FDAが肛門癌の予防にガーダシルを承認

FOR IMMEDIATE RELEASE:2010年12月22日
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FDAが肛門癌の予防にガーダシルを承認

米国食品医薬品局(FDA)は、9歳から26歳を対象に、ヒトパピローマウイルス(HPV)6型、11型、16型および18型によって発生する肛門癌および関連する前癌病変の予防ワクチンとして、Gardasil〔ガーダシル〕を承認した。
ガーダシルはすでに、同年齢群の女性を対象にHPV6型、11型、16型、18型による子宮頸癌、外陰部癌、膣癌さらに関連する前癌病変の予防に、また男女両方を対象にHPV 6型、11型による生殖器疣(いぼ)の予防を目的として承認されている。

「肛門癌の治療は困難である。予防のためにガーダシルを使用すると、結果的に、肛門癌と診断される人や診断されたあとに個人が耐えなければならない外科手術および放射線療法または化学療法を受ける人が減少する可能性があるため重要である」とFDA生物製剤評価研究センター局長のKaren Midthun医師は述べた。

一般に肛門癌は頻繁にみられないが、その発生率は増加しつつある。肛門癌の約90%がHPVによるものである。米国癌協会は、米国で毎年約5,300人が肛門癌と診断されていると推定しており、診断を受けるのは男性よりも女性のほうが多い。

ガーダシルの肛門癌および肛門のHPV16/18型感染による関連の前癌病変[肛門上皮内癌(AIN)グレード1、2、3]を予防する効果は、男性と性行為を行ったと自認する男性(MSM)を対象に実施したランダム化対照試験で検証された。この群を対象に試験が実施されたのは、この集団での肛門癌の発症率が最も高いためである。試験期間終了時、ガーダシルは、HPV16型および18型に関連するAINの予防に78%有効であることが明らかになった。肛門癌は男女両方において同じ生物学的特徴を持つため、この有効性のデータは女性に関しても適用を裏づけるとして使用された。

ガーダシルは、ワクチン接種時すでにHPV感染による肛門の前癌病変がある場合にはその進展を予防することはできない。FDAが承認した使用の全適応において、ガーダシルはワクチンに含まれるHPVの株種に感染する前にワクチンの接種を受けた人たちに最も有効である。

医療関係者に肛門癌検診を勧められている人は、ガーダシルの接種を受けた後も、検診を中止するべきではない。

2010年5月31日現在、メーカーのMerck & Co., Inc.社(ニュージャージー州ホワイトハウスステーション)によると、2006年にガーダシルが承認されてから、全世界で6,500万回分が流通している。最も多く報告されている有害事象は、失神、穿刺部位疼痛、頭痛、悪心および発熱である。失神は、特に青年の場合に注射やワクチン接種の後で発現することが多い。失神後の転倒は頭部外傷などの重篤な外傷の原因となる場合があるが、ワクチン接種後15分間程度座らせておくことで予防できる。また、接種後に発症するおそれのある重度のアレルギー反応に注意するために、このような観察期間を設けることを推奨する。

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松長 えみ 訳
後藤 悌 (呼吸器内科/東京大学大学院医学系研究科)監修 
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原文


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