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癌治療後のフォローアップケア

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癌治療後のフォローアップケア

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がんの経過観察とは何ですか。

がんの経過観察とは定期検診のことで、患者の病歴を見直したり診察をしたりします。経過観察では、画像診断(身体の内部の画像を撮る検査)、内視鏡検査(照明のついた細い管を用いて体の内部を調べる検査)、血液検査をはじめとする臨床検査などが実施されます。

 

経過観察が重要なのは、健康面での変化を明らかにできるからです。経過観察の目的は、再発(がんが原発部位に再びできること)または転移(がんが体の別の部位に拡がること)がないかを調べることにあります。経過観察での受診は、他の種類のがんの予防や早期発見に役立ち、がんやがんの治療によって生じ、軽快しない問題に対処し、治療終了後数ヵ月〜何年も経って現れることもある身体的および心理学的な影響がないかを調べるためにも重要です。がんサバイバーは全員が経過観察を受ける必要があります。

 

経過観察の診察で患者が医師に伝えるべきことは何ですか。

診察では毎回、以下のことを医師に伝える必要があります。

 

  • がんが再発した徴候ではないかと思われる症状
  • 痛みがとれない
  • 日常生活に支障をきたしたり、気にかかったりしている身体的な問題。例えば、疲労、膀胱、腸または性機能の障害、注意力散漫、記憶の変化、睡眠障害、体重の増減。
  • 服用している薬剤、ビタミン剤、薬草ならびにこれ以外に受けている治療
  • 不安、気分の落ち込みなど、経験している精神的な問題
  • 新たにがんになった人がいる、など家族歴の変化

 

がんの再発が発見されるのは経過観察での受診時ばかりではないことを心に留めておくことが重要です。次に予定された検診までに患者本人が再発を疑ったり、再発しているのを見つけたりすることもよくあります。患者は自分の健康の変化に注意し、何か問題があれば担当医に報告することが重要です。医師はその問題が、がんや患者が受けた治療に起因するものであるか、がんには関係のない健康上の問題であるかを判断します。

 

経過観察のスケジュールはどのように立てられますか。

経過観察の頻度や内容は、がんの種類や受けた治療の種類によって異なり、がんの治療に起因する問題も含めた全般的な健康状態に応じて変わります。治療終了直後の2〜3年は3〜4ヵ月毎に、その後は年に1〜2回、経過観察の予約で医師の診察を受けることが一般的です。

 

このような経過観察の診察で、医師は再発がないかどうかを確認したり、別の種類のがんにかかっていないかを調べたりするために検査を勧めることがあります。経過観察のための特別な検査で生存期間が延長するかどうか、あるいはQOL(生活の質)が改善するかどうかは明らかでないことが多いため、どのような経過観察計画が適切かを提案することが医師にとって重要となります。患者の体調がよさそうで、かつ何ら症状がない場合は、医師が検査を実施する必要のないこともあります。患者は経過観察の計画に関する質問や心配なことがあれば医師と話し合うことが重要です。

 

経過観察のスケジュールを立てるとき、患者は、誰に経過観察を担当してもらい、誰にそのほかの診療をしてもらうのかをよく考える必要があります。患者は一緒にいて安心できる医師を選ばなければなりません。がんを治療した医師がそのまま経過観察する場合もあります。経過観察以外の診療については、ひきつづき、必要に応じて家庭医または専門医を受診する必要があります。

 

健康保険のプランによっては、限られた範囲の医師による決められた回数の経過観察以外は支払われないこともあるので、患者によっては経過観察を受ける医師を選択できないこともあります。経過観察の計画を立てるときは、健康保険のプランに制限条件があるとすれば、患者は自分がどの条件に該当するかを確認した方がいいかもしれません。

 

経過観察を専門とする医師または専門外来がありますか。

成人および小児がんサバイバーの長期経過観察(フォローアップケア)を専門とする専門外来がいくつかあります。これらの専門外来に関する情報は、全米がん生存者同盟(National Coalition for Cancer Survivorship: NCCS)電話番号:301–650–9127、Eメール:info@canceradvocacy.orgまでご連絡ください。さらに、電子メールを利用したメーリングリストやウェブサイトを通してがん情報を提供する組織のオンラインがん情報協会(Association of Cancer Online Resources:ACOR)が、がんの治療を受けた小児および青年を対象とした長期経過観察専門外来の一覧を作成しています。この一覧は、ACORの小児腫瘍学情報センター(Pediatric Oncology Resource Center)のPed-Onc Resource Centerに掲載しています。NCIのOffice of Cancer Survivorshipも治療後の経過観察の情報を掲載しています。

