Atezolizumabは進行膀胱がんに対し、長期間持続する抗腫瘍効果を示す

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現在、研究段階である免疫療法薬atezolizumab[アテゾリズマブ]は、進行膀胱がん患者において高い確率で抗腫瘍効果を示す。これらの結果は、米国臨床腫瘍学会2016年泌尿生殖器がんシンポジウム(ASCO GU)で最近発表された。

尿路上皮がん(以前は移行上皮がんと呼ばれていた)は、腎臓の一部、膀胱および尿管(腎臓と膀胱を繋ぐ管)のがんであり、これらの臓器を覆う細胞から発生する。

尿路上皮がんは膀胱がんの中で最も発生頻度の高いがんである。膀胱がんが早期に発見、治療された場合の治癒率は高いが、膀胱がんが膀胱外の遠隔部位に転移してしまうと、有効な治療選択肢は依然として限られている。特に、前治療後に再発した患者ではそうである。

Atezolizumabは身体の免疫系ががんと闘えるように補助する薬剤である。atezolizumabは、がん細胞が免疫系の攻撃を回避するために利用するプログラム細胞死リガンド-1(PD-L1)というタンパク質を阻害することにより抗腫瘍効果を発揮する。PD-L1が阻害されると、免疫系細胞はがん細胞を脅威として認識することが可能となり、がんを破壊する攻撃を開始する。

研究者らはこのほど、膀胱がん患者治療におけるatezolizumabの評価をさらに進める臨床試験を実施した。本試験は、IMvigor 210試験と呼ばれ、前治療後に再発した進行膀胱がんの患者を対象とした。本試験の患者群のうち41%が2回以上の前治療を受けていた。

・全生存期間の中央値は、PD-L1高発現の患者では11.4カ月、患者全体では7.9カ月であった。
・Atezolizumabにて抗腫瘍効果が得られた患者の84%が、PD-L1の発現量に関係なく、約1年時点でも治療の効果が持続していた。
・抗腫瘍効果持続期間の中央値はまだ得られていない。
・6カ月の時点で、PD-L1中~高発現の患者の30%、PD-L1低発現の患者の23%で無増悪生存が達成された。
・全体的にatezolizumabの忍容性は非常に良好であった。

Atezolizumabは、前治療後に再発した進行膀胱がん患者に対して長期間持続する抗腫瘍効果を示すと思われると研究者らは結論づけた。膀胱がんに対するatezolizumabの初回治療としての有効性、および他剤と併用した際の有効性について、さらに評価する研究が継続して進行中である。

参考文献:
Hoffman-Censits J., et al. IMvigor 210, a phase 2 trial of atezolizumab (MPDL3280A) in platinum-treated locally-advanced or metastatic urothelial carcinoma (mUC). Proceedings from the 2016 Genitourinary Cancers Symposium of the American Society of Clinical Oncology (ASCO GU). Presented Friday, 8 January 2016, [0755–0930], San Francisco, CA, USA. Abstract #355.


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翻訳担当者 武藤 希

監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)

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