免疫療法が、再燃した中皮腫に効果を示す可能性 | 海外がん医療情報リファレンス

免疫療法が、再燃した中皮腫に効果を示す可能性

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

免疫療法が、再燃した中皮腫に効果を示す可能性

ASCO(米国臨床腫瘍学会)

ASCOの見解

「われわれは、より多種類のがんへの使用拡大に伴い、免疫療法の第2の波を目にしています。長い間、治療の選択肢があまりに少なかった中皮腫に対し、免疫療法が効果的な新しい治療法であることを本研究は示しています」と米国臨床腫瘍学会(ASCO)専門委員であるMichael S. Sabel医師(FACS)は述べた。「これらの結果は、中皮腫患者の予後を改善するための基礎として役立つでしょう」。

 

悪性胸膜中皮腫すなわちMPMは、まれながんであるが、その発生率は上昇している。このがんは通常、アスベスト曝露に関連しており、患者の平均余命中央値はわずか13〜15カ月である。初回化学療法にもかかわらずすべての患者が再燃し、50%以上の患者では治療中止後6カ月以内に再燃がみられる。現在、MPM患者に有効な治療の選択肢はない。

 

フランスで進行中の第2相臨床試験であるMAPS-2の早期の知見では、免疫療法は再燃後のMPMの増大を遅らせる可能性があることを示唆している。12週間後の時点で、ニボルマブ(オプジーボ)の投与を受けた患者の44%、ニボルマブ+イピリムマブ(ヤーボイ)投与を受けた患者の50%においてがんの悪化がみられなかった。

 

本研究は、本日の記者会見で取り上げられ、2017年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表される。

 

「われわれの知見は、免疫療法が再燃した中皮腫患者に新たな希望をもたらす可能性があることを示唆しています」とフランス・リールにあるリール大学病院(CHU)肺・胸部腫瘍科長で本研究筆頭著者であるArnaud Scherpereel医学博士は述べた。「このランダム化第2相試験の結果は、このような中皮腫患者に対する免疫チェックポイント阻害剤の使用を支持するのに十分であるかもしれないが、ニボルマブ単独あるいはニボルマブ+イピリムマブの併用のどちらがより良好であるかを結論づけるのは時期尚早です」。

 

試験について

この多施設共同臨床試験では、標準的なプラチナベースの化学療法を含む2レジメン以内の前治療を受けた進行MPM患者125人が登録された。患者の大多数(80%)は男性で、年齢の中央値は72歳であった。患者は、無作為にニボルマブ単独群またはニボルマブ+イピリムマブ併用療法群に割り付けられ、がんが悪化するまで治療は続けられた。いずれの群においても、患者の70%が割り付けられた治療を3クール以上受けた。

 

主な知見

著者らは、本研究で治療された最初の患者108人の結果を報告している。がんが縮小したかまたは増大しなかった患者の割合と定義される病勢コントロール率、DCRはニボルマブ単独投与群で44%、ニボルマブ+イピリムマブ併用群では50%であった(再燃したMPMに対してこれまでに検討されたすべての治療の12週時点でのDCRは30%未満であった)。

 

125人の患者を平均10.4か月追跡した時点で、がんが悪化するまでの期間(無増悪生存期間)の中央値は、ニボルマブ単独群では4カ月、ニボルマブ+イピリムマブ併用群では5.6カ月であった。全生存期間の中央値は、ニボルムマブ群では10.4カ月、ニボルマブ+イピリムマブ群では到達していない(解析時、50%以上がいまだ生存していたことを意味する)。十分なQOLデータはまだ入手できていない。

 

副作用は全体的にかなり軽度で、最も一般的なものは甲状腺機能障害、大腸炎、発疹であった。ニボルマブ+イピリムマブ併用群では、重篤な副作用がより多く認められ(18%対10%)、3件の治療関連死が発生した。

 

次の段階

著者らによると、125人の患者が組み入れられたMAPS-2は、現在までに中皮腫に対して行われている免疫チェックポイント阻害剤の臨床試験では最大である。進行中の多くの臨床試験では、MPMに対する二次治療、三次治療として、ニボルマブや他の免疫チェックポイント阻害剤が検討されている。さらに、MPMの初回治療としての免疫チェックポイント阻害剤を検討するより大規模な臨床試験がすでにいくつか行われている。

 

「中皮腫細胞は“がんを守る”腫瘍微小環境を構築し、免疫系の攻撃から身を守るのみならず、腫瘍免疫に対して反撃すらするのです」とScherpereel医師は述べた。「したがって、腫瘍の微小環境を免疫抑制状態から免疫活性化状態に移行させる治療法は、MPMに有望である可能性があります」。

 

中皮腫について

悪性胸膜中皮腫は、肺の被膜に始まるがんで、慢性炎症を引き起こすアスベストの職業暴露に関連している。MPMへ進展するにはアスベスト曝露から通常30〜40年かかる。

 

アスベスト使用は1960年代から1980年代がピークであった。米国および多くのヨーロッパ諸国ではアスベストの使用が禁止されているが、多くの発展途上国ではアスベストが使用され人々が暴露されている。「これらの理由から、私たちは今後数十年間に中皮腫の発生率が上昇し続けると予測しています」とScherpereel医師は述べた。

 

この研究はBristol-Myers Squibb社によって資金提供された。

 

全要約はこちら:full abstract.

原文掲載日

翻訳橋本奈美

監修田中文啓(呼吸器外科/産業医科大学)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

関連薬剤情報

一覧

週間ランキング

  1. 1診療時の腫瘍マーカー検査は不要な可能性
  2. 2DNAシーケンシング試験により希少がんに既存薬の適用...
  3. 3ペムブロリズマブが治療歴ある進行再発胃がんに有望
  4. 4非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  5. 5リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  6. 6BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  7. 7コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  8. 8若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  9. 9EGFR陽性非小細胞肺がん一次治療にオシメルチニブが...
  10. 10ニボルマブ、進行肺がん一次治療では患者選択が必要ーC...

お勧め出版物

一覧

arrow_upward

ユーザー 病名 発信元種別 発信元名 治療法別 がんのケア がんの原因・がんリスク がん予防 基礎研究 医療・社会的トピック 注目キーワード別 薬剤情報名種別

女性のがん
消化器がん
泌尿器がん
肉腫
血液腫瘍
その他
民間機関
その他