白血病CAR-T療法の効果持続性は腫瘍量に依存

白血病CAR-T療法の効果持続性は腫瘍量に依存

再発B細胞性急性リンパ性白血病(B-ALL)患者の多くが、CAR-T細胞免疫療法後に完全寛解となったが、治療時の腫瘍量が効果持続性および長期生存に影響を与えたとの臨床試験データが、2017年4月1日〜5日開催の米国がん学会(AACR)の年次総会で発表された。

「再発または治療抵抗性ALL成人患者の5年生存率は10%未満であり、きわめて予後不良です。したがって、これらの患者に対して効果的な治療法を開発する必要が明確に求められています」と、ニューヨークのスローンケタリング記念がんセンターの担当医助手であるJae Park医師は述べた。

「この目標を達成するために、われわれや他のグループは、CD19特異的CAR-T細胞療法[19-28z CAR-T細胞療法]を開発・試験し、B-ALL患者で初回完全寛解率が高いという有望な結果を報告しました。しかし、一見深い寛解が得られた後でさえしばしば再発がみられ、一部の患者では重篤な毒性が観察されています」とPark氏は指摘した。

したがって、Park氏のグループは、19-28z CAR-T細胞療法を試験した前方視的な臨床試験のデータを後方視的に解析し、この療法から最大の利益を受けた患者を同定した。この試験における51人の成人B-ALL患者全員が、1種類以上の通常の多剤化学療法後に再発または治療抵抗性となっていた。

研究者らは、すべての患者においてCAR-T細胞投与前に残存病変を測定し、患者を2つの群、すなわち骨髄中の芽球細胞が5%未満である微小残存病変(MRD)の20人、 芽球細胞が5%以上の形態学的病変の31人に分類した。

MRD群および形態学的病変群における完全寛解率は、それぞれ95%と77%であり、統計学的な差はみられなかった。 中央値で18カ月の追跡期間の後、MRD群ではほとんどの患者が無病生存していたため、無イベント生存および全生存期間の中央値を算出できなかったが、形態学的病変群の患者ではおのおの6.3カ月と17カ月であった。 本研究では、いずれの群においても、CAR-T細胞療法後に造血幹細胞移植(HSCT)を行っても、患者の長期生存が改善しないことも判明した。

「造血幹細胞移植の重要性を適切に評価するためには、より多くの患者と長い追跡期間が必要であるが、この分析の結果は、少なくとも一部の患者においては19-28z CAR療法が幹細胞移植への橋渡しではなく、決定的で治癒的な療法と考え得るのではないかと問題提起するものです」とPark氏は指摘した。

「われわれのデータは、CAR-T細胞療法を行っても長期的治療効果が持続する可能性が低いと考えられる形態学的な再発を待つのではなく、初回化学療法後のMRD時に19-28z CAR T細胞療法を組み入れることで、CAR-T細胞に起因する寛解および生存の持続が最大化し、これら高リスク患者をHSCTから潜在的に救える可能性を示唆しています」と付け加えた。

MRD群の患者は、形態学的病変群の患者と比較し、副作用に関しても軽度であった。 CAR-T細胞に関連する2つの主要な副作用であるサイトカイン放出症候群(CRS)および神経毒性は、MRD群の患者ではそれぞれ5%および15%であったが、形態学的病変群の患者では42%および58%に認められた。 この研究のいずれの群においても脳浮腫の患者は観察されなかったとPark氏は述べた。

この研究の限界は、これが後方視的解析であるため、その結果は前方視的に検証される必要があるとPark氏は述べた。さらに、CAR-T療法後の同種造血幹細胞移植の影響に関する分析は、この研究ではこの問題に具体的に答えるようデザインされておらず、各群のサンプル数が少ないため、限られたものであった。

この研究は国立がん研究所、テリーフォックス財団、ジュノ・セラピューティックス、MSKCC実験治療センターの資金提供を受けた。 Park氏はAmgen、Pfizer、Baxaltaから顧問料を受け取っている。

翻訳担当者 橋本 奈美

監修 吉原 哲(血液内科・細胞治療/兵庫医科大学)

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