テモダールTemozolomide/テモダール®と放射線療法の組み合わせが、膠芽細胞腫(GBM)患者の治療成績を改善する | 海外がん医療情報リファレンス

テモダールTemozolomide/テモダール®と放射線療法の組み合わせが、膠芽細胞腫(GBM)患者の治療成績を改善する

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テモダールTemozolomide/テモダール®と放射線療法の組み合わせが、膠芽細胞腫(GBM)患者の治療成績を改善する

キャンサーコンサルタンツ
2005年3月

European Organization for Research and Treatment of Cancer (EORTC)と、National Cancer Institute of Canada (NCIC)による第Ⅲ期の多国籍研究に携わっている研究者らの報告では、テモダール®(テモゾロマイド)による放射線化学療法同時併用療法ののちテモダールによる維持療法を受けた多形性膠芽腫(GBM)の患者は、放射線療法のみを受けた患者よりも、有意に長く生存した、ということである。しかし、この利益を得ているのはテモダールを投与されている患者の半数のみで、反応を示す集団は、腫瘍細胞のDNA検査によって特定できたとしている。これらの結果は、2005年3月10日発行のNew England Journal of Medicine誌に公開されている。[1],[2],[3]

典型的なGBMの患者は予後が悪く、姑息的に治療される場合がほとんどである。GBM患者の標準的な初期治療は、外科手術と、術後放射線治療である。歴史的に、化学療法は治療結果にほとんど影響を与えてこなかった。しかし、補助療法としてテモダールを投与した第Ⅱ相の研究では、放射線治療と組み合わせると、期待の持てる結果が示された[4]。これらの結果が、今回の無作為抽出臨床試験のきっかけとなった。

 

この臨床試験は、IV期のGBMと新たに診断された573症例からなる。患者の年齢の中間値は56歳だった。両方の治療群に、予後因子の違いはなかった。すべての患者に外科手術がなされた。16%が生検のみで、84%が部分切除(40%)または完全切除(44%)であった。患者は通常の放射線治療(35-42日間連日)と、同様の放射線治療にテモダールを同時併用の後6サイクルのテモダールの補助療法(28日ごとに150-200mg/m2を5日間)とに無作為に振り分けられた。

 

テモダールを投与された患者は、有意に長く生存した。治療から2年後、放射線治療単独の患者に比べ、テモダールを投与された患者の方が有意に多く生存していた。(表参照)

 

 

テモダール®と放射線治療併用

放射線治療単独

平均余命

14.6ヶ月

12.ヶ月

平均無増悪生存率

6.9 ヶ月

5.0 ヶ月

2年後の生存率

26.5%

10.4%

2年後の無増悪生存率

10.7%

1.5%

 

この無作為臨床試験で、テモダールと放射線治療の組み合わせが、GBMの利用可能な治療法の中で最善であることが確認された。過去の研究では、減量手術を受けた若年の患者が最も高い生存率を有している。

 

この研究に関わっている研究者たちは、575個の腫瘍のうち、245個でDNA検査を行うことができた。彼らの仮説は、MGMT(メチルグアニンDNAメチル基転移酵素)によるDNA修復遺伝子を、プロモーターをメチル化することで発現を静めるとDNA修復がゆるやかになり、結果としてテモダールにより良く反応する、というものであった。45%の症例でMGMT遺伝子のプロモーターがメチル化されており、メチル化のみられる腫瘍の方が、テモダールにより良く反応していた。表2はMGMT遺伝子のプロモーターがメチル化されていた患者、されていなかった患者それぞれの、テモダールによる治療結果を示している。

 

表2: MGMT遺伝子のプロモーターのメチル化の効果

 

 

テモダール®と放射線治療併用(n=100)

放射線治療単独(n=106)

メチル化されたMGMT

平均生存期間=21.7ヶ月

平均生存期=15.3ヶ月

メチル化されたMGMT

2年間の生存率=46%

2年間の生存率=22.7%

メチル化されていない MGMT

平均生存期間=12.7ヶ月

平均生存期間=11.8ヶ月

メチル化されていない MGMT

2年間の生存率=13.8%

2年間の生存率=<2%

 

コメント

MGMT遺伝子のメチル化をPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法で判定することは、患者がアルキル化薬剤療法が有効か否かを判断するのに役立つと、筆者らは結論づけている。MGMT遺伝子のプロモーターがメチル化されない患者は、テモダールによる明らかな効果は期待できないため、他の治療がなされるべきかもしれない。筆者らは、これらの結果は、アルキル化薬剤による、他の腫瘍の治療にも適用できるのではないかと予想している。

参考文献:
[1] Stupp R, Mason WP, van den Bent MJ, Weller M, et al. Radiotherapy plus concomitant and adjuvant temozolomide for glioblastoma. New England Journal of Medicine. 2005;352:987-996.

 

[2] Hegi ME, Diserens A-C, Gorlia T, et al. MGMT gene silencing and benefit from temozolomide in glioblastoma. New England Journal of Medicine . 2005;352:997-1003.

 

[3] DeAngelis LM. Editorial: Chemotherapy for brain tumors-a new beginning. New England Journal of Medicine. 2005;352:1036-1038.

 

[4] Stupp R, Dietrich P-Y, Kraljevic SO, et al. Promising Survival for Patients with Newly Diagnosed Glioblastoma Multiforme Treated with Concomitant Radiantion plus Temozolomide Followed by Adjuvant Temozolomide. Journal of Clinical Oncology . 2002;20:1375-1382.

 


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翻訳水向 絢子

監修平 栄(放射線腫瘍科)

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