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ニボルマブが一部の進行胃がんの生存を改善

大規模臨床試験の結果から、進行胃がんと診断された患者の一部において、化学療法に加えて免疫療法薬ニボルマブ(販売名:オプジーボ)の投与を初回治療として行うことで、生存期間が延長する可能性があることが示された。

CheckMate 649と呼ばれる国際的な多施設共同試験では、手術で切除できない進行または転移性の胃がん患者約1,500人を対象とした。この試験には、食道と胃が接する部分に発生する胃食道接合部がんや、食道腺がんと呼ばれる食道がんの患者も含まれていた。

腫瘍がHER2陽性であり、化学療法とともにHER2を標的とした治療が一般的に行われる患者は除外された。

9月21日に開催された2020年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)のバーチャル会議で試験結果を発表したヨハネス・グーテンベルク大学マインツ医療センターのMarkus Moehler医師によると、進行または転移性の胃がんまたは胃食道接合部がんの患者に対しては、化学療法が標準的な初回治療となっているという。

残念ながら、進行胃がんと診断された患者のほとんどは予後が悪く、通常は1年未満の余命であるとMoehler医師は指摘している。

本試験では、ニボルマブと化学療法を併用することで、化学療法単独と比較して全生存期間が数カ月改善され、病状が悪化するまでの期間(無増悪生存期間)が延長したと、Moehler医師はESMO会議で述べた。

ESMO会議では、進行胃がんまたは胃食道接合部がんに対するニボルマブと化学療法を評価した2つ目の試験の結果も発表された。ATTRACTION-4試験では、ニボルマブと化学療法の併用により、化学療法単独に比べて無増悪生存期間が改善した。この試験では、日本、韓国、台湾の患者724人を対象とした。

「これら2つの試験の結果から、ニボルマブと化学療法の併用療法が、これらのがん患者に対する標準的な初回治療になる可能性が非常に高い」と、NCIのがん治療・診断部門の特別顧問であり、これらの試験には関与していないCarmen Allegra医師は述べている。

疾患の初回治療における免疫療法の可能性

ニボルマブは、免疫細胞の一種であるT細胞上のPD-1というタンパク質に結合する。ニボルマブはPD-1に結合することで、がん細胞上のPD-L1というタンパク質との相互作用を防ぎ、T細胞ががん細胞を攻撃できるようにする。

CheckMate 649試験でPD-L1レベルが最も高かった患者群では、最短12カ月の追跡期間における全生存期間中央値は、化学療法単独群で11.1カ月であったのに対し、併用療法群で14.4カ月であった。

しかし、PD-L1レベルが低い患者群や試験全体の患者における全生存期間中央値でも、より緩やかな改善が認められた。本試験は、ニボルマブの開発企業であるブリストル・マイヤーズ スクイブ(Bristol Myers Squibb)社が試験依頼者であった。

ATTRACTION-4試験は、追跡期間中央値11.6カ月で、無増悪生存期間中央値は、併用療法群で10.5カ月、化学療法単独群では8.3カ月であった。本試験は、小野薬品工業株式会社(ONO Pharmaceutical)とブリストル・マイヤーズ スクイブ(Bristol Myers Squibb)社から資金提供を受けた。

Allegra医師は、3年前に別の免疫チェックポイント阻害薬であるペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ)が、2種類以上の治療を受けた後に悪化した進行胃がんや胃食道接合部がんの治療薬として承認されたことを指摘した。

「われわれは、胃がんの後方治療に免疫療法が有効であることを知っていた」とAllegra医師は述べた。「今回の新たな知見は、この治療法が初回治療として患者に有益であることを示している」。

PD-L1を発現していない腫瘍の患者において、併用療法の使用が生存期間を改善するかどうかはまだ明らかではないが、「これらのデータはいずれ両試験から得られるはずである 」と付け加えた。

ATTRACTION-4試験では、併用療法が全生存期間(もうひとつの主要評価項目)を改善することは示されなかったが、これは最初に化学療法を単独で受けた患者数のうちかなり多くが、化学療法中に病状が悪化した後、抗PD-L1/PD-1薬の投与を受けたためではないかとAllegra医師は指摘している。

「胃がん患者にとって良き日」

いずれの試験においても、他のがん種の患者を対象とした化学療法とニボルマブの併用療法試験において、併用療法の副作用は、これまでに報告されているものと同様であった。

「大半の患者は副作用がほとんどなく、これらの免疫療法薬が非常に有効であった」と、Allegra医師は述べている。しかし、患者の中にはさまざまな臓器に炎症を起こし、それが症状を引き起こす可能性があることを指摘している。例えば、腸の炎症は下痢を引き起こす可能性がある。免疫療法の種類によっては、まれにアレルギーや炎症に関連した重篤な、あるいは致命的な反応を引き起こすこともある。

CheckMate 649試験では、38%の患者が治療関連の副作用により併用療法を中止したのに対し、化学療法単独群では25%の患者が治療を中止した。併用療法群では、8人の患者が治療関連の毒性の結果死亡したのに対し、化学療法単独群では4人の患者が死亡した。

EMSO会議で2つの試験について議論した英国ケンブリッジにあるアデンブルックズ病院のElizabeth Smyth医師は、「胃がん患者にとって良き日だ」と述べた。

Smyth医師は、1年以上生存期間を改善する治療レジメンが実証されたことは「画期的な出来事」であると付け加えた。さらに、PD-L1のような生物学的マーカーに基づいて、どのような患者が治療の恩恵を最も得られるかについて理解するためには、さらなる研究が必要であると述べた。

また、CheckMate 649試験では、胃がん、胃食道接合部がん、食道腺がんの患者を対象に、化学療法単独と比較して、ニボルマブ+イピリムマブ(販売名:ヤーボイ)の併用療法を評価している。

翻訳河合加奈

監修野長瀬 祥兼(腫瘍内科/市立岸和田市民病院)

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