ブリナツモマブのFDA承認

ブリナツモマブのFDA承認

商標名:Blincyto[ブリンサイト]

・フィラデルフィア染色体陰性で再発または難治性の前駆B細胞性急性リンパ性白血病の治療薬として承認(2014/12/03)

臨床試験情報、安全性、投与量、薬物間の相互作用および禁忌などの全処方情報がFull prescribing information(英文)で参照できます。

2014年12月3日、米国食品医薬品局(FDA)はblinatumomab[ブリナツモマブ](商標名:Blincyto[ブリンサイト]、製造元Amgen社)を、フィラデルフィア染色体陰性で再発または難治性の前駆B細胞性急性リンパ性白血病(ALL)の治療に対して迅速承認しました。

この承認は、再発または難治性ALL患者185人を登録した第2相多施設共同単群オープンラベル試験(治験実施計画書MT103-211)において、永続的な完全寛解を達成し、微小残存病変量が10−4未満(正常細胞1万個あたり白血病細胞が1個未満)に減少したことに基づきます。ブリナツモマブを6週間のサイクルごとに4週間持続注入しました。一次治療(導入療法)として最大2サイクル実施し、寛解後療法(強化療法)として3サイクル実施しました。

この臨床試験では、再発または難治性ALL患者のうち32%(95%CI:26, 40)が、ブリナツモマブで2サイクル治療した後に完全寛解しました。奏効期間の中央値は6.7カ月でした(0.46カ月~16.5カ月)。

さらに、この試験に登録した患者のうち31%(95%CI:25, 39)は、血液学的に完全に回復しているかどうかにかかわらず完全寛解に達し、微小残存病変が10−4未満に減少しました。

この試験および他の臨床試験でブリナツモマブを投与された再発または難治性ALL患者212人について、安全性を評価しました。よくみられた有害反応(患者の20%以上に認められた反応)には、発熱(62%)、頭痛(36%)、四肢の浮腫(25%)、発熱性好中球減少症(25%)、悪心(25%)、血液中のカリウム濃度の低下(低カリウム血症)(23%)、発疹(21%)、振戦(20%)、便秘(20%)がありました。ブリナツモマブを投与した患者のおよそ半数に神経毒性が認められ、しばしば治療の中断を必要としました。

ブリナツモマブは二重特異性モノクローナル抗体で、免疫系を刺激し、腫瘍の成長を阻害します。ブリナツモマブは、白血病細胞の表面に過剰発現している腫瘍関連抗原であるCD19を、T細胞の表面にありT細胞受容体の一部として機能する糖タンパク質であるCD3と結合させます。ブリナツモマブが白血病細胞をT細胞に連結させることで、T細胞が活性化し、CD19が過剰発現している白血病細胞に対して細胞傷害性T細胞応答をします。

ブリナツモマブによって活性化された免疫系は血液中のいくつかのサイトカインの濃度を上昇させ、サイトカイン放出症候群と呼ばれる生命を脅かす可能性がある毒性を引き起こします。ブリナツモマブを投与した患者の11%でサイトカイン放出症候群が報告され、生命を脅かすものまたは死に至るものもありました。ブリナツモマブの添付文書には、サイトカイン放出症候群および神経毒性に関する黒枠警告が表示されています。さらに、FDAは、サイトカイン放出症候群、神経毒性という重篤なリスク、および誤処方・誤投与の可能性があることを医療従事者に伝える情報伝達計画を内容とする、リスク評価・軽減戦略(Risk Evaluation and Mitigation Strategy[REMS])を適用してブリナツモマブを承認しました。

FDAの迅速承認プログラムの要件として、ブリナツモマブが、フィラデルフィア染色体陰性で再発または難治性の前駆B細胞性ALL患者の生存期間を延長することを確認する臨床試験を実施するよう、製造元に要求しています。

45 kg以上の体重の患者に推奨されているブリナツモマブの用法・用量は、最初の42日間サイクルでは、1~7日目に9 μg/日、8~28日目に28 μg/日投与します。そのあとのサイクルでは1~28日目に28 μg/日で投与しなければなりません。

この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。
FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。

翻訳担当者 有田香名美

監修 金田澄子(薬学)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

白血病に関連する記事

医療用画像診断による被ばくと小児のがん評価研究の画像

医療用画像診断による被ばくと小児のがん評価研究

400万人近くの小児および青年を対象とした研究により、小児の血液および骨髄がんの10%は、放射線被曝に起因している可能性が明らかにカリフォルニア大学サンフランシスコ校およびカリ...
 ​【ASH 2025】2種の高悪性度血液腫瘍に対するピベキマブ・スニリンの有望性の画像

 ​【ASH 2025】2種の高悪性度血液腫瘍に対するピベキマブ・スニリンの有望性

2つの臨床研究により、難治性で悪性度の高い2種の血液がん患者における高い奏効率が示された。 ピベキマブ・スニリン(PVEK)は、両疾患で過剰発現するCD123抗原を標的とする。PVEK...
【米国血液学会ASH25】ダナファーバーの発表:マクログロブリン血症、リンパ腫、MDSほかの画像

【米国血液学会ASH25】ダナファーバーの発表:マクログロブリン血症、リンパ腫、MDSほか

ダナファーバーがん研究所は、第 67 回米国血液学会(ASH)年次総会(2025年12月6日〜9日、米国フロリダ州オーランド)において、120件を超える口頭発表およびポスター発表を行い...
米FDAが白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫にピルトブルチニブを通常承認の画像

米FDAが白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫にピルトブルチニブを通常承認

2025年12月3日、米国食品医薬品局(FDA)は、再発/難治性の慢性リンパ性白血病または小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)成人患者のうち、共有結合型BTK阻害薬による治療歴のある...