腎細胞癌でのスーテント[Sutent®]の毒性に対する危険因子が明らかになる

キャンサーコンサルタンツ
2008年7月

オランダの研究者らは、進行腎細胞癌(RCC)のスーテント(スニチニブ)による治療後の重篤な毒性は、体表面積が小さいこと、高齢であること、性別が女性であることと関連があると報告した。本試験の詳細はBritish Journal of Cancer誌2008年7月15日号に掲載されている。


スーテントは、fms様チロシンキナーゼ3(Flt3)、Kit、血管内皮増殖因子(VEGF)、および血小板由来増殖因子(PDGF)受容体に対する経口のチロシンキナーゼ阻害剤で、現在、種々の悪性腫瘍に対する治療薬として臨床試験が行われている。スーテントは抗血管新生作用のような標的作用や癌細胞に対する直接殺傷効果などによって抗癌活性を発揮する。第1および第2相臨床試験において、スーテントは進行腎細胞癌および他の固形腫瘍に対する抗腫瘍および抗血管新生作用を示した。2006年1月、米国食品医薬品局は、グリベック[Gleevec®](メシル酸イマニチブ[imatinib mesylate])投与後に進行が認められた消化管間質腫瘍と進行腎細胞癌に対して、スーテントの使用を認可した。スーテントによって起こる毒性については、進行腎細胞癌患者全体では不明確であった。最近、ハーバード大学の研究者らが、スーテントによる治療と、イマニチブ抵抗性の転移性消化管間質腫瘍患者の数名で起こった心臓障害との関連を報告した。

今回の試験では、治験薬利用範囲拡大制度でスーテントによる治療を受けた進行腎細胞癌患者のうち、任意に選ばれた82例における毒性を評価した。淡明細胞以外の組織型と脳転移例は、この治療から除外された。本試験において、以下のようなスーテントの有効性が確認されている。

病勢コントロール率は70%で、そのうち部分奏効率は20%であった。

患者の57%で投与量の減量が必要であったが、大多数は重篤な毒性のためであった。

最も頻度の高い毒性は口内炎、疲労、手足症候群であった。

49%には重篤な毒性があり、投与量を減量または投与を中断した。

毒性は、体表面積が小さいこと、高齢であること、性別が女性であることと関連性があった。

コメント:
これらのデータは、スーテントによる毒性の危険性が高い進行腎細胞癌患者を明確にする一助となる。

参考文献:
1 Van der Veldt AAM, Boven E, Helgason HH, et al. Predictive factors for toxicity of sunitinib in unselected patients with advanced renal cell cancer. British Journal of Cancer. 2008;99:259-265.


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翻訳担当者 大隅郁子

監修 島村義樹(薬学)

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