ASCOおよびLIVESTRONG財団が癌治療における格差是正のための教育シリーズを共同開発

米国臨床腫瘍学会(ASCO)とLIVESTRONG財団は、質の高い癌治療の利用と提供を進めるという共通の方針に基づき、癌治療における格差是正のための教育的取り組みを開始した。ASCOとLIVESTRONG財団はこの重要な課題について、11の機関におけるさまざまな企画グループとともに、癌患者の治療に携わる専門家のためのe-ラーニングコースを開発した。3つのコースがASCO University®において利用することができ、これらはLIVESTRONG財団の助成を受けてASCOのConquer Cancer Foundation が資金提供をしている。

「さまざまな集団での癌治療における格差は、われわれの社会にとって深刻な問題であり続けています」とClifford A. Hudis氏, 医師、FACP、ASCO会長は述べた。「癌患者を治療する医師団として、われわれはすべての患者が、常に最良の治療を確実に受けられるよう全力を尽くしています。癌患者の治療に携わるヘルスケアの専門家を教育することは、われわれがこの問題に正面から取り組むためのひとつの方法です」。

「LIVESTRONG財団にとって、癌治療における格差についてのヘルスケア専門家を教育する、このe-ラーニングコースをASCOとともに進めることは栄光です。」とこのプログラムのVice PresidentであるLIVESTRONG財団のDr.Ruth Rechis氏は述べた。
「誰もが質の高いヘルスケアを受けるべきです。格差についてより多くの知識を得ることで、治療の効果が改善され、その結果、人々がより長くより健康でいられることをわれわれは望んでます。」

シリーズでは、治療に携わるものの知見と経験や制度といった現状の課題だけでなく、さまざまなバックグラウンドを持つ患者についても総括する。

また、癌治療を行うために必要となる、文化を理解する能力の開発にも焦点を当てており、それによって参加者(腫瘍専門家以外に、癌患者のケアに関わる専門家も対象に設計されている)は、癌治療における格差に関連する課題の知識と理解を評価できるようになる。
e-ラーニングコースは医師生涯教育や看護師生涯教育、薬剤師涯教育の単位にすることができる。詳細はuniversity.asco.org/disparitiesを参照。

ASCO universityにおける癌治療の格差についての教育シリーズの開発を主導する専門家企画グル―プには、以下の組織が含まれている。
• American Nurse Practitioner Foundation
• American Pharmacists Association
• American Society of Clinical Oncology
• American Society of Pediatric Hematology Oncology
• American Society for Radiation Oncology
• Association of Oncology Social Work
• Association of Physician Assistants in Oncology
• Commission on Cancer, American College of Surgeons
• Interstate Postgraduate Medical Association
• LIVESTRONG Foundation
• Oncology Nursing Society
• Society of Gynecologic Oncology
• Society of Surgical Oncology

癌治療における格差に関する諸問題は、予防から診断、治療、治療の結果まで、ケアのあらゆる側面に影響を及ぼす。貧困である、交通手段がない、健康保険に加入していない、言葉やリテラシーの壁がある、医師や医療制度に対して期待が持てないことなどが寄与因子としてあげられる。治療を受けることを制限している原因は多様だが、医療サービスにおける人種や民族間の格差は、米国におけるこの問題の重要な一因となっている。

専門家のための教育コースを提供することに加え、患者のための教育用ビデオシリーズも作成されている。このシリーズでは、質の高い癌医療を受診する際に障害となる一般的な問題を説明し、それらの問題を解決するための実用的な情報を提供する。教育用ビデオシリーズもLIVESTRONG財団の助成を受けたConquer Cancer Foundationにより資金提供を受けており、Cancer.Netで利用できる。

American Society of Clinical Oncologyについて
米国臨床腫瘍学会(ASCO)は1964年に設立され、癌患者の治療に携わる医師で構成される世界をリードする専門家組織である。
ASCOの会員は30,000人を超え、医学会や教育プログラム、論文審査のある学術誌の発行などを通して癌治療の向上に取り組んでいる。
ASCOは関連組織であるConquer Cancer Foundationにより資金援助を受けている。Conquer Cancer Foundationは癌患者の生命、生活に明らかな変化をもたらす画期的な研究やプログラムを助成している。

ASCOについての情報および財源はwww.asco.orgを参照。

癌に関する患者向けの情報はwww.cancer.netで閲覧できる。

LIVESTRONG財団について
LIVESTRONG財団は、今現在癌を患う人々の生命、生活をより良いものにするために取り組んでいる。
LIVESTRONG財団は1997年に設立され、無料の癌支援サービスの提供と治療と生命、生活の質の向上を方針として掲げていることで知られている。
強いブランド力で知られるLIVESTRONG財団は、世界中で希望と勇気の象徴となっている。
設立以来、財団は癌を患う250万人もの人々に貢献し、がんサバイバーを支援するために5億ドル以上を調達している。
財団は優れたガバナンス、高い基準と透明性により、Charity Navigator、National Health Council(米国健康評議会)、Better Business Bureauといった産業界のリーダー的組織から、米国トップの非営利団体であると認められている。
LIVESTRONG財団の詳細についてはLIVESTRONG.orgを参照。

Conquer Cancer Foundationについて
Conquer Cancer Foundation(CCF)はAmerican Society of Clinical Oncology(米国臨床外科学会)に所属する世界第一線の癌治療医らにより、あらゆる種類の癌の予防、根治療法と緩和治療の飛躍的改善を追及するために創設された。“癌の恐怖のない世界”というビジョンに向かって、CCFは世界中の画期的な癌研究の支援、患者と医療従事者の知識の共有、癌を患うすべての人々の生命と生活の質を高めることを通し、癌を克服するために活動している。
詳細はwww.conquercancerfoundation.orgを参照。

翻訳担当者 高橋智子

監修 朝井鈴佳(獣医学・免疫学)

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原文掲載日 

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