2007/04/17号◆AACR年次総会報告 | 海外がん医療情報リファレンス

2007/04/17号◆AACR年次総会報告

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2007/04/17号◆AACR年次総会報告

同号原文
NCI Cancer Bulletin2007年4月17日号( Volume 4 / Number 15)

●2007/4よりNCI隔週発行となりました
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◇◆◇AACR年次総会報告 ◇◆◇

HPVワクチンが長期間のウイルス予防効果を示す

2種類のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの長期効果に関する新しいデータが本日のAACR年次総会で発表され、それらのワクチンが前癌病変及び70%以上の子宮頸癌との関連性がある2種類のHPVに対して強力な予防効果があることが示された。

グラクソ・スミスクライン社が製造したサーバリックスと呼ばれる、未だ試験段階のワクチンに対する第2相臨床試験への参加者の評価は現在も続けられており、収集されたデータによると、延長されたフォローアップ期間のデータが利用可能な776人の参加者中98%以上にHPV16型および18型に対する予防効果が5年以上維持されたことが示された。これらのHPVは最も発癌性がある型と考えられている。

本試験の代表責任医師であるルイスビル大学のStanley Gall医師は、HPV16型および18型の偶発感染に対するほぼ完全な予防(98%)、6ヶ月から12ヶ月間にわたる持続感染に対する100%の予防、およびHPV関連の前癌腫瘍のほとんどの事例に対する増殖予防が見られたことを提示した。グラクソ・スミスクライン社製造のワクチンはHPV16型および18型に対する予防のみを意図されているが、このワクチンはおよそ10%の子宮頸癌の原因とみられるHPV45型(88%)およびHPV31型(54%)に対する偶発的感染も予防することが示されたと、同氏は解説した。グラクソ・スミスクライン社は3月29日にサーバリックスの販売承認をFDAへ申請した。

昨年FDAによって承認されたHPVワクチンであるガーダシルの第3相臨床試験に参加した1万2000人の女性に関して、長期データも発表された。インディアナ大学医学部のDarron Brown医師は、ワクチンを3回投与するレジメンが終了した後3年経過後も、ガーダシルはHPV16型、18型に関連する前癌病変に対してほぼ完全な予防効果があり、HPV16型、18型に対する抗体価が非常に高値を維持していることを提示した。

5年間のフォローアップデータが利用可能な241人の女性においては、ガーダシルはHPV16型、18型に関連する前癌病変に対する100%の予防効果を示したことを同氏は報告した。また、その他のHPVの型に対するワクチンの交差予防効果について、あらかじめ計画されていたサブスタディが完了したことを補足した。最終的な結果については発表には至らないが、利用可能なデータは「非常に有望なもの」であるとブラウン氏は述べた。

遺伝子組み換えウイルスが前立腺癌に殺細胞性タンパク質を搬送する

コロンビア大学の研究者らは、癌細胞のみで複製し、癌細胞に対して毒性を持つタンパク質を産生させるように改変したウイルスを用いた新しい遺伝子治療技術を開発した。実験室での研究結果については2007年度AACR年次総会で発表され、前立腺癌のマウスモデルにおいて原発腫瘍および転移腫瘍の両方が完全に消滅したことを示した。

研究者らはサイトカインIL-24を産生するmda-7/IL-24と呼ばれる遺伝子を中心としてシステムを構築した。このサイトカインは免疫反応にとって重要なシグナルタンパク質であり、高レベルで産生されると癌細胞を殺す。彼らは遺伝子のベクターとなるアデノウイルスを組み換え、癌細胞内で増殖できるようにした。このウイルスは癌細胞のみに発見された転写因子に反応して複製するように改変された。ウイルスが癌細胞へ侵入すると、何百万もの自らのコピーを複製しIL-24を産生する。そして癌細胞を殺すとともに血流中に大量のウイルスを放出しその他の癌細胞に感染して殺す、と研究者らは説明した。

実験室での研究によって、ウイルスの複製は癌細胞のみに限られ、癌細胞の成長を阻害し細胞死を促すことを確認した後、研究者らは治療抵抗性前立腺癌の異種移植片マウスモデルを用いて遺伝子治療システムの試験を行った。本研究の指導者であるコロンビア大学のDevanand Sarkar医師は、ウイルスによって原発腫瘍のみならず転移腫瘍も完全に消滅したと説明した。

本治療法の以前のバージョンについてはすでに第Ⅰ相臨床試験が行われ、28日間の治療サイクルを終えた患者のうち数名については有意義な臨床反応が見られた。完全な機能の免疫システムを持つマウスを用いた次世代治療をテストする試験が現在行われていることをSarkar医師は述べた。

アフリカ系アメリカ人の結腸癌発症リスクは遺伝子変異に関連する

AACR年次総会で発表された、現在進行中の研究結果によると、炎症の調節に関る遺伝子にある4箇所のDNA変異のうち一つでも変異があると、アフリカ系アメリカ人の結腸癌発症のリスクが有意に増加する。4箇所全ての変異が2コピーずつある黒人男性はさらに発病リスクが高まることを研究チームは発見した。

Cancer PreventionフェローであるKrista A. Zanetti医師およびNCIのCCR(癌研究センター)のLaboratory of Human Carcinogenesis(ヒト発癌研究所)所長のCurtis C. Harris医師によると、この発見により、白人と比較した場合過去30年間にわたり観察されてきたアフリカ系アメリカ人の高い結腸癌の罹患率および死亡率に対して深い理解がもたらされる可能性がある。

アフリカ系アメリカ人の症例と対照サンプルが小規模であるにも関らず、「これらの結果はとりわけ強固である」とZanetti医師は述べた。この遺伝子変異は単一塩基多型(SNPs)であり、DNAの1ユニットが個人によって異なることがあるゲノム上の部位のことである。

本チームは全てグレーター・バルティモア地区から募った結腸癌患者261人および健康な537人が参加する症例対照研究を行った。このうちアフリカ系アメリカ人については、103人が症例群で201人が対照群であった。アフリカ系アメリカ人の場合、遺伝子変異のない人と比較すると、MBL2遺伝子上のSNPsが4箇所ある人は結腸癌の発病リスクが少なくとも3倍から4倍増加した。4箇所全てのMBL2変異のコピーが2つあるアフリカ系アメリカ人は発病リスクが約6倍に増加した。これらの関連性は白人では観察されなかった。

これらの発見を明確にし、確認するため、さらなる研究が必要であるとZanetti医師は説明した。

本研究において、これらのSNPsの発現率がアフリカ系アメリカ人と比較して白人では低いことから、白人にもこれらのSNPsと結腸癌に関連性があるか否かを観察するためにより多くのサンプルが必要となるだろうと、Zanetti医師は述べた。同医師らはNCIが資金提供し現在進行している「前立腺癌、肺癌、結腸直腸癌および卵巣癌スクリーニング臨床試験」の症例群および対照群のサンプルを用いて調査を行っている。

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佐々木 了子 訳
榎本 裕  (泌尿器科医)  監修

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