ザクティマは遺伝性甲状腺髄様癌に顕著な効果を示す

キャンサーコンサルタンツ
2010年1月

ザクティマ(バンデタニブ)は転移性の遺伝性甲状腺髄様癌患者の治療に顕著な効果を示すと、米国国立癌研究所の研究者らが報告した。この研究についての詳細は2010年1月11日、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版に掲載された。

甲状腺癌は外科手術とヨード131で治療するが、これらの治療が奏効しない患者に放射線治療や化学療法を施してもほとんど効果はない。そのため、従来の治療法が効かない患者には新たな治療法が必要となる。最近の研究では、マルチキナーゼ阻害剤(複数のリン酸化酵素の阻害剤)ネクサバール(ソラフェニブ)とチロシンキナーゼ阻害剤アクシチニブが進行甲状腺癌患者に有効であることが明らかになった。

ザクティマは血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)と上皮成長因子受容体(EGFR)の阻害剤である。同薬は、チロシンキナーゼ阻害剤として、特定の種類の甲状腺癌の病態に重要な役割を果たしているRET遺伝子のチロシンキナーゼの活性を阻害する。また、同薬は甲状腺癌の治療薬としてオーファンドラッグ認定を受けているが、その有効性を第1、2相試験で実証し、発表したのは今回の研究が初めてである。

今回の研究では、切除不能な局所進行性または転移性の遺伝性甲状腺癌患者30人を対象とした。部分奏効率は20%、53%の患者において24週以上の腫瘍が安定状態であった。全病勢コントロール率は73%であった。著者らは、「バンデタニブは持続的かつ客観的な対腫瘍効果と病勢コントロール効果を示し、その毒性プロフィールは対処可能なものであった」と述べた。

コメント:これらのデータ及びネクサバールとアクシチニブに関するデータは、低分子標的治療薬が甲状腺癌の治療に重要な役割を果たす可能性があることを示唆している。

参考文献:
[1] Wells AS, Gosnell JE, Gagel RF, et al. Vandetanib for treatment of patients with locally advanced or metastatic hereditary medullary thyroid cancer. Journal of Clinical Oncology [early online publication]. January 11, 2010.


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翻訳担当者 杉浦

監修 寺島 慶太(小児科医/テキサス小児病院)

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