FDAが慢性リンパ性白血病の治療薬リツキサンを承認

FOR IMMEDIATE RELEASE: 2010年2月18日
Media Inquiries: Karen Riley, 301-796-4674
Consumer Inquiries: 888-INFO-FDA

FDAが慢性リンパ性白血病の治療薬リツキサンを承認

米国食品医薬品局(FDA)は本日(2月18日)、緩徐に進行する血液および骨髄の癌である慢性リンパ性白血病(CLL)を有する患者の治療薬としてリツキサン(リツキシマブ)を承認した。

抗癌剤であるリツキサンは、初めて化学療法を試みるCLL患者および他の抗癌剤で効果がみられなかったCLL患者を対象としている。リツキサンは他の2つの化学療法剤、fludarabine(フルダラビン)とcyclophosphamide(シクロフォスファミド)と併用して投与される。

CLLは50歳以上で発症することが多く、体内の免疫系の一部であるB細胞という白血球から生じる。毎年約16000人がCLLと診断され、4400人がCLLを原因として死亡する。

FDA医薬品評価研究センターの抗腫瘍薬製品室長であるRichard Pazdur医師は、「リツキサンは2008年以降でCLL治療薬として承認された3番目の薬剤であり、重篤で生命を脅かす疾患の患者に対する薬剤の開発と承認を促進するというFDAの使命を果たしている」と述べた。

FDAは他の化学療法でコントロールできないCLL患者を対象としてArzerra(ofatumumab)を2009年10月に承認し、治療歴のないCLL患者を対象としてTreanda(bendamustine)を2008年3月に承認した。

リツキサンは、ヒトの体内に備わる免疫システムではなくバイオテクノロジーにより製造されるモノクローナル抗体である。本剤は癌細胞の表面に結合し、患者の免疫システムが外来の病原体を攻撃するごとく、癌細胞を攻撃するのを容易にする。

リツキサンの安全性と有効性は、無増悪生存期間(癌の増悪がない状態で患者が生存した期間)を測定した2つの試験で評価された。

化学療法歴のない817人の患者を対象とした試験では、化学療法のみを受けた患者より、化学療法とリツキサンを併用した患者において無増悪生存期間が8カ月長かった。他の化学療法剤後に癌が進行した522人の患者を対象とした別の試験では、化学療法とリツキサンを併用した患者において無増悪生存期間が5カ月長かった。

FDAがリツキサンを投与された70歳以上の患者におけるデータを解析した結果、高齢患者にとって化学療法と本剤の併用が化学療法単独よりも有益であるという証拠は認められなかった。しかし、リツキサンが高齢の患者に有害であるという証拠もなかった。

リツキサンには、注入中または注入後24時間以内に起こる注入反応の枠入り警告がある。リツキサンによる治療を受けたCLL患者の59%にアレルギー様の注入反応(蕁麻疹、低血圧、悪寒、発熱、嘔気など)がみられた。

感染と戦う役割を持つ通常の白血球の減少もリツキサンの臨床試験に参加した患者で高頻度に認められた。

リツキサンに関する他の枠入り警告は、皮膚と口における発疹および疼痛、致死的になることが多い脳の感染である進行性多巣性白質脳症(PML)、短時間に多くの腫瘍細胞が死ぬことにより起こる腫瘍崩壊症候群などである。腫瘍細胞が本剤に殺される際に血流に毒素を放出する。この毒素は、急性腎障害や血中のカリウム値、リン酸塩値の上昇を生じ得る。

リツキサンはロシュグループのメンバーであるGenetech社(サンフランシスコ)が製造している。

******

******
張 知子 訳
吉原 哲(血液内科/造血幹細胞移植/兵庫医科大学病院)監修 
******


原文


【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

白血病に関連する記事

意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果の画像

意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果

ダナファーバーがん研究所意図せぬ体重減少は、その後1年以内にがんと診断されるリスクの増加と関連するという研究結果が、ダナファーバーがん研究所により発表された。

「運動習慣の改善や食事制限...
【米国血液学会(ASH)】進行した急性骨髄性白血病に新規メニン阻害薬が有望の画像

【米国血液学会(ASH)】進行した急性骨髄性白血病に新規メニン阻害薬が有望

MDアンダーソンがんセンター特定の遺伝子変異を有する白血病に有望な効果が、MDアンダーソン主導の2つの臨床試験で示されるテキサス大学MDアンダーソンがんセンター主導の2つの臨床...
再発した白血病、リンパ腫にネムタブルチニブが有望の画像

再発した白血病、リンパ腫にネムタブルチニブが有望

オハイオ州立大学総合がんセンターオハイオ州立大学総合がんセンター・アーサーG.ジェイムズがん病院リチャードJ.ソロベ研究所(OSUCCC – James)の研究者らが研究している新しい...
初発AMLへの高用量シタラビン併用療法は安全かつ奏効を改善の画像

初発AMLへの高用量シタラビン併用療法は安全かつ奏効を改善

MDアンダーソンがんセンター初めて急性骨髄性白血病(AML)と診断された若くて体力のある患者には、通常、シタラビンとアントラサイクリンの化学療法が投与されるが、最近、シタラビンの高用量...