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アルコール摂取が発がんリスク上昇と関連

  • 2017年11月28日
  • 発信元:米国臨床腫瘍学会(ASCO)

アルコール摂取は、量の多少に関わらず、乳がん、大腸がん、食道がん、頭頸部がんなど複数の発がんリスク上昇に関連することが、米国臨床腫瘍学会(ASCO)が収集したエビデンスから明らかになった。アルコールをがんの明らかなリスク要因と特定した本日発表の声明で、ASCOは、世界中で新たに診断されるがんとがんによる死亡の5~6%がアルコールに直接起因すると説明する。特に懸念されるのは、本年ASCOが実施した「全国がん世論調査」によると、米国人の70%がアルコール摂取をがんリスク要因として認識していないことである。

 

「一般的に人々はビール、ワイン、強いお酒を飲むことが生涯の発がんリスクの上昇に関係すると思っていません」とASCO会長のBruce Johnson医師(FASCO)は述べた。「しかし、アルコール摂取の増加とがんとの関連性はすでに確立されており、医学界として患者のがんリスク低下につながる方法を指導しています」。

 

10月24日に結果が発表されたASCO全国がん世論調査によれば、がんリスク低下対策としてアルコール摂取を制限しているのは、米国人の38%のみであった。ASCOにより委託され10月24日に発表された、米国人のがんについての考え方についてのこの全国世論調査は、2017年7月10~18日、ハリス世論調査により米国の18歳以上の成人4,016人を対象にオンラインで科学的手法に基づき実施された。これは米国のより広範な集団を正確に表しているとみられている。

 

すでに証明されているアルコールとがんの関連性への認識を高め、さらに、アルコール摂取量を制限してがんリスクを低下させるという目的のほかに、Journal of Clinical Oncology誌で発表された本声明では、アルコール過剰摂取を減少させるためのエビデンスに基づく複数の方針勧告を提示している。

 

・臨床の現場でアルコールのスクリーニングや短期的介入を実施する。

・アルコール直販店の分布密度を規制する。

・酒税およびアルコールの価格を引き上げる。

・販売日や販売時間の制限を継続する。

・未成年者への販売を禁止する法規制を強化する。

・若者へのアルコール飲料の広告露出を規制する。

・現在の政府の規制に則した各地域でのアルコール小売の民営化推進に反対する。

・包括的がん管理計画にアルコール規制戦略を組み入れる。

・アルコール飲料販売目的での「ピンクウォッシング」の使用排除への取り組みを支援する(アルコール摂取が乳がんリスク上昇に関わるというエビデンスをもとに、乳がん治療法発見への参画を示すピンク色やピンクリボンをアルコール飲料会社が便乗して使用するのを阻止する)。

 

「ASCOもそうですが、適度なアルコール摂取でさえがんを引き起こす可能性があると認識するがん治療機関や公共保健機関の数は増え続けています」と本声明の筆頭著者でありウィスコンシン大学内科学准教授であるNoelle K. LoConte医師は述べた。「アルコール摂取の制限はがん予防の一手段です。朗報として、皮膚がんリスクを抑えるために日焼け止めを塗るのと同じように、アルコール摂取制限は全般的な発がんリスクを低下させるためにできることの一つです」。

 

アルコール過剰摂取はがんを引き起こすのみならず、がん治療を遅延させたり、悪影響を及ぼしたりする。がん専門医は、患者のアルコール摂取量抑制を促す具体策を指示すること、がんリスクを上げる可能性がある人種、民族、性別、性的指向などの差異に対処すること、そして地域の助言者や指導者としてアルコール摂取をがんリスク行動とする認識を高めることにおいて、格好の立場にある。

 

がんのリスク要因としてのアルコールについてのさらに詳細な情報は、ASCOの患者情報ウェブサイトである「Cancer.Net」の「Prevention and Healthy Living(予防と健康的な生活)」セクションにある「Alcohol(アルコール)」のページで閲覧できる。さらに、「Cancer.Net」のポッドキャストで筆頭著者のNoelle LoConte医師による本内容を聴くことができる。本声明では、アルコール摂取とがんの関係や、ASCOがこのトピックについての声明を発表した理由についてLoConte医師が説明している。

翻訳太田奈津美

監修朝井鈴佳(獣医学・免疫学)

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