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進行子宮頸がん患者において、ベバシズマブによる治療に効果がない可能性がある5つの因子が明らかに

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進行子宮頸がん患者において、ベバシズマブによる治療に効果がない可能性がある5つの因子が明らかに

米国がん学会(AACR) プレスリリース

 

本試験は、Moore criteriaと呼ばれる5つの予後因子を前方視的に検証した。

 

プロトコル240(GOG240)第3相試験の主要評価項目(生存期間)の結果を解析したところ、Moore critetiaを用いてリスク評価を行い、予後不良であるリスクが中・高程度の進行子宮頸がん患者の化学療法レジメンにベバシズマブを併用することで生存期間が向上した一方、予後不良であるリスクが低い患者は同剤の併用による生存期間の改善はみられなかったことが明らかになった。GOG240第3相試験は、非営利の研究組織であるNRG Oncology傘下の米国婦人科腫瘍グループ主導によるものであり、本結果は米国がん学会発行のClinical Cancer Research誌に掲載された。

 

カリフォルニア大学アーバイン校婦人科腫瘍部門教授で研究部門長のKrishnansu S. Tewari医師によれば、「Moore critetiaは、進行子宮頸がん患者における予後不良を予測すると提唱されてきた5つの臨床的因子です。その5つとは、アフリカ系アメリカ人、パフォーマンスステータスが1、骨盤内に腫瘍を有すること、プラチナ製剤ベースでの治療歴があること、無増悪生存期間が1年未満であること、が挙げられます。この予後因子が0~1個しかない患者は、予後不良となるリスクは最も低いと示唆され、2~3個有する患者は中程度、4~5個有する患者は高リスクとされています」。

 

Tewari医師は続けて、「われわれの研究では、進行子宮頸がん患者に対しMoore criteriaが予後不良因子として機能するかについて前方視的な検証を行い、予後不良のリスクが低い患者群はベバシズマブを併用した治療の有益性が見込めない患者群であることを割り出しました。こういったことから、Moore criteriaは子宮頸がんにおける前方視的な検証が行われた最初の点数化システムなのです。このシステムは、最近子宮頸がんの治療薬として承認されたベバシズマブを標準化学療法に併用することで予想される予後、期待される効果があるかどうかの可能性について、医師が患者やその家族に話す際に役立つ臨床的指標となるでしょう」と述べた。

 

以前に公表されたGOG240第3相試験の結果、化学療法+ベバシズマブの併用で、進行子宮頸がん患者における全生存期間および無増悪生存期間の向上が明らかになり、米国食品医薬品局(FDA)が進行子宮頸がんへのベバシズマブの使用を承認するに至った。

 

Tewari医師の説明によれば、今回の試験結果はGOG240の副次評価項目についての報告である。その副次評価項目とは、事前に確認されている予後不良因子(Moore criteria)の妥当性を前方視的に評価し、Moore criteriaが妥当であった場合、同分類が重篤な副作用を引き起こす可能性もあるベバシズマブでの治療に効果が見込めない可能性のある患者を同定し、治療法決定に使用可能か検討するものである。

 

試験に参加した452人の患者全員で、Moore criteriaを用いたリスクカテゴリーごとに全生存期間において有意差があった。全生存期間の中央値について、低リスク群では21.8カ月、中リスク群では14.7カ月、高リスク群では8.2カ月であった。

 

さらに解析を進めた結果、Moore criteriaで低リスク群に分類された患者においては、化学療法単独群と化学療法+ベバシズマブ併用群間で全生存期間の中央値に統計学的な有意差はなかった(化学療法単独群で21.8カ月に対し、化学療法+ベバシズマブ併用群で22.9カ月)。一方、Moore criteriaで中リスク群・高リスク群に分類された患者では統計学的な有意差が認められ、中リスク群で12.1カ月から17.9カ月、高リスク群で6.3カ月から12.1カ月と、ベバシズマブの併用で約6カ月全生存期間の中央値が延長した。

 

Tewari医師によると、アフリカ系アメリカ人を含まない患者集団にMoore criteriaが適応できない可能性があることが本研究の限界だという。Tewari医師は続けて、「しかし、アフリカ系アメリカ人とは医療機関の受診が無い集団に代わる言葉だと私たちは信じています。その理由は、医療機関を同程度受診できる環境下では、アフリカ系アメリカ人の子宮頸がん患者と、非アフリカ系アメリカ人子宮頸がん患者は同様の臨床成績を示したとする研究結果がいくつかあるからです」と述べた。

 

Tewari医師の説明によると、Moore criteriaは米国婦人科腫瘍グループ(GOG)子宮頸がん部会の前委員長David H. Moore医師によって、それ以前にGOGが主導した進行子宮頸がん患者を対象に治療介入を行ったランダム化第3相試験で20個の臨床的因子を集めて検討し、2010年に確立されたという。GOG240試験が検討段階であった際、Moore criteriaを広く普及させる前に前方視的に検証する必要があると同部会の現委員長Bradley J. Monk医師がプロトコール作成委員会に提言した。

 

本研究は米国国立がん研究所(NCI)から支援を受けた。GOG240結果の論文公表に続き、進行子宮頸がんへのベバシズマブ適用を制限付きでも承認を得るための考察の一部とできるように、Tewari医師はRoche-Genentech社の諮問委員として本研究結果を活用している。

 

原文掲載日

翻訳鶴田京子

監修喜多川 亮(産婦人科/NTT東日本関東病院)

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