がんサバイバーに新たに発症する第2のがん―MDアンダーソンOncoLog 2016年6月号 | 海外がん医療情報リファレンス

がんサバイバーに新たに発症する第2のがん―MDアンダーソンOncoLog 2016年6月号

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がんサバイバーに新たに発症する第2のがん―MDアンダーソンOncoLog 2016年6月号

MDアンダーソン OncoLog 2016年6月号(Volume 61 / Issue 6)

 Oncologとは、米国MDアンダーソンがんセンターが発行する最新の癌研究とケアについてのオンラインおよび紙媒体の月刊情報誌です。最新号URL

 

がんサバイバーに新たに発症するがん

—– Kathryn Hale

がんサバイバーには、再発だけではなく第2の新たながんの発症リスクもある。サバイバーの二次がん発症リスクは、一般の人々の初発のがん発症リスクより通常は高い。しかしがん患者個々のリスクは、初発のがんのタイプやその他の要因によってさまざまである。がんサバイバーがこのリスクに対処する助けになればと、テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターの臨床サービスでは第2の原発がんの発症リスク低減や検診を実施している。

 

アメリカがん協会(ACS)の資料に基づくがん罹患者数は、2012年は1370万人だったのが、2014年には1450万人に増加した。このかつてない増加が、がん患者個々のニーズにあった医療サービスの需要を生み出した。

 

「がんサバイバーには、特有な医療と心理社会的ニーズがある」と、臨床がん予防学の教授でありMDアンダーソンのがん予防センターと予防アウトリーチセンターのメディカルディレクターであるTherese Bevera医師は述べ、「そしてこれらは必ずしも十分に取り組まれてはいないが、変わりつつある」と続けた。

 

MDアンダーソンでは、がんサバイバーの健康状態や生活の質の向上のための手段を模索しているところである。そして、その手段の1つがさらなるがん罹患リスクを減らすことである、とBevers医師は述べた。そのために、11の多様な専門科の成人サバイバークリニック、1つの小児がんサバイバークリニックに加え、がん予防センターを通じてサバイバーのリスク低減と検診を実施している。

 

サバイバーの二次がん発症の低減

MDアンダーソンでは、すべてのサバイバーに対する包括的ケアプランは次の4つから成る。がん再発に対する定期検査、がんとその治療による遅発性事象の観察と治療。質の高い生活に焦点を合わせた心理社会的機能の最適化、そして二次がんの発症リスクの低下とその早期発見を目的とした予防。最後の分野は、Bevers医師が監督実施している。

 

Bevers医師らがん予防センターのスタッフは、患者個々のリスク要因を特定し、リスク低下とスクリーニングの両面から提案を行う。リスク低減はリスクファクターを減らすあるいは無くすことによりがんの増殖を阻止することを見据えている。その一方で検診は早期発見に集中している。すなわち、がんに進展する前の前がん病変や、進行がんよりはるかに治療に成功しやすい早期がん、いずれかを発見することである。

 

MDアンダーソンで実施している全てのサバイバーケアががん予防センターで行われているわけではないが、さらに多くの患者が、同センターの二次がん発症リスク低減に焦点を当てた戦略による恩恵を得ている。

 

 

二次がんと初発のがんのリスク要因には大きな違いはない。リスク要因のうち、遺伝や老化などは制御不能である。その他の要因として環境曝露のような制御が難しいものがあるが、生活スタイル要因や予防可能な感染等と言った制御可能な要因もある。さらに、がん患者固有の要因もある。これは一般的に先行するがんの治療によるものであり、種のがん発症リスクを高める。例えば、放射線治療は皮膚がんのリスクを、また、抗がん剤の中には白血病の発症リスクを増大させるものがある。

 

不可避のリスク要因を減らすことはできない一方で、回避可能なリスク要因を排除するために多くの手段が取られている。食事、体重、運動量、日光や紫外線曝露、アルコール、喫煙などの生活スタイル要因は、がんサバイバーの第2のがん発症リスクに影響を及ぼす。ヒトパピローマウイルス(HPV)やB型肝炎などによる感染は、ワクチンによって防止可能なリスク要因である。

 

一般集団における全がんの約半分は健康的な生活スタイルとワクチン接種により予防可能であると思われる一方で、全ての要因を考慮するとその数字は70%に近いとBevers医師は考えている。さらに、がんサバイバーは元々もっている高リスクと治療に伴う不可避なリスク要因のため、予防可能ながんの割合は多少低くなると認識している。しかし、がん予防センターのミッションは、相当数の第2の原発がんの発症を防ぐことができるという原則で成り立っている。

 

