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2007/02/06号◆特集記事「膵臓腫瘍で発見された癌幹細胞」

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2007/02/06号◆特集記事「膵臓腫瘍で発見された癌幹細胞」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2007年02月06日号(Volume 4 / Number 6)

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特集記事

膵臓腫瘍で発見された癌幹細胞

膵臓癌患者から摘出された腫瘍で癌の幹細胞が発見された。マウスを用いた実験から、これらの癌の幹細胞が、患者にみられる膵臓腫瘍の急速な増殖と拡がりを解明する助けとなることが示唆され、研究者らによってCancer Research 2月1日号に報告された。

癌の幹細胞についてはこれまで血液腫瘍、脳腫瘍、乳癌で確認されたのをはじめ、さらに最近では卵巣癌や大腸癌で同定されている。今回の新たな発見は、ある種の腫瘍がわずかに持っている自己再生細胞から腫瘍の全細胞が発生している、という幹細胞仮説をこれまで以上に支持するものである。

癌の幹細胞が占める割合は腫瘍の5%未満であるが、これらが癌を派生していると考えられており、また従来の治療法に対して抵抗性を示すと考えられている。

ミシガン大学医療センターの筆頭研究者、Diane M. Simeone医師は、「この新たな研究は、腫瘍内部には腫瘍形成を活発に行い、幹細胞に似た特徴をもつ細胞の小集団があるという証拠をまたひとつ積み重ねるものです」と述べている。

ヒトの癌幹細胞にみられる決定的な特徴のひとつに、マウスでの新規腫瘍増殖形成能があります。わずか100個の膵臓癌幹細胞でも、マウスに移植されると元の腫瘍のコピーをが再生することを研究者らが発見しました。患者においては往々にして起こるが、中には急速に他臓器に拡がった腫瘍もある。

マウスでみられたこの細胞の攻撃的な性状は、臨床医が癌患者において観察するものと一致すると、研究者らは語る。

膵臓癌は診断が遅れることが多く、標準的な化学療法や放射線療法に対して抵抗性があることで知られており、きわめて死亡率が高い癌である。アメリカでは発症率は11位だが、癌による死亡率では4位である。

Simeone医師によると、「癌の幹細胞によって癌の全く新しい考え方がもたらされた」。Simeone医師のチームは、従来の療法によって膵臓癌の幹細胞を叩くことはできないことが予備試験の証左で得られており、このことを来月から試験する予定である。

NCI癌治療診断部門のJ. Milburn Jessup医師は、今回の新たな発見はすぐに膵臓癌研究に大きな影響を与えることになるだろうと考えている。

Jessup医師は、「この試験は、膵癌幹細胞を単離してその特性を探り、弱点を明らかにして、この細胞を標的とする治療法を開発することが可能であることを示している」と、述べている。

新しい治療法が開発されれば、この治療法を評価する新しい方法が必要となるでしょう。腫瘍が退縮しても再発する可能性があることを考えれば、現在の腫瘍サイズを測定する方法では明らかに不十分である。

「将来的には、治療の前後で腫瘍内の癌幹細胞の量を測定し、治療効果を確立する必要がある。」と、Simeone医師は言う。

癌幹細胞が比較的、治療に対して抵抗性が高いと思われるが、「この細胞は癌の泣き所であることが証明されるであろう。」とNCIのDivision of Cancer Treatment and Diagnosis(癌の治療と診断部門)のJessup医師は付け加えた。

Simeone医師のチームは、膵臓癌幹細胞と考えられる細胞を同定するにあたって、乳癌幹細胞の特徴であると判明した3種類の表在タンパク質CD44、CD23、ESAをもつ腫瘍細胞を捜した。このほか、癌の幹細胞の候補マーカーとして用いられた他のタンパクを検討している。

スタンフォード大学医学部のMichael Clarke医師と、同ミシガン大学医療センターのMax Wicha医師ら率いるグループは、2003年に乳癌幹細胞を発見した。両者とも今回の試験の共著者である。

— Edward R. Winstead

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Nobara 訳

大藪 友利子 (生物工学) 監修

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