がん研究で分子の謎を解明するのに役立つ包括的プロテオゲノムデータセットをNCIが発表
米国国立がん研究所(NCI)ニュースリリース
概要
米国国立衛生研究所は、10種類のがんについて1,000を超える腫瘍の個別研究から得られたゲノム、プロテオミクス、画像、臨床データを標準化した包括的なデータセットを公開する。世界中の研究者がこの一般公開された情報資源を利用することで、がんの発生と進行のしくみに関する新たな分子学的洞察を得ることができる。このデータセットは、米国国立衛生研究所の一機関である、米国国立がん研究所の臨床プロテオミクス腫瘍分析コンソーシアム (Clinical Proteomic Tumor Analysis Consortium [CPTAC])によって作成された。
この汎がんプロテオゲノミクスデータセットは、Cancer Cell誌に掲載された論文に記載されており、プロテオミクス科学における数十年にわたる技術的進歩の上に構築されたものである。このデータセットの公開は、データ共有の向上を介してがん研究を加速するというバイデン-ハリス政権のがんムーンショット計画の目標で支援されたものである。CPTACの研究者らによってCell誌に発表された2編の追加研究論文は、科学的発見のための貴重な情報資源としてのデータセットの可能性を初めて提供するものである。最初の論文では、マルチオミクス解析を用いて、がんドライバー変異とタンパク質のパターンを結びつけている。2番目の論文では、細胞シグナル伝達と生理機能を制御するタンパク質修飾を掘り下げて研究し、異なる腫瘍型にまたがったDNA修復、代謝、免疫との関連を示している。
研究者
Henry Rodriguez博士(経営学修士)、Ana I. Robles博士:米国国立がん研究所 がん治療・診断部門
研究
8月14日付のCancer Cell誌に掲載 「汎がん解析のためのプロテオゲノミクスデータとリソース(Proteogenomic Data and Resources for Pan-Cancer Analysis)」
8月14日付のCell誌に掲載 「汎がんプロテオゲノミクスが発がんドライバーと機能状態を結びつける(Pan-Cancer Proteogenomics Connects Oncogenic Drivers to Functional States)」、
「翻訳後修飾の汎がん解析によりタンパク質制御の共有パターンが明らかになる(Pan-Cancer Analysis of Post-Translational Modifications Reveals Shared Patterns of Protein Regulation)」
- 監訳 石井一夫(計算機統計学/公立諏訪東京理科大学工学部 情報応用工学科)
- 翻訳担当者 青山真佐枝
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- 2023/08/14
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