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2009/06/30号◆特集記事「新法によりFDAがタバコを規制」

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2009/06/30号◆特集記事「新法によりFDAがタバコを規制」

同号原文 

NCI Cancer Bulletin2009年06月30日号(Volume 6 / Number 13)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~
 
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特集記事

新法によりFDAがタバコを規制

バラク・オバマ大統領は、「米国人の命を救う」法案『Family Smoking Prevention and Tobacco Control Act(家族の喫煙予防とタバコ規制法)』に署名し、成立させた。この新法は、米国食品医薬品局(FDA)にタバコ製品を規制する権限を付与するもので、同法のもと、今後FDAはタバコの製造、宣伝、および販売に関わる強力な権限を新たに持つことになる—これは、従来FDAに付与されてきた公衆衛生基準をさらに拡大適用した権限である。

《動画再生はこちら
【動画下文訳】 6月22日、バラク・オバマ大統領がFamily Smoking Prevention and Tobacco Control Act(家族の喫煙予防とタバコ規制法)に署名

本法案は何百人もの米国連邦議会議員や国内トップクラスの公衆衛生機関および医療機関の職員らから支持を得ており、その成立は彼らから賞賛を受けた。

「FDAにタバコ製品規制の権限を付与するという長年の懸案に、オバマ大統領が署名したこの日は、特別に賞賛すべき日です」と、同法を上院議会で創案し、タバコ規制に熱心に賛同してきたEdward Kennedy上院議員(マサチューセッツ州・民主党)は述べた。

FDA にタバコ製品を規制する法的な権限を与えようとする動きは、一部の議員や公衆衛生機関の間で1990年代半ばに本格化した。しかし、2000年春に米国最高裁判所で、FDAにタバコを規制する権限を与えず、その権限を付与するには議会の同意が必要である、との決議が5:4で下されてから、この動きは活発化していた。

新法案はまさにその同意を得たもので、FDAに数々の包括的な法的権限を与えており、例えば、以下のようなことを求めている。

•タバコの潜在的な有害性および成分についての警告ラベルを新しく、現状よりも大きくわかりやすくして製品に表示、また「ライト」や「マイルド」などの誤解を招くような表現の使用を禁止

•店頭や10代後半の若者の読者が多い雑誌での白黒広告文の規制、およびスポーツや娯楽イベントでのタバコ企業のスポンサー活動の全面禁止など、10代の若者および子供たちを対象にした宣伝を大幅に制限

•タバコメーカーは2年おきにFDAに登録をし、新製品の市場前審査報告を含め、流通を希望するすべてのタバコ製品の製造および成分に関する総合的な情報を提出

•タバコにキャンディーのような風味やその他の添加物を加えることを禁止

新法のもとでFDAが規制に取り組む際には、当局が管理を行っている薬品およびその他の品目に適用している「安全かつ効果的な」基準には従わない、とワシントンD.C.のPinney Associatesで政策および戦略通信担当部長を務め、1990年代にFDAタバコプログラム事務局の指揮をとった、Mitch Zeller氏は説明している。むしろ、FDAのタバコに対する規制活動は公衆衛生保護に適した基準に従うことになるという。

「非常に大まかな基準です」とZeller氏は続けた。「例えば・・・FDAが提案する製品規格などといった規制機能のことになると、その基準がどのようなものかは議会で明らかになります。」

このような法的柔軟性は非常に重要である、とTobacco Free Kids(タバコ・フリー・キッズ)運動に参加しているVince Willmore氏は言う。つまり、FDAはタバコに関して「公衆衛生保護の目的で追加措置を取る必要がある場合に、その都度議会へ足を運ばなくてもよい」ということである。

「この法案ほど強力なタバコ規制措置を議会が承認したのは初めてだと思います」とWillmore氏は述べている。

本法令は、タバコメーカーおよび輸入業者に手数料を課すことで、FDAにタバコ規制活動の資金を供給する仕組みも構築している。さらに、FDA内に Center for Tobacco Products(タバコ製品センター)を新たに設け、とりわけ新法施行を円滑に進めるためにTobacco Products Scientific Advisory Committee (タバコ製品科学諮問委員会)を設けることを命じている。

新法が成立 — 今後どうなるのか?
FDA はCenter for Tobacco Productsのスタッフ雇用およびインフラ構築に着手することになり、その規模は同局の生物製剤や医療機器のセンターに並ぶものとなるだろう、と Zeller氏は述べている。規制活動について言えば、本法令は特定の活動について具体的な期限を設定しているとWillmore氏は説明している。それには以下のような規制の発令が含まれている

•3カ月以内に、キャンディ、フルーツ、およびその他の風味の添加を禁じる

•12カ月以内に、「ライト」および「低タール」などの表現を製品ラベルに用いることを禁じる

•15カ月以内に、十代の若者および子供たちへのタバコの宣伝および販売を制限する、これには店頭や10代後半の若者の読者が多い雑誌での白黒広告文の規制も含まれる

•24カ月以内に、現状よりも大きく、図を多く用いた警告ラベルを求める

Zeller氏の指摘によると、ニコチンに関しては本法令ではタバコ製品からニコチンを除去するようFDAが求めることは禁じているが、ニコチン濃度を中毒の閾値以下に引き下げるよう求めることを禁じる記述はないという—このことは現在、検討中の課題である、と彼は述べている。

Zeller 氏は、新法のもと、FDAはまず10代の若者および子供たちへのタバコ製品の販売および宣伝の制限に取り組むであろうとしている(上記枠内参照)。また FDAは、世界保健機関(WHO)より昨年発行の、タバコ規制優先地域を特定した指針書を参考にするとみられる。

FDA による規制が米国内の喫煙普及率低下を大きく促進するのに役立つと期待される一方で、これは万能の解決策ではない、とNCIのTobacco Control Research Branch(タバコ規制調査課)長を務めるDr. Cathy Backinger氏は述べる。「規制は、包括的なタバコ規制政策において非常に重要な要素ではありますが、進歩を遂げるためにわれわれがなすべきことはそれだけではありません」と彼女は言う。「科学的根拠に基づいたプログラムおよび政策を実行し、どうすれば若者と成人両方の喫煙普及率を引き下げることができるのかを理解するために研究努力を続けることも必要なのです。」

— Carmen Phillips

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河原 恭子 訳

小宮 武文(胸部内科医/NCI研究員・ハワード大学病院)監修

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