2012/03/20号◆特集記事「主要医療団体が子宮頸癌検診のガイドラインを改訂」 | 海外がん医療情報リファレンス

2012/03/20号◆特集記事「主要医療団体が子宮頸癌検診のガイドラインを改訂」

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2012/03/20号◆特集記事「主要医療団体が子宮頸癌検診のガイドラインを改訂」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2012年3月20日号(Volume 9 / Number 6)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~
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◇◆◇ 特集記事 ◇◆◇

主要医療団体が子宮頸癌検診のガイドラインを改訂

子宮頸癌検診に関し、ほとんどの女性に対して検診実施の間隔を延長する新たな検診ガイドラインが先週、複数の医療団体から発表された。NCIが資金提供した研究を含む既存データの総括的考察をもとに、新たなガイドラインは現行の検診の有益性を最大にする一方で、潜在的な有害性を最小に抑えることを狙っている。

米国予防医療作業部会(USPSTF)が1つ目のガイドラインを発表し、アメリカ癌協会(ACS)、米国コルポスコピー・子宮頚部病理学会(American Society for Colposcopy and Cervical Pathology:ASCCP)、米国臨床病理学会(American Society for Clinical Pathology:ASCP)の3機関が、2つ目のガイドラインを発表した。これら2つのガイドラインは別々に作成されたが、勧告内容は一致している。

ACS/ASCCP/ASCPガイドラインは、共同でCA: A Cancer Journal for Clinicians誌、Journal of Lower Genital Tract Disease誌、American Journal of Clinical Pathology誌の3月15日号に発表された。USPSTFの勧告声明は同日のAnnals of Internal Medicine誌に掲載された。

子宮頸癌のイニシエーション(開始)および進行における持続発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV)感染の役割に対する理解の深まりと、子宮頸癌検診でのHPV DNA検査の実績評価に関する多数の研究結果により、子宮頸癌の検診ガイドラインを再評価する機運が高まった。

「これらの勧告は、女性が検診の恩恵を受ける一方で、その有害性を最小にするためのものです」と、NCI癌予防部門の乳癌・婦人科癌研究グループで、ACS/ASCCP/ASCPの検診ガイドライン作成に携わった Dr. Diane Solomon氏は話した。「検診の頻度は減りますが、より賢明な検診を実施するのです」。

この検診ガイドラインが適用されるのは、子宮頸部を有し、免疫機能の低下がなく、胎児期にジエチルスチルベストロール(DES)といったリスクを高める薬剤に曝露していない女性である。推奨される検診の間隔は、検査結果が正常であった女性に適用される。検査結果が異常であった女性はより頻繁に検診を受ける必要がある。

いつ子宮頸癌検診を行うべきか(年齢と間隔)

両方のガイドラインとも、性交渉の有無にかかわらず、21歳から検診を開始するよう求めている。これらのガイドライン作成グループは、性的接触で広がるほとんどのHPV感染症と、21歳未満で発見される子宮頸部の変化は自然に消退することが多く、癌化しないと結論づけた。

勧告ではまた、検診の間隔を延長することも推奨している。21~65歳の女性は3年毎にパップテスト(子宮頚部の細胞診)を受けるものとし、30~65歳でHPV DNA検査とパップテストを実施(併用検査)する場合は5年毎とした。ACS/ASCCP/ASCPは、パップテスト単独よりも併用検査の方が好ましいとする一方、USPSTFはNCI研究者との共同で実施したKaiser Permanente Northern Californiaでの併用検査プログラムに登録した女性の調査を含め、近年発表されたデータをもとに、併用検査も容認する立場をとっている。(「HPV検査とパップテストを併用すれば、子宮頸癌検診の間隔を延長できる」参照)

ACS/ASCCP/ASCPのガイドラインはまた、HPV DNA検査結果が陽性でパップテストが正常であった場合、またはHPV DNA検査結果が陰性でパップテストが基準値から若干外れている場合の経過観察に関する勧告も含んでいる。

