[ 記事 ]

FDAが膵・消化管神経内分泌腫瘍の内用療法にLutatheraを承認

速報

米国食品医薬品局(FDA)は本日、Lutathera(ルテチウム Lu、177 ドータテート)を、膵・消化管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)と呼ばれる、膵臓あるいは消化管に影響を及ぼすがん種に対する治療薬として承認した。放射性薬剤あるいは放射性医薬品をGEP-NET治療薬として同局が承認したのは今回が最初となる。Lutatheraはソマトスタチン受容体陽性GEP-NET成人患者に適応される。

 

「GEP-NETはまれな種類のがんです。また、初期治療で腫瘍が増殖した後の治療選択肢は限られています」と、FDAのOncology Center of Excellenceセンター長でFDA医薬品評価研究センター血液・腫瘍学製品室室長代理のRichard Pazdur医師は述べた。「この承認により、GEP-NETというまれながん患者の治療選択肢が1つ得られました。また、FDAが新規治療薬に対する承認を支援するために、expanded accessプログラムで用いられる治療法のデータについて検討する方法が示されました」とも述べた。

 

GEP-NETは膵臓および胃、腸、大腸、および直腸など消化器のさまざまな部位に認められる。1年あたり約27,000人に1人がGEP-NETとの診断を受けると推定される。

 

Lutatheraは放射性薬剤であり、ソマトスタチン受容体と呼ばれる細胞の一部に結合することで作用する。ソマトスタチン受容体は特定の腫瘍に認められる。Lutatheraはソマトスタチン受容体に結合すると細胞内に侵入し、それにより放射線が腫瘍細胞を破壊することができる。

 

Lutatheraの承認は2件の研究により支持された。1つ目の研究は、特定の種類の進行性ソマトスタチン受容体陽性GEP-NETタイプ患者229人を対象としたランダム化臨床試験である。試験に参加した患者はLutatheraとオクトレオチドとの併用投与あるいはオクトレオチド単独投与のいずれかを受けた。試験では、治療後に腫瘍が増殖しなかった期間(無増悪生存期間:PFS)を調べた。Lutathera+オクトレオチド併用投与群の患者の方がオクトレオチド単独投与群の患者よりもPFSは長かった。このことは腫瘍増大リスクあるいは患者死亡リスクはLutathera+オクトレオチド併用投与群の患者の方がオクトレオチド単独投与群の患者よりも低いことを意味する。

 

2つ目の研究は、オランダの単施設でLutathera投与を受けた、GEP-NETを含むソマトスタチン受容体陽性腫瘍を有する患者1,214人から得たデータに基づいた。腫瘍の完全または部分縮小がGEP-NET患者360人からなる集団の16%で報告された。患者の反応はFDAが評価した。当初研究に登録した患者はexpanded accessプログラムの一環としてLutathera投与を受けた。Expanded accessプログラムは代替治療が得られない、重篤またはすぐに命に係わる疾患、または病態を有する患者に対し、治療目的での治験薬の使用が可能になる方策である。

 

Lutatheraでよくみられる副作用には、白血球減少(リンパ球減少)、一部臓器における酵素値上昇(GGT、ASTやALT値の上昇)、嘔吐、悪心、血糖値上昇(高血糖)、および血中カリウム値減少(低カリウム血症)などがある。

 

Lutatheraの重篤な副作用として血球減少(骨髄抑制)、特定の血液または骨髄がんの発症(続発性骨髄異形成症候群および白血病)、腎障害(腎毒性)、肝障害(肝毒性)、体内ホルモン値異常(神経内分泌ホルモン異常)および不妊が挙げられる。発育中の胎児または新生児に害を及ぼす可能性があるため、妊娠中または授乳中の女性は、Lutatheraのリスクについてアドバイスを受け適切な避妊法を利用すべきである。Lutathera服用患者は放射線曝露を受けている。放射線に関する安全性慣行に従い、服用患者以外の患者、医療関係者、家族への曝露を抑えなければならない。

 

Lutatheraは優先審査指定を受けた。この指定は、FDAがその薬剤が承認されれば重篤な疾患の治療、診断、または予防の安全性または有効性を有意に向上させると判断した場合に認められ、6カ月以内に申請を審査することを目標としている。Lutatheraは、オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定も受けている。希少疾病用医薬品指定とは、希少疾患の治療を目的とした医薬品の研究開発を支援し奨励するための優遇措置が得られる制度である。

 

FDAはAdvanced Accelerator Applications社に対し、Lutatheraを承認した。

翻訳三浦恵子

監修中村能章(消化管悪性腫瘍/国立がん研究センター東病院 消化管内科)

原文を見る

原文掲載日

【免責事項】

当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。
翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

関連記事