 

がん治療終了後、患者は担当医とどのようなことを話し合えばいいのでしょうか。

治療終了後、がんサバイバーは担当医に、受けた全治療の記録、および経過観察プランの作成を依頼するとよいでしょう。がん治療が終了したら、患者は以下の質問を担当医に尋ねてください。これらに対する医師の回答は、患者が治療に関すること、および治療後に起こりうることを知るのに役立ちます。

 

  • どのような治療および薬剤投与を受けたのですか。
  • どのくらいの頻度で定期的な診察を受けるべきでしょうか。
  • がんの経過観察のためにはどの医師にかかればいいのでしょうか。
  • がんが再発する可能性もしくは別の種類のがんができる可能性はどの程度ですか。
  • 経過観察にはどんな検査を受けるべきですか。
  • それらの検査はどの頻度で受ける必要がありますか。
  • どのような症状に注意するべきでしょうか。
  • その症状のいずれかが現れた場合は、誰に連絡すればいいのですか。
  • 受けた治療による長期的な影響および晩期障害で一般的なものは何ですか。
  • 健全で健康な状態を維持するためには何をすればいいのでしょうか。
  • がんのために健康保険の加入や仕事の継続が困難になることはありますか。
  • 頼れるサポートグループはありますか。

 

後で読み返したり聞き返すことができるよう、質問を書きとめ、医師の話のメモを取るか録音するのが役に立ったという人が多いです。

 

がんの治療が終了したとき自分の気持ちに向き合うにはどうしたらいいでしょうか。

がんの治療中や治療後に、ストレス、落ち込み、不安などを経験することがよくあります。多くの患者が、自分の気持ちを家族や友人、医療者、他の患者、聖職者、カウンセラーやセラピストといった人たちに話すことが助けになると言います。サポートグループに参加することも、自分の気持ちを打ち明けるもうひとつの方法です。誘導イメージ療法およびゆっくりとしたリズムの呼吸法などのリラクゼーション法も、悲観的な考えや感情を和らげるのに有用です。ボランティア活動に参加して他の人に援助の手をさしのべることは、活力や精神的な安定を取り戻していると実感するのに寄与するようです。しかし、気持ちのつらさが続く場合は、その原因や一因となっているものをみきわめる手助けをしてくれる人を紹介してもらえるよう担当医に依頼する必要があります。

 

どのような種類の医療情報を患者は手元においておくべきですか。

患者は、自分が受けたがんの治療記録の控えを取っておくことが重要です。担当医が作成した全治療記録および経過観察プランなどが理想です。経過観察では必ずしも同じ医師にかかるとは限らないので、別の医師に見せることができるように治療記録を手元に用意しておくと役に立ちます。中でも以下の情報を取っておくことが重要です。

 

  • 診断学的検査の結果
  • がんの種類(診断名)
  • がんと診断された日付
  • 治療が行われた施設および日時を含むあらゆるがん治療の詳細(例、すべての手術の術式および日時、すべての薬剤の名称および用量、放射線治療の照射部位および計総線量)
  • 治療および経過観察に関与した医師および医療者全員の連絡先
  • 治療中および治療後に発生した副作用および合併症
  • 受けた支持療法(例、鎮痛薬または制吐剤、精神的支援、栄養補助食品)
  • 患者が臨床試験に参加したのであれば、臨床試験(調査研究)のIDナンバーおよび試験名

 

このほか、経過観察期間中に有用なことは何ですか。

このほか、がんの治療中ばかりではなく経過観察の一環として有用なものに、サポートグループ、夫婦カウンセリング、遺伝相談、不妊カウンセリング/性に関するカウンセリング、在宅医療、栄養相談、物理療法、疼痛管理、作業療法もしくは職業療法があります。患者の中には財政援助もしくは通院に助けが必要な人もいます。上記以外の支援も含め、支援に関する情報は、地元および全国規模のがん団体、病院、近隣の教会またはユダヤ教の礼拝堂、YMCAまたはYWCA、市町村役場または郡役場などで入手できます。また、担当医、看護師またはソーシャルワーカーに尋ねることもできます。

 

これらを最大限に活用するために、質問したいことを前もって考えてから連絡をとることが重要です。多くの人が、質問を書きとめ、会話ではメモをとると良いといいます。このような支援を利用するための適格条件を確認することも重要です。種々の支援を提供する団体の一覧が、米国国立がん研究所(NCI)のパンフレット『Facing Forward Series: Life After Cancer Treatment』の”Resources”(「情報源」)のセクションに掲載されています。

