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HPVワクチンの一回接種で子宮頸癌を十分に予防できる可能性

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HPVワクチンの一回接種で子宮頸癌を十分に予防できる可能性

米国がん学会(AACR)

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種を1回だけ受けた女性の血中に、ウイルスに対する抗体が、4年間にわたって安定した状態で維持されていることが確認された。このことから、1回のワクチン接種で、長期間持続する免疫応答を誘導し、新たなHPV感染、ひいては子宮頸癌を予防するのに十分である可能性が示唆された。この研究結果は、米国癌学会の機関誌であるCancer Prevention Research誌に掲載された。

 

「ワクチン接種率について、米国疾病管理予防センターから発表された最新のMorbidity and Mortality Weekly Reportによると、2012年に13歳から17歳の少女でHPVワクチンの接種を開始したのは53.8%だけであり、さらに全3回の接種を受けたのは、そのうちのわずか33.4%でした」と、メリーランド州ベセスダにある米国国立癌研究所(NCI)癌疫学・遺伝学部門の研究者Mahboobeh Safaeian博士は述べている。

 

「HPV 16/18 L1 VLPワクチン(サーバリックス)を2回、あるいは1回接種するだけで、免疫系に強く持続的な反応を誘導することができるのかを評価したかったのです」と、彼女は付け加えた。「ワクチン接種を1回だけ受けた女性で、HPV16型およびHPV18型に対する抗体レベルが、接種後4年間安定して維持されていることを、われわれは見出した。この研究結果は、サブユニットワクチンの場合、長期間持続する反応を誘導するには、複数回の接種が必要であるというこれまでの定説に挑むものです」

 

この研究には、NCIの資金提供により、サーバリックスの有効性を確認するためコスタリカの女性を対象として行われた第3相臨床試験で得られたデータを用いた。この臨床試験では、あらかじめ計画していたのではないが、約20%の女性のワクチン接種が3回未満であった。

 

研究者らは、ワクチンを1回接種した78人、2回接種の192人、3回接種の120人の女性から採血した血液サンプル中に、ワクチンに対する免疫応答(抗体レベルの測定)があるか、それぞれについて確認した。さらにその結果を、ワクチン接種を受けていないが、過去にHPVに感染したため、血中にウイルスに対する抗体を持っている113人の女性のデータと比較した。

 

全3グループの100%の女性が、HPV16型と18型に対する抗体を4年後に至るまで血中に保持していたことを彼らは見出した。6カ月の間隔で2回接種を受けた女性と、全3回の接種を受けた女性の抗体レベルは、同等であった。

 

また、研究者らの研究結果から、1回だけ接種を受けた女性の抗体レベルは、全3回の接種を受けた女性と比較すると低かったものの、抗体レベルが安定していると思われたことから、長期的な反応であることが示唆された。さらに、1回および2回接種を受けたグループの女性の抗体レベルは、ワクチン接種を受けていないがHPV感染した経験のある女性の抗体レベルより5〜24倍高いものであった。

 

「われわれの研究結果から、簡略化されたワクチン接種スケジュールの有望性が示された。この接種スケジュールは、より安価で簡単であることから、世界中に普及していくことが期待されます」と、Safaeian氏は述べている。「接種回数が2回あるいは、わずか1回になれば、ロジスティックスは簡略化され、ワクチン接種費用の削減につながるでしょう。このことは、子宮頸癌発症の85%以上を占め、子宮頸癌が癌関連死の最も一般的な原因の一つとなっている発展途上国にとっては、特に重要です」。

 

Safaeian氏によると、チリやブリティッシュコロンビアを含む世界の一部の地域では、HPVワクチンの接種プログラムとして今では2回接種が推奨されている。しかし、HPVワクチンの1回接種について「われわれの発見は非常に興味深いものであり、明るい見通しを示すものですが、政府のガイドラインを変更するには追加データが必要です」と、彼女は明言した。「例えば、4価HPVワクチンであるガーダシルは、アメリカや他の多くの国々でより広範囲に使用されていますが、1回だけ接種した場合での抗体応答は評価されていないということに注意しなければなりません」

 

この臨床試験は、米国国立衛生研究所の女性健康研究局およびコスタリカ保健省の支援のもと、NCIより資金提供を受けて実施された。HPVワクチンは、グラクソ・スミスクライン・バイオロジカルズ社より提供された。Safaeian氏は、利益相反がないことを公表した。

 

原文掲載日

翻訳田村克代

監修大野 智(腫瘍免疫/帝京大学医学部、東京女子医科大学)

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