低年齢の女子にはガーダシルの接種回数が少なくても有効な可能性

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Journal of the American Medical Association誌に掲載された研究の結果によるとヒトパピローマウイルス(HPV)に対するワクチンであるガーダシルは、10代後半以降には、3回接種が推奨されるものの、特に8~12歳の子どもに対しては2回接種でも十分に効果がみられる可能性がある。

HPVは全米で最も多い性感染症で、100を超える異なるタイプ(型)がある。いくつかの型のHPVは手や足のイボをひきおこし、別の型は生殖器にできるイボ(尖圭コンジローマ)をおこし、また他の型は、癌に関係があるとされ、最も注目すべきは子宮頸癌である。実際のところ、HPVは子宮頸癌の主な原因と考えられている。他のHPVが関わる癌には外陰癌、肛門癌、陰茎癌、ある種の頭頸部癌がある。

ガーダシル®(4価 ヒトパピローマウイルス([6型、11型、16型、18型] 遺伝子組み換えワクチン)は、子宮頸癌に関わるHPVの型から守る、米国食品医薬品局(FDA)に承認された2つのワクチンのうちの1つである。そのワクチンは、4種類のHPV、6型、11型、16型、そして18型の感染を予防する。約70%の子宮頸癌は、16型と18型HPVが原因と、また約90%の尖圭コンジローマは6型と11型によって引き起こされると考えられている。

HPVワクチンはかなり効果的であるとされながらも、米国疾病対策予防センター(CDC)が行った米国の10代の免疫に関する調査によると、3回接種をすべて受けるのは全米の10代のうち、3分の1に満たない。ある医師達は、ワクチンの利用はおそらくコストが問題になるかもしれないと考えていた。2回接種によって、3回接種と同程度の予防効果が得られるかどうかを究明するため-であれば、接種にかかる金額を節約できる-研究者らは、ランダム化第3相試験を830人のカナダの9歳から26歳の女性を対象として行った。9歳から13歳の女子は、無作為に、ガーダシルの接種を初回(0カ月)、2カ月後と6カ月後の3回受けるグループと、初回(0カ月)と6カ月後の2回接種を受けるグループとに割り付けられた。16歳から26歳の青年女性はガーダシルの3回接種を行った。抗体価は0、7、18、24、36カ月後に測定した。

結果はガーダシルを2回接種した、より低年齢の女性グループが、3回接種の10代および青年女性と少なくとも同数のHPV抗体を産生することを示した。さらに、接種の予防効果は、初回接種から3年経過するまでの間持続するとみられる。

研究者らは、ワクチン2回接種の抗体形成反応が有望であるとしながらも、それがウィルスの感染や癌を必ずしも予防することを証明したわけではないと警告する。2回の接種が3回の接種と同程度に予防できるかをさらに見極めるため、より長期にわたる研究が現在進行中である。これまでのところ、今回の結果は有望であり、ひいてはコストを節約しうるということも証明できるはずであり、より多くの少女にワクチンを接種できることにつながるだろう。確かな検証データが得られるまで、研究者らは、少女に対し引き続き3回接種を推奨する。

参考文献:
Dobson SRM, McNeil S, Dionne M, et al. Immunogenicity of 2 doses of HPV vaccine in younger adolescents vs 3 doses in young women: A randomized clinical trial. JAMA. 2013; 309(17):1793-1802.


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翻訳担当者 内藤裕子

監修 喜多川 亮(産婦人科/NTT東日本関東病院)

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