「これは女性にとって良いニュースです」と、USPSTFの会長でベイラー医科大学の小児科教授である Dr. Virginia Moyer氏は発表資料の中で述べている。「エビデンスは、子宮頸癌による死亡を防ぐためにパップテストを毎年行う必要はないことを示しています。(パップテストによる)3年毎の検診で、毎年の検診と同じ数の女性を救うことができ、しかもコルポスコピー(膣鏡診)の回数は半減し、偽陽性の検診結果も減ります」。

「これまでパップテストは毎年実施でしたが、今ではパップテストが毎年は必要ないことや、毎年実施すると癌化しない病変に対して治療による害を与えるかもしれないことがわかりました」と、ACS/ASCCP/ASCPガイドラインの筆頭著者であり、ACSの乳癌・婦人科癌部長であるDr. Debbie Saslow氏は声明文で述べた。「HPV DNA検査の追加により、検診頻度をさらに減らすことが可能です。両方の検査結果が陰性であれば、癌および前癌状態になるリスクは非常に低いためです」。

子宮頸癌検診を行うべきでないのはどのような場合か

新たなガイドラインによれば、子宮摘出手術を受け、すでに子宮頸部を有しない女性は子宮頸癌検診を受けるべきではない。同様に65歳を超えた女性についても、過去10年以内のパップテストが3回連続して陰性、あるいは併用検査で2回連続して陰性で、かつ最後に受けた検査が5年以内の場合は、検診を受けるべきではない。しかしながら、子宮頸部の前癌病変や子宮頸癌の診断を受けた履歴がある場合は、65歳を超える年齢になったとしても、少なくとも20年間は医師の推奨に従って検診を続けるよう新たなガイドラインは勧告している。

さらに同ガイドラインは、HPV DNA検査の単独使用については対象者の年齢にかかわらず反対し、また30歳未満の女性に対する併用検査の実施にも反対している。これは、HPVは若い女性にはごく普通に見られるが、大部分のHPV感染症は一過性のものであるためで、「HPV検査は30歳から主要な検診手法になります。その年齢になるとHPV感染者が減り、HPVの陽性結果が何か臨床的な潜在リスクが高まっていることを示します」と、Solomon氏は述べた。

子宮頸癌や前癌状態の診断を受けた人、免疫機能の低下を含め子宮頸癌のリスクが高い人、生まれる前にDESの曝露を受けた人は、より集中した検診や他の検診が必要となる場合もある。

子宮頸癌検診の今後の見通し

婦人科医や家庭医が新たなガイドラインに従うかどうかは不明であり、今後の研究の対象になりそうである。「教育を重視する必要があります」と、Solmon氏は言う。「これらの勧告の合理性と科学的根拠を理解するにつれ、臨床医も勧告を受け入れて実施するようになるでしょうが、時間がかかるでしょう」。

「何十年も前に臨床医と女性達の頭の中に、年1回のパップテストの必要性を植え付けるのに成功しました。あまりにうまくいきすぎて、人々をその過去から引き離すのが難しくなっています」と、Solomon氏は続けた。「安全な範囲内の最長の検診間隔で、検診の感度が最大になるように子宮頸癌検診を実施するのが最善です。これにより、女性の安全性を確保し、かつ検診のやりすぎによる『ノイズ』を減らすことができます。実際には臨床的な意味がないのに、精密検査が必要になると、不安と不必要な追加検査の原因になります」。

しかしながら、両方のガイドラインの著者は、子宮頸癌検診を受けていないか、めったに検診を受けない女性達の検診機会を増やすことのみが、子宮頸癌とそれによる死亡を減らすことになると強調した。

— Jennifer Crawford

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片瀬ケイ 訳
斎藤 博(消化器内科・検診/国立がんセンター がん予防・検診研究センター) 監修
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