FDAが稀なタイプの膵臓癌にアフィニトールを承認

FDAが稀なタイプの膵臓癌にアフィニトールを承認

FOR IMMEDIATE RELEASE:2011年5月6日
Media Inquiries: Erica Jefferson, 301-796-4988
Consumer Inquiries: 888-INFO-FDA

FDA が稀なタイプの膵臓癌にアフィニトールを承認

米国食品医薬品局(FDA)は、進行期膵神経内分泌腫瘍(pNET)の患者で外科的切除が不能であるか、他の部位に広がった(転移性)患者の治療薬としてアフィニトール(エベロリムス)を承認した。

膵神経内分泌腫瘍は増殖が遅くまれである。アメリカでの新規発症例は年間1,000例未満と推定されている。

FDA医薬品評価研究センターの抗腫瘍薬製品室長Richard Pazdur医師は、 「この種の癌患者には効果のある治療選択肢がほとんどない」として、「アフィニトールは膵神経内分泌腫瘍の増殖と転移を遅らせることができることを示した」と話している。

アフィニトールの安全性と有効性は、転移(進行期)癌患者または(外科的切除不能な)局所進行癌患者410人を対象とした臨床試験で確立された。試験参加者はアフィニトール投与群とプラセボ (砂糖錠)投与群に分けられた。この試験は腫瘍が転移するか悪化するまでの患者の生存期間(無増悪生存期間)を測定するように設計された。

癌の転移も悪化もみとめることなく患者が生存した期間の中央値は、プラセボ投与患者の4.6カ月に対して、アフィニトール投与患者では11カ月であった。プラセボ投与患者は腫瘍が悪化した場合、アフィニトール治療を受けることができた。

膵神経内分泌腫瘍に対してアフィニトール治療を受けた患者に最もよくみられる副作用は、口腔の炎症(口内炎)、発疹、下痢、倦怠感、むくみ(浮腫)、腹痛(腹部痛)、悪心、発熱および頭痛であった。

アフィニトールは他に、スーテント(スニチニブ)またはネクサバール(ソラフェニブ)による治療が有効ではなかった腎臓癌(進行腎細胞癌)患者の治療や、(さまざまな部位に腫瘍を生じる)結節性硬化症に伴う(脳の癌の一種である)上衣下巨細胞性星状細胞腫の患者で外科的治療が不能な患者の治療薬として承認されている。

アフィニトールには別の商品名Zortressもあり、腎移植後の臓器拒絶反応を予防するために成人患者に投与する薬剤として承認されている。このような患者に対してZortressは異なる安全性を示す。

アフィニトールはノバルティス社(ニュージャージー州イーストハノーバー)から販売されている。

******
佐治 京子 訳
林 正樹(血液・腫瘍内科)監修 

******

 原文

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

膵臓がんに関連する記事

【AACR2025】 オラパリブ+ペムブロリズマブ併用は、分子マッチングによる臓器横断的試験で有望な結果の画像

【AACR2025】 オラパリブ+ペムブロリズマブ併用は、分子マッチングによる臓器横断的試験で有望な結果

● オラパリブ(商品名:リムパーザ)とペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の併用は、複数のがん種、特にBRCA1/2遺伝子変異(乳がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がんなどの発症リス...
腎臓/膵臓がんに対する新たな免疫ベース治療法、実現の兆し?の画像

腎臓/膵臓がんに対する新たな免疫ベース治療法、実現の兆し?

腎臓がんと膵臓がんに対する新たな免疫療法が、2つの小規模臨床試験で有望な結果を示した。どちらの試験でも、腫瘍摘出手術が成功した患者において、これらの治療法ががん再発を予防する効果が示唆...
FGFR2を標的としたKRAS変異膵臓がん予防・発症遅延の可能性の画像

FGFR2を標的としたKRAS変異膵臓がん予防・発症遅延の可能性

前臨床研究が膵臓がんの予防的介入に新たな方向性を示唆KRAS変異を有する膵臓の前がん病変および一部の膵管腺がん(PDAC)において、通常より高いFGFR2タンパク発現が認められ...
免疫療法薬+TIL療法により、さまざまな転移固形がんが縮小の画像

免疫療法薬+TIL療法により、さまざまな転移固形がんが縮小

個別化がん免疫療法の一種である腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法の新しい方法が、転移消化器がんの患者に対する治療効果を劇的に改善したことが、米国国立衛生研究所(NIH)の研究者らが主導した...