ネクサバール®はアジア人の肝細胞癌に有効


キャンサーコンサルタンツ
2009年1月

アジアの23の医療施設の研究者らは、ネクサバール®(ソラフェニブ)が進行肝細胞癌(HCC)患者に有効であると報告した。このランダム化試験の詳細はLancet Oncology誌の2009年1月号に掲載された[1]。

ネクサバールは経口マルチキナーゼ阻害剤で、進行腎細胞癌(RCC)の治療薬として承認されている。ネクサバールは広い抗癌スペクトルを有することが示されている。前回のヨーロッパの試験において、SHARP試験責任医師研究グループの研究者らは、ネクサバールにより進行HCC患者の生存期間が有意に延長し、さらに増殖抑制期間が2倍になったと報告した。ネクサバールは、HCCの治療において患者の生存期間を有意に延長することが認められた最初の薬剤である。

今回の試験では、転移性HCC患者226人がネクサバール群またはプラセボ群のいずれかに無作為に割り付けられた。下記の表はこの試験の主な結果を要約したものである。

表1:進行肝細胞癌に対するネクサバールとプラセボの比較

*1/1ネクサバールプラセボ
患者数15076
生存期間の中央値6.5ヵ月4.2ヵ月
増殖抑制期間2.8ヵ月1.4ヵ月

ネクサバールの主な副作用は手足の皮膚反応、下痢、疲労感である。

コメント:

これらのデータと、HCCを有するヨーロッパ人を対象にしたネクサバールの前回の試験データは類似している。

参考文献:
[1] Cheng A-L, Kang Y-K, Chen Z, et al. Efficacy and safety of sorafenib in patients in the Asia-Pacific region with advanced hepatocellular carchinima: a phase III randomized, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet Oncology. 2009; 10:29-34.


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翻訳担当者 河野裕子

監修 関屋 昇(薬学)

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