FDAが稀なタイプの膵臓癌にアフィニトールを承認

FOR IMMEDIATE RELEASE:2011年5月6日
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FDA が稀なタイプの膵臓癌にアフィニトールを承認

米国食品医薬品局(FDA)は、進行期膵神経内分泌腫瘍(pNET)の患者で外科的切除が不能であるか、他の部位に広がった(転移性)患者の治療薬としてアフィニトール(エベロリムス)を承認した。

膵神経内分泌腫瘍は増殖が遅くまれである。アメリカでの新規発症例は年間1,000例未満と推定されている。

FDA医薬品評価研究センターの抗腫瘍薬製品室長Richard Pazdur医師は、 「この種の癌患者には効果のある治療選択肢がほとんどない」として、「アフィニトールは膵神経内分泌腫瘍の増殖と転移を遅らせることができることを示した」と話している。

アフィニトールの安全性と有効性は、転移(進行期)癌患者または(外科的切除不能な)局所進行癌患者410人を対象とした臨床試験で確立された。試験参加者はアフィニトール投与群とプラセボ (砂糖錠)投与群に分けられた。この試験は腫瘍が転移するか悪化するまでの患者の生存期間(無増悪生存期間)を測定するように設計された。

癌の転移も悪化もみとめることなく患者が生存した期間の中央値は、プラセボ投与患者の4.6カ月に対して、アフィニトール投与患者では11カ月であった。プラセボ投与患者は腫瘍が悪化した場合、アフィニトール治療を受けることができた。

膵神経内分泌腫瘍に対してアフィニトール治療を受けた患者に最もよくみられる副作用は、口腔の炎症(口内炎)、発疹、下痢、倦怠感、むくみ(浮腫)、腹痛(腹部痛)、悪心、発熱および頭痛であった。

アフィニトールは他に、スーテント(スニチニブ)またはネクサバール(ソラフェニブ)による治療が有効ではなかった腎臓癌(進行腎細胞癌)患者の治療や、(さまざまな部位に腫瘍を生じる)結節性硬化症に伴う(脳の癌の一種である)上衣下巨細胞性星状細胞腫の患者で外科的治療が不能な患者の治療薬として承認されている。

アフィニトールには別の商品名Zortressもあり、腎移植後の臓器拒絶反応を予防するために成人患者に投与する薬剤として承認されている。このような患者に対してZortressは異なる安全性を示す。

アフィニトールはノバルティス社(ニュージャージー州イーストハノーバー)から販売されている。

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佐治 京子 訳
林 正樹(血液・腫瘍内科)監修 

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