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オンラインプログラムでAYAがんサバイバーの不眠症が有意に改善

オンラインプログラムにより、思春期および若年成人のがんサバイバーの不眠症が有意に改善されることが研究で判明した。

・参加者の生活の質の向上も報告されている。
・プログラムは、がん治療中に形成されることがある不適応な睡眠習慣の是正に役立つ。

思春期および若年成人(AYA)がんサバイバーでは、治療終了後も長い間、日常生活のさまざまな活動に支障をきたす不眠症に苦しみ続けることがよくある。Pediatric Blood and Cancer誌に本日発表された研究において、AYA世代のがんサバイバーのために特別に開発されたオンラインプログラムは不眠症を大幅に緩和し、生活の全体的な質を改善できることをダナファーバーがん研究所の研究者が示している。

1回20-30分のセッション6回で構成されたこのプログラムは、患者が集中的ながん治療に対処する際には役立っていたであろう睡眠習慣が、治療を終えてサバイバーとなってからの健康的な睡眠をいかに妨げてしまうかを示している。すでに多くの病院や診療所で採用されている遠隔医療やオンラインプログラムが、コロナウイルス危機の結果、さらに広く利用されつつある今、自動化された本プログラムは、とりわけ適したものとなっているといえる。

「不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)は、入眠や睡眠維持の長期的なトラブルにつながる行動パターンや思考パターンを患者が理解しやすくするもので、成人がんサバイバーには非常に効果的であることが判明している。しかし、AYA世代のサバイバー集団では広く検証されていない。われわれは、AYA世代サバイバー向けに作成した、オンラインで利用可能なCBT-Iプログラムが、この集団で有用となりうるのかを調査したいと考えた」と述べるEric Zhou氏(博士)は、ダナファーバーの同僚であるChristopher Recklitis氏(博士、公衆衛生学)とともにこの研究を行った。

「思春期または若年成人期にがんを克服した人々は、その年齢層に特有のさまざまな睡眠関連の問題に直面している 」とZhou氏は言う。「両親あるいは生活習慣の乱れた同居人によって、若者の睡眠スケジュールに制約がかかることも問題の一部である。また、10代や若年成人では正常な発達として概日リズムが変化し、自然に就寝時間および睡眠時間が小児や高齢者よりも遅くなる。AYA世代のがんサバイバーの不眠症治療では、これらの要因を考慮に入れて、痛みや疲労などの長期的ながん関連の問題に対処する必要がある」。

研究で検証された不眠症介入は SHUTi (Sleep Healthy Using the Internet:インターネットを利用した健康的な睡眠)と呼ばれる方法で、バージニア大学の研究者らによって開発され、Zhou氏とRecklitis氏によってAYA世代のがんサバイバー向けに手直しされた。この双方向プログラムは、テキストや画像、ビデオを利用して、不眠症がどのように発症し、どのように克服できるかを説明している。このプログラムを手直しするにあたり、ダナファーバーの研究者らは、オリジナル版のエピソード(不眠症と闘っている人々の短い話)をもっと若い人たちになじみのある話に置き換えた。

当プログラムは、患者ががん治療を乗り切るのに役立った睡眠行動が、通常の生活に戻るとどうして不適応になってしまうのかを説明している。「治療中、患者は気分が良くないか、または十分な睡眠がとれていないために、ベッドで過ごすことがある。昼寝をすることもあり、夜の睡眠時間がとぎれとぎれになるかもしれない」とZhou氏は言う。回復期に入ると、このような習慣が原因で健康的な睡眠パターンを再開することが難しくなると考えられる。

「SHUTiはサバイバーが睡眠を再修正できるよう導く。彼らの睡眠習慣はもはや、治療中に経験した問題に対処することではなく、長時間睡眠の改善が重点となる」とZhou氏は述べている。

この研究には、不眠症のあるAYA世代がんサバイバー22人(平均年齢20.4歳)が参加し、同世代向けに特別に手直しされたSHUTiを使用した。本プログラムの一環として、参加者は睡眠日誌をつけ、いつ寝たかを記録し、その情報が入力されるとSHUTiはそれに応じて調整した睡眠推奨事項を示した。

SHUTiの使用を開始してから8週間後および16週間後の参加者報告によれば、不眠症の重症度、日中の眠気、疲労感が有意に減少し、生活の質が全体的に向上した。

「今回の結果は、AYA世代のがんサバイバーを対象としたインターネット配信型CBT-Iプログラムにより、不眠症が軽減され、生活の質が向上したことを示している」とReckliti氏は述べている。「特に、参加者の不眠症の重症度は介入終了後も改善し続けたことから、参加者がプログラム使用終了後も睡眠に役立つ意思決定を継続して行っていたことがわかる」。

この研究の支援は、アレックス・レモネード・スタンド財団の心理社会事業開始助成金によって提供された。

翻訳青葉かお里

監修太田真弓(精神科・児童精神科/クリニックおおた 院長)

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