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2012/01/24号◆特集記事「遺伝子異常により稀な脳腫瘍の治療効果を予測」

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2012/01/24号◆特集記事「遺伝子異常により稀な脳腫瘍の治療効果を予測」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2012年1月24日号(Volume 9 / Number 2)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~
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◇◆◇ 特集記事 ◇◆◇

遺伝子異常により稀な脳腫瘍の治療効果を予測


放射線治療に化学療法を併用すると、悪性度の高い稀な脳腫瘍である乏突起膠腫患者の生存期間中央値が2倍となった。これらの患者全員に1p19q同時欠失(染色体1番短腕および19番長腕が同時に欠失する染色体異常)として知られる遺伝子異常が認められた。

第3相臨床試験から得た経過観察中央値11年のこの結果は、臨床試験に参加していない患者の標準治療に影響を与えるだけでなく、現在進行中のNCI支援による臨床試験にも変更をもたらす。NCIと米国腫瘍放射線治療グループ(RTOG)はこの結果について1月19日記者会見でこのように報告した(こちらこちら)。

1p19q同時欠失を有する腫瘍のある患者のうち、化学療法と放射線を併用した患者の生存期間中央値は14.7年、放射線療法のみを受けた患者の生存期間中央値は7.3年であった。

試験責任医師らは、他の脳腫瘍患者の治療に対する重要性を考慮し、学会発表に先立ち、通常とは異なる過程でこの結果を公表した。

「われわれは、患者が最も効果的な治療を確実に受けられるように、この情報を共有したいと考えました」と、本研究の統括著者でありRTOGグループ責任者であるエモリー大学のDr.Walter Curran氏は語った。RTOGは、RTOG 9402と呼ばれるこの臨床試験を、他の4つのNCI支援多施設共同臨床研究グループと共に実施した。

1994年に開始されたこの臨床試験では、乏突起膠腫患者291人が放射線治療単独の標準治療群か、放射線とプロカルバジン+ロムスチン+ビンクリスチン(PCV)の多剤化学療法併用群にランダムに割り付けられた。

2006年に掲載された経過観察期間3年以上における結果では、化学療法併用群の患者に全生存期間の有益性は認められなかった。しかしながら、治療群に関係なく、1p19q同時欠失のある患者の生存期間は7年以上であり、同時欠失のない患者の2.8年よりも有意に長かった。

さらに長期間の11年にわたる経過観察に基づく新しい解析から、「化学療法と放射線の併用が奏効する患者を判断するマーカーとして、1p19q同時欠失という染色体構造を利用できる、強力な証拠を得ました」と、主席試験責任医師であるカルガリー大学(カナダ)のDr.Gregory Cairncross氏は述べた。

乏突起膠腫は脳の神経組織に形成される腫瘍で、脳と中枢神経系に発生する原発性腫瘍全体の約9%を占める。主に成人に発生し、発症年齢は平均35歳である。患者の約半数が1p19q同時欠失を含む腫瘍を有し、その腫瘍では染色体の1番と19番の一部分が同時に欠失している。

新しい結果は「この染色体同時欠失を有する患者には、その生存率に与える有益性により、標準治療として初回治療から放射線と化学療法の併用を考慮すべきであることを示しています」と、Curran氏は述べた。

腫瘍の染色体のどちらか一方だけが欠失している患者(1pまたは19q)、あるいは欠失のない患者に関しては、放射線単独群と化学療法併用群の間に生存期間の差は見られなかった(単独2.6年、併用2.7年)。

今回の結果報告を受け、現在実施中の、1p19q同時欠失を有し、悪性の脳腫瘍である退形成性神経膠腫患者を対象とした、放射線治療単独療法群と薬物テモゾロミドを用いた放射線化学療法併用群を比較する、NCI支援のランダム化臨床試験への登録が即時中止された。この国際臨床試験はCODELと称され北アメリカとヨーロッパで患者が登録されていた。

「われわれの試験により、同時欠失のある患者では、放射線単独療法は化学療法を併用するよりも効果が劣ることが示されましたので、一刻も早くCODELへの患者集積を中断し、この臨床試験をいかに変更すべきか、ランダム化により放射線単独療法群に割り当てられた患者にいかに対応すべきかを検討することが必要となりました」とCairncross氏は電子メールで伝えた。

「われわれは、放射線と化学療法を併用した方が優れているという事実が判明した今となっては、もはやこれ以上1p19q同時欠失の腫瘍を有する患者を放射線単独療法群に割り付け続けることはできません」と、NCI支援多施設共同臨床研究グループが実施する臨床試験の監視機関である、NCI癌治療評価プログラムのDr. Malcolm Smith氏 は述べた。「臨床試験に参加していない患者にとってもこの新情報は有益となるでしょう」。

Cairncross氏らは6月にシカゴで開催される米国臨床腫瘍学会年次総会に向けて本臨床試験結果に関する発表抄録を提出した。

— Eleanor Mayfield

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武内優子 訳
寺島慶太(小児科/テキサス小児病院) 監修
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