ヘルシー・リビング・クリニックがサバイバーのリスク低減の一助に

がんサバイバーの健康全般を改善し、特定の生活習慣に関連するがんリスクを低減するため、がん予防センターは、2013年1月にヘルシー・リビング・クリニックを立ち上げた。クリニックのスタッフは、栄養(体重管理を含む)、運動、禁煙、心理社会的ニーズ、補完療法の5つの分野における行動様式を変更することにより生活習慣に関連するリスクを低減することに焦点を絞った、1対1のカウンセリングを行う。スタッフは、サバイバーの具体的な目標設定を支援し、その目標を達成できるよう、対面、電話、もしくはコンピューターで、定期的なフォローアップを行う。必要に応じて、MDアンダーソンが実施し成果を挙げているタバコ治療プログラム、または登録栄養士、ソーシャルワークカウンセラーもしくは健康教育者に、患者を紹介する場合がある。

 

生活習慣に関連するリスクの低減について患者を教育するため、 ヘルシー・リビング・クリニックはがんサバイバー支援室と連携している。がんサバイバー支援室は、推奨する生活習慣の変更点の具体的な内容についてサバイバーやその家族が学べるように、小冊子やビデオを作成している。

 

「われわれにとって予防の最大のきっかけは、とりわけ健康的な生活習慣とがんリスクを低減するその力についての教育です」と、Bevers医師は述べた。「がん治療後ケアへ移行すると、患者の注目は、疾患から健康であることへと移ります。この時点で、健康状態を向上させ、さらなるがんリスクを低減するための変化を取り入れることに、サバイバーは極めて意欲的です。彼らは、回避可能なリスクと、そのリスクを低減し、除去することで、いかに第2のがんを予防できるかということについて、耳を傾ける準備ができています。彼らが傾聴しているその時が、われわれが教育プロセスをスタートする時なのです」。

For more information, contact Dr. Therese Bevers at 713-745-8048.

 

がん治療後のケアの継続
第2の原発がんのリスク低減は、がんサバイバーに対する包括的ケアの一面にすぎず、またそのようなケアには、がん専門医と地域の医師の協力関係が必要である。MDアンダーソンでのがん治療を終えた患者は、通常、彼らのプライマリケア提供者のもとへ次第に戻り、MDアンダーソンでがん治療後ケアを継続して受けるのと同時に、彼らのコミュニティで別のプライマリケアおよび専門ケアを受ける。「われわれの目標は、最終的に、患者を彼らの地域の医師のもとへ戻し、必要とするすべての医療をそこで受けることです」と、Bevers医師は述べた。「われわれのがん治療後ケアプログラムは、地域のプライマリケア医と連携することです。われわれは彼らに、がんサバイバーが直面する特殊なリスクや問題について知ってもらい、われわれと共にそれらの問題に取り組んでほしいのです」。
地域の医師が、包括的なサバイバーケアについて知るため、MDアンダーソンは、さまざまながん種のサバイバーに対するケアの指針としての診療手順を発行している。各手順は、定期的に更新され、再発の調査、遅発効果のモニタリング、心理社会的ケア、そして二次原発がんの予防の4つのケア領域に対するガイドラインや推奨事項が含まれる。 地域の医師は、http://bit.ly/1Vses2Jにてがん治療後ケア手順を確認することができる。患者や医師のためのその他の資料は、がんサバイバー支援室を通して入手可能であり、メールアドレスはsurvivorship@mdanderson.orgである。

 

 

増え続けるがんサバイバー

5年前にがんと診断された患者は、がん種に関係なく約65%が今も生存しており、この割合は、米国において頻度の高い4種類のがんのうちの2種類など、いくつかのがん腫でかなり高い。具体的には、2014年の5年相対生存率は、前立腺がん患者で99%、乳がん患者で89%、大腸がん患者で65%であったと、アメリカがん協会(ACS)が報告した。しかしながら、肺がん患者では17%と、すべてのがん種の中で最下位レベルのままであった。

 

 

The information from OncoLog is provided for educational purposes only. While great care has been taken to ensure the accuracy of the information provided in OncoLog, The University of Texas MD Anderson Cancer Center and its employees cannot be held responsible for errors or any consequences arising from the use of this information. All medical information should be reviewed with a health-care provider. In addition, translation of this article into Japanese has been independently performed by the Japan Association of Medical Translation for Cancer and MD Anderson and its employees cannot be held responsible for any errors in translation.

OncoLogに掲載される情報は、教育的目的に限って提供されています。 OncoLogが提供する情報は正確を期すよう細心の注意を払っていますが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターおよびその関係者は、誤りがあっても、また本情報を使用することによっていかなる結果が生じても、一切責任を負うことができません。 医療情報は、必ず医療者に確認し見直して下さい。 加えて、当記事の日本語訳は(社)日本癌医療翻訳アソシエイツが独自に作成したものであり、MDアンダーソンおよびその関係者はいかなる誤訳についても一切責任を負うことができません。

原文掲載日

翻訳野川恵子、生田亜以子

監修廣田  裕(呼吸器外科、腫瘍学/とみます外科プライマリーケアクリニック)

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