オマセタキシンのFDA承認

原文 2012/10/30掲載  2013/07/03更新

商品名:Synribo®

臨床試験情報、安全性、投与量、薬物間の相互作用および禁忌などの全処方情報がFull prescribing information(英文)で参照できます。

2012年10月26日に米国食品医薬品局(FDA)は、2種類以上のチロシンキナーゼ阻害剤に対し抵抗性を示すかまたは忍容性のない、慢性期または移行期の成人の慢性骨髄性白血病(CML)患者の治療薬として、オマセタキシン(Synribo®皮下注射液 テバ製薬製造)を迅速承認しました。

今回の迅速承認は慢性期の慢性骨髄性白血病 (CML-CP) または移行期の慢性骨髄性白血病 (CML-AP)患者が登録した2つの非盲検単一群臨床試験の成績を合わせたデータに基づくものです。

有効性評価の対象には、イマチニブを含む少なくとも2剤のチロシンキナーゼ阻害剤による治療歴がある、76人の慢性期CML患者と35人の移行期CML患者が参加しました。慢性CML患者の主要評価項目は細胞遺伝学的major寛解(MCyR)、移行期CML患者の主要評価項目は血液学的major寛解(MaHR)としました。CML-CP患者の18.4%が細胞遺伝学的major寛解(寛解期間の中央値は12.5 カ月)を達成し、CML-AP 患者の14.3%が血液学的major寛解(寛解期間の中央値は4.7 カ月)を達成しました。

オマセタキシンによる治療歴がある163人(108人の慢性CML患者と55人の移行期CML患者)を解析対象として安全性データが評価されました。別の非盲検単一試験の4人の慢性期CML患者のデータがオマセタキシンの安全性解析に加えられました。合わせた安全性解析対象集団の患者の20%以上で最も多くみられたグレード1から4の有害事象は血小板減少、貧血、好中球減少、下痢、悪心、倦怠感、無力症、注射部位反応、発熱、感染症およびリンパ球減少でした。5%以上の患者で最も多くみられたグレード3から4の有害事象は血小板減少、貧血、好中球減少、 発熱性好中球減少、無力症と倦怠感、発熱および下痢でした。

オマセタキシンの最終投与後30日間以内の死亡が、10例報告されました。死亡の原因は、疾患の進行が4例、脳内出血が4例、多臓器不全が1例、および原因不明が1例でした。

推奨初回投与量および投与スケジュールは、28日サイクルで、14日間1日2回オマセタキシン1.25 mg/m2を皮下注射するものとします。維持量および投与スケジュールは7日間1日2回28日サイクルでオマセタキシン1.25 mg/m2を皮下注射するものとします。

本概要はFDA血液腫瘍製品室長Richard Pazdur医師が作成いたしました。

この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。
FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。

翻訳担当者 芝原広子

監修 辻村信一(獣医学/農学博士/メディカルライター)

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