumomabの持続点滴静注を受け、その後14日間は無治療期間とした。奏効を示した患者らは、さらに3回の治療サイクルを受けるか、あるいは同種幹細胞移植に進むかの選択肢がある。

試験成績では、患者の69%が血液学的完全寛解(CR)あるいは部分的な血液学的回復を伴った完全寛解(CRh)に達し、また36人中10人(28%)が部分的な血液学的回復を伴った完全寛解(CRh)に達したことが示された。さらに、患者の88%(奏効を示した25人のうち22人)が、最初の2サイクルまでで、分子的寛解(PCR法によって測定された10–4未満の微小残存病変レベル)に達した。治療効果を示した患者25人の無再発生存期間の中央値は7.6カ月であった。初回再発の患者21人中20人(95%)が効果を示し、一方、残りの患者15人のうち6人(40%)が血液学的完全寛解または部分的な血液学的回復を伴った完全寛解(CR/CRh)に達した。13人の患者はBlinatumomabでの治療後に血液学的完全寛解または部分的な血液学的回復を伴った完全寛解(CR/CRh)を示し同種幹細胞移植に進んだ。

治療を受けた36人の患者全員の生存期間中央値は9.8カ月で、追跡期間の中央値を含め、全生存期間は10.7カ月である。血液学的完全寛解あるいは部分的な血液学的回復を伴った完全寛解(CR/CRh)に達した患者らの生存期間中央値は14.1カ月であり、Blinatumomab治療が奏効しなかった患者では6.6カ月であった。

有害事象は、全体的に忍容可能な範囲であり、頻度の高い有害事象は発熱、頭痛、振戦、および疲労であった。サイトカイン放出症候群(CRS)や、発作および脳症を含む中枢神経系の有害事象を示す患者もあった。一人の患者が、真菌感染症により治療を中止した後死亡した。

研究者らは、Blinatumomabが忍容性良好であり、非常に高い血液学的完全寛解率と分子的寛解率を示すと結論した。研究は、これらの結果を確認するため継続されている。

参考文献:
Topp MS, Goekbuget N, Zugmaier G, et al. Anti-CD19 BiTE blinatumomab induces high complete remission rate and prolongs overall survival in adult patients with relapsed/refractory B-precursor acute lymphoblastic leukemia (ALL). Blood (ASH Annual Meeting Abstracts) 2012; 120: Abstract 670.


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翻訳担当者 伊藤実花

監修 辻村信一(獣医学/農学博士/メディカルライター)

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