 

がんの経過観察に関する研究は行われていますか。

米国国立衛生研究所の研究機関のひとつであるNCIはChildhood Cancer Survivor Study(小児がん生存者研究:CCSS)に研究助成金を出しています。この研究は聖ユダヤ小児研究病院を中心に、小児および若年成人の長期ケア専門の医師を擁する全米の医療機関25ヵ所以上で実施されています。研究は、がんおよびがん治療の長期的な影響に関して新しい知見を得てがんサバイバーに情報を伝えると同時に、経過観察について情報提供することを目的に開設されました。 その他にも、非ホジキンリンパ腫サバイバーのケアおよび健康状態の研究(the Experience of Care and Health Outcomes of Survivors of Non-Hodgkin’s Lymphoma: ECHOS-NHL study)や患者によるがんのケアの評価研究( the Assessment of Patients’ Experience of Cancer Care :APECC study)といったNCIの助成を受けた研究があり、成人のがんのサバイバーが、経過観察および特殊な情報や支援をどこでどのように受けているかのデータが提供される予定です。

 

また、がんサバイバーに対する適切な経過観察に関する医師の姿勢と実際の診察に関するアンケート調査が、現在行われています。この調査はNCIの助成とアメリカがん協会(ACS)の協賛を得て行われています。

 

NCIは経過観察のガイドラインを作成していますか。

いいえ、NCIではそのようなガイドラインは作成していません。しかし、いくつかの種類のがんに関して経過観察のガイドラインを定めている団体もあります。また、一部の団体は、がんサバイバーと医師が、患者の治療歴に基づき、患者に合わせた経過観察計画を作成するための支援を行っています。

 

世界中のがん専門家2万7千人以上の会員を擁する非営利団体の米国臨床腫瘍学会(ASCO)は、医療従事者向けの『ASCO Clinical Practice Guidelines』に基づいて患者向けのガイドラインを作成しました。このガイドラインは、乳がんおよび結腸直腸がんの経過観察を含め、がんに関連するさまざまな情報を提供するものです。『What to Know: ASCO’s Guidelines(知っておくべきこと:ASCOガイドライン)』と呼ばれる各ガイドラインはASCOの Cancer.Netウェブサイトに掲載されています。

 

Children’s Oncology Group 臨床試験団体(COG)は、NCIの支援を受け、小児および青年期のがんの研究に集中的に取り組む臨床試験共同グループです。臨床試験は、米国、メキシコ、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドで行われています。COG臨床試験団体は、医療者を対象に『Long-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児期、青年期および若年成人のがんサバイバーのための長期経過観察ガイドライン)』と呼ばれる指針を作成しました。

 

Journey Forward』は、全米がん生存者連盟、カリフォルニア大学、ロスアンゼルスがんサバイバーセンター、Genentech社、WellPoint社などの団体により設立されたプログラムです。このプログラムは最近治療を終了した、患者とその医師を使用対象として設計されており、がん専門医がオンライン上でSurvivorship Care Plan Builderというツールを使って作成する『Survivorship Care Plan(がんサバイバーのための診療計画)』の利用を促すものです。『Survivorship Care Plan』は、包括的な治療ガイドラインと経過観察に関する推奨事項で構成されており、患者とその主治医で共有できます。『Journey Forward』はその他にも、患者が治療歴の概要をまとめることのできる『Medical History Builder Form(治療歴作成フォーム)』という電子ツールを提供しています。

 

Livestrong Care Plan(リブストロング・ケアプラン)』は、ランス・アームストロング基金とペンシルヴァニア大学により設立され、がん治療の結果直面する可能性のある健康上のリスクに関する情報をサバイバーに提供しています。患者がオンラインの質問票にある質問に答え、『Livestrong Care Plan』はその答えの情報から、サバイバーに合った診療計画を提供してくれます。また、スペイン語版も提供されています。

 

非営利団体のNational Comprehensive Cancer Network(米国がん総合ネットワーク:NCCN)はがんセンターの連合体です。NCCNの消費者向けウェブサイトであるNCCN.comでは、がんの経過観察に関する情報と共に、サバイバーのための正規のがん治療後プランを作成する際のガイドラインを『Taking Charge of Follow-up Care page』にて配信しています。

原文掲載日

翻訳片岡

監修平 栄 (放射線腫瘍医)

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