デノスマブはビスフォスフォネート剤治療を受けた骨転移のある患者に有効

キャンサーコンサルタンツ
2009年4月

デノスマブによる治療を受ける骨転移がある患者は、ビスフォスフォネート剤を継続する患者より、尿中N-テロペプチドの減少が大きく骨関連事象が少ないとフランスの研究者らが報告した。この試験の詳細は2009年4月1日発行のJournal of Clinical Oncology誌に掲載された。[1]

デノスマブは完全ヒトモノクローナル抗体であり、骨リモデリングにおける骨吸収の重要なメディエイターであるNF-kB活性化受容体リガンド(RANKL)を特異的に標的にする。デノスマブは骨粗しょう症、治療誘発性骨量減少、リューマチ性関節炎、骨転移および多発性骨髄腫等の条件で試験されている。デノスマブの生物製剤承認申請(BLA)が、閉経後女性の骨粗しょう症の治療と予防およびホルモン除去療法中の乳癌または前立腺癌患者の骨量減少の治療と予防を対象として米国食品医薬品局(FDA)に最近提出された。

この試験は静注ビスフォスフォネート剤治療を受けたにも関わらず尿中N-テロペプチドレベルが上昇した前立腺癌、乳癌及びその他の癌からの骨転移のある患者111人を対象とした。患者はビスフォスフォネート剤療法継続群またはデノスマブ投与群に無作為に割り付けられた。デノスマブ群の71%でN-テロペプチドレベルが正常化したが、ビスフォスフォネート群では29%であった。25週目ではデノスマブ群の64%でN-テロペプチドの低下が維持できたがビスフォスフォネート群では37%であった。骨関連事象の発症はデノスマブ群で8%であったのに対しビスフォスフォネート群では17%であった。

コメント:本試験は前立腺癌やその他の癌からの骨転移のある患者に、デノスマブがビスフォスフォネート剤より有効であることを示唆している。

参考文献:[1] Fizazi K, Lipton A, Mariette X, et al. Randomized phase II trial of denosumab in patients with bone metastases from prostate cancer, or other neoplasms after intravenous bisphosphonates. Journal of Clinical Oncology. 2009;27:1564-1571.


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翻訳担当者 内村 美里人

監修 林 正樹(血液・腫瘍科)

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