まれな唾液腺がん(ACC)にアキシチニブ+アベルマブ併用が有望

【MDアンダーソンがんセンター研究ハイライト 2023/03/29】より

VEGFR阻害薬とPD-L1阻害薬の併用は腺様嚢胞がんの新規治療法となるか

希少な唾液腺がんである腺様嚢胞がん (ACC) 患者のほとんどは、積極的な局所療法を行っても再発または転移 (R/M) を発症するため、治療選択肢は限られている。R/M ACCに対する標準治療は存在しないが、VEGFRを標的とする治療法は、実験室モデルでT細胞浸潤を増加させており、VEGFRと免疫チェックポイント阻害薬の併用療法は、腎細胞がんと子宮内膜がんに有効である。これに基づき、Renata Ferrarotto医師が率いる研究者らは、進行性R/M ACC患者28人を対象にした、VEGFR阻害薬アキシチニブ(販売名:インライタ)とPD-L 1阻害薬アベルマブ(販売名:バベンチオ)の併用を評価する第2相試験を実施した。本試験では、治癒不能なACC患者において、4例以上の部分奏効を示し、奏効率は18%であり主要評価項目を達成した。この併用療法の毒性プロファイルは管理可能であり、この併用療法をさらに評価する価値があった。詳細はJournal of Clinical Oncologyに記載されている。

MDアンダーソンがんセンター研究ハイライト 2023/03/29号:治療効果を予測する主なAIモデルや新規バイオマーカーに加え、唾液腺がん、骨髄がん、卵巣がんに対する新規併用療法を紹介

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究ハイライトでは、がんの治療、研究、予防における最新の飛躍的な進歩について紹介している。これらの進歩は、MDアンダーソンの世界を代表する臨床医と科学者との間での円滑な共同研究によって可能となり、実験室での発見が病院へ提供され、還元される。

最近の開発では、CAR-T細胞療法反応を予測するマイクロバイオームベースのバイオマーカー、胃がんにおける免疫療法反応の新規予測マーカー、希少な唾液腺がんに対する新しい併用療法、高リスク骨髄異形成症候群に対する有望な併用療法、卵巣腫瘍を免疫療法に反応するようにさせる併用療法、トリプルネガティブ乳がんにおけるネオアジュバント治療反応を予測する人工知能モデルなどがある。

  • 監訳 野長瀬祥兼(腫瘍内科/市立岸和田市民病院)
  • 翻訳担当者 三宅久美子
  • 原文を見る
  • 原文掲載日 2023年3月29日

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

その他のがんに関連する記事

PREMMplusオンラインツールで遺伝的がんリスク検査が有効な人を特定の画像

PREMMplusオンラインツールで遺伝的がんリスク検査が有効な人を特定

ダナファーバーがん研究所の研究者と医師が開発したオンラインツールにより、特定のがんの発症リスクを高める遺伝的変異について検査を受けるべき人々を正確かつ迅速に特定できることが、新しい研究で示された。 PREMMplusと呼ばれるこのツールは、
アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用は一部の神経内分泌腫瘍(NET)に有効な可能性の画像

アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用は一部の神経内分泌腫瘍(NET)に有効な可能性

一部の神経内分泌腫瘍(NET)において、ベバシズマブ(販売名:アバスチン)とアテゾリズマブ(販売名:テセントリク)の併用療法が転帰を改善する可能性が非ランダム化試験で示唆された。 「1件の小規模単群試験の結果だけに基づいて診療を変えることは
チロシンキナーゼ阻害薬が まれな神経内分泌腫瘍(MMP)の無増悪生存期間を延長の画像

チロシンキナーゼ阻害薬が まれな神経内分泌腫瘍(MMP)の無増悪生存期間を延長

欧州臨床腫瘍学会(ESMO) 2021プレスリリース 悪性褐色細胞腫および傍神経節腫(MPP)を対象とした初のランダム化試験において、スニチニブ(販売名:スーテント)が無増悪生存期間(PFS)を5カ月以上延長することが明らかになった。このF
がん骨転移治療薬ゾレドロン酸の使用で顎骨壊死の可能性の画像

がん骨転移治療薬ゾレドロン酸の使用で顎骨壊死の可能性

がんが骨に転移すると、疼痛や骨折などの問題を引き起こす可能性がある。臨床ガイドラインでは、がんが骨に転移した患者に対して、これらの合併症を管理する上で有用なゾレドロン酸(販売名:ゾメタ)などの骨修飾薬を定期的に投与することを推奨している。