CPX-351が高齢の急性骨髄性白血病(AML)の生存期間を延長

キャンサーコンサルタンツ

CPX-351(商品名Vyxeos)の使用は、シタラビンとダウノルビシン併用の標準的化学療法(7+3)と比較して患者の生存を改善することが最近の第3相臨床試験の結果により示された。この結果は近く行われる2016年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会において発表される。

米国では毎年、約20,000人が急性骨髄性白血病(AML)と診断されている。AMLは急性白血病の中で生存率が最も低い疾患である。

AMLは特定の免疫細胞の正常な分化を妨げるため、それら免疫細胞は未成熟なままとなる。このがん化した細胞は「芽球」と呼ばれ、感染と闘うという本来の能力がなく、急速に体内に蓄積される。この細胞によってほかの血液細胞が締め出され、本来の機能を果たさなくなる。

AMLの標準的な治療の基礎となるのが化学療法であり、これまで25年間にわたり基本的に変わらずに使用されてきたが、新たな対策が必要とされているのは明確である。

AML高齢患者に一般的に使用される療法の一つが、化学療法剤シタラビンとダウノルビシンの併用である。この併用療法は使用薬剤の投与方法から7+3療法とよばれている。

しかし、最近の研究で同じ化学療法を5対1で施行した場合と、標準的な投与方法と比較したところ、抗腫瘍効果で前者が上回るということが示された。

CPX-351は、米国食品医薬品局(FDA)への承認申請前の臨床試験最終段階にある薬剤である。CPX-351はシタラビンとダウノルビシンを5対1の割合で配合している。

再発のリスクが高い二次性AML高齢患者を対象にPX-351投与と、シタラビンとダウノルビシンの標準7+3療法とを直接比較する第3相臨床試験が最近行われた。この試験ではCPX-351を投与する群と、シタラビンとダウノルビシンの標準7+3療法を実施する群に患者を割り付け、その結果を2群間で直接比較した。

・全生存期間中央値は、CPX-351投与群の患者(約10カ月)の方が7+3療法群の患者(約6カ月)より3.6カ月長かった。
・治療開始後12カ月では、CPX-351投与群で41.5%の患者が生存し、7+3療法群の患者ではわずか27.6%であった。
・治療開始後24カ月では、CPX-351群で31.1%の患者が生存し、7+3療法群の患者ではわずか12.3%であった。
・重篤な副作用発生率は2群間で同程度であった。

これらの結果から、CPX-351の新薬承認申請(NDA)を今年の後半にFDAに行う見込みである。

今回の結果を発表したプレスリリースによれば、H. Lee Moffitt Cancer Center & Research Institute (H・リー・モフィットがん研究センター)白血病/骨髄異形成症候群プログラムのトップであり、今回の研究の臨床試験責任医師であるJeffrey E. Lancet医師は、以下のように述べている。「CPX-351使用による全生存期間の延長は、7+3療法と比較しても奏効率が優れており、重篤な毒性の上昇がないため、二次性AML高齢患者に対する新たな標準治療となると期待されます。このことは治療がかなり困難な患者たちにとって大きな前進になります」。

参考文献:
Celator Pharmaceuticals, Inc. Celator Announces Phase 3 Trial for VYXEOS™ (CPX-351) in Patients with High-Risk Acute Myeloid Leukemia Demonstrates Statistically Significant Improvement in Overall Survival. Available at: http://ir.celatorpharma.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=960543. Accessed March 15, 2016.


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翻訳担当者 廣瀬千代加

監修 佐々木裕哉(血液内科・血液病理/久留米大学病院)

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