OncoLog2013年10月号◆House Call「遺伝性癌」 | 海外がん医療情報リファレンス

OncoLog2013年10月号◆House Call「遺伝性癌」

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

OncoLog2013年10月号◆House Call「遺伝性癌」

MDアンダーソンがんセンター月刊OncoLog誌2013年10月号

MDアンダーソン OncoLog 2013年10月号(Volume 58 / Number 10)

 Oncologとは、米国MDアンダーソンがんセンターが発行する最新の癌研究とケアについてのオンラインおよび紙媒体の月刊情報誌です。最新号URL

 

遺伝性癌
遺伝子スクリーニングで有益な情報を得る

遺伝性癌(世代を超えて伝わる癌)は全ての癌のうち5%~10%を占める。これらの癌の多くは、遺伝子スクリーニングで検出される遺伝性症候群により引き起こされる。

 

よくみられる遺伝性癌には、遺伝性乳癌卵巣癌症候群や遺伝性非ポリポーシス大腸癌症候群(リンチ症候群)がある。遺伝性癌のリスクが高い人には、癌の発見や予防を促すため、追加的なスクリーニングあるいは治療を行うことがある。遺伝性と診断された癌を患う患者には、さらなる癌の予防や早期発見を促すために、治療を変更したりスクリーニングを実施したりすることが有益な場合がある。

 

健康な人が遺伝性癌を発症する可能性を判定したり、既存の癌が遺伝性かどうかを調べたりするため、遺伝カウンセラーや医師はその人物について複数の危険因子を評価する。ある人物がもつ危険因子によっては、遺伝カウンセラーは遺伝子検査を勧める場合がある。既存の癌が遺伝性かを診断したり、健康な人が癌を発症する可能性を詳細に評価したりするためだ。

 

遺伝性癌の危険因子

遺伝カウンセラーは個人の家族歴や癌の病歴を評価することで、1種類以上の遺伝性癌のリスクを判定する。遺伝性癌のリスクが高いことが判っていれば、その人物の癌の発症率を減らすよう対策を講じることができる。以下のグループは、1種類以上の遺伝性癌のリスクを有する可能性がある。

 

・同じ種類の癌に罹患している近親者が複数いる人。癌の家族歴が、遺伝性癌の最も強力な予測因子であることが多い。しかし、人々の30~40%が人生のある時点で癌に罹患することを踏まえると、ある家系でみられる癌が遺伝性癌のようにみえて実はそうではない場合がある。遺伝カウンセラーは、家系の癌のパターンが遺伝性癌を示す可能性が高いのかどうかを判定することができる。

・複数の癌に罹患している、あるいは複数の癌の既往歴がある患者。一部の遺伝性の遺伝子変化により、複数の癌を発症するリスクが増加する。つまり、複数の癌に罹患するということは、遺伝性癌症候群の強力な指標となる。例えば、最もよくみられる種類の遺伝性乳癌患者では卵巣癌も発症しやすい。

・同じ種類の癌に罹患した他の患者よりも、若くして癌を発症した患者。遺伝性癌は、同種類の非遺伝性癌よりも早期に発症することが多い。遺伝性癌のリスクが疑われる人は、遺伝子検査が適しているかどうかを判断できる遺伝カウンセラーへの相談について、医師に尋ねるべきである。

 

遺伝子検査

遺伝子検査は癌の有無にかかわらず有用である。「遺伝子検査は、患者やその近親者の癌あるいはさらなる癌のリスクを明らかにします」と、テキサス大学MDアンダーソンがんセンター癌臨床遺伝プログラム(Clinical Cancer Genetics Program)の遺伝子カウンセラーである Thereasa Rich理学修士は述べた。癌の病歴がある人に対し、その癌が遺伝性かどうかを診断するため遺伝子検査が利用されている。癌の家族歴がある健康な人に対しては、遺伝性癌を起こしうる遺伝子変化がないかを確認するために利用される。

 

遺伝子検査は、癌を起こす変異遺伝子の特定に利用される。「これらの遺伝子は十分研究されよく知られており、検査結果の解釈に関するガイドラインや勧告が発行されています」と、Rich氏は述べた。例えば、BRCA1あるいはBRCA2遺伝子に変異をもつ人は、乳癌、卵巣癌、その他の癌にかかるリスクが高い。変異遺伝子をもつ親では、50%の確率で子供に遺伝する。

 

カウンセラーが遺伝子検査を勧める前に、以下に示す明確な基準を適用しなければならない。

・遺伝子検査の対象は、遺伝子検査が利用可能な遺伝性癌のリスクが高い人でなければならない。
(現在、遺伝子検査は全ての遺伝性癌に利用できるわけではない。)

・検査結果が陽性の場合、治療あるいはスクリーニングの過程を変えねばならない。
一部の癌では、結果が陽性であっても陰性であっても、推奨される治療あるいはスクリーニング方法が同一の場合もある。

・遺伝子検査を受ける人は検査に自発的に同意し、その結果によるストレスに対応できなければならない。

遺伝子検査は、遺伝性癌のリスクが低い家族歴や病歴がある人に対して推奨されることはあまりない。

 

遺伝性癌のリスクを増加させる遺伝子変異がみられた全ての人に癌が発症するわけではない。「遺伝子検査は不完全な検査であり、より広い背景をふまえて解釈することが必要です。検査結果が示す内容について必ずカウンセリングを受けてください」とRich氏は述べた。

-C. Wilcox

 

The information from OncoLog is provided for educational purposes only. While great care has been taken to ensure the accuracy of the information provided in OncoLog, The University of Texas MD Anderson Cancer Center and its employees cannot be held responsible for errors or any consequences arising from the use of this information. All medical information should be reviewed with a health-care provider. In addition, translation of this article into Japanese has been independently performed by the Japan Association of Medical Translation for Cancer and MD Anderson and its employees cannot be held responsible for any errors in translation.
OncoLogに掲載される情報は、教育的目的に限って提供されています。 OncoLogが提供する情報は正確を期すよう細心の注意を払っていますが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターおよびその関係者は、誤りがあっても、また本情報を使用することによっていかなる結果が生じても、一切責任を負うことができません。 医療情報は、必ず医療者に確認し見直して下さい。 加えて、当記事の日本語訳は(社)日本癌医療翻訳アソシエイツが独自に作成したものであり、MDアンダーソンおよびその関係者はいかなる誤訳についても一切責任を負うことができません。

原文掲載日

翻訳佐々木亜衣子

監修北丸綾子 (分子生物学/理学博士)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

関連薬剤情報

一覧

週間ランキング

  1. 1非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  2. 2コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  3. 3リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  4. 4ルミナールA乳がんでは術後化学療法の効果は認められず
  5. 5BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  6. 6若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  7. 7治療が終了した後に-認知機能の変化
  8. 8乳がん検診におけるマンモグラフィの検査法を比較する新...
  9. 9専門医に聞こう:乳癌に対する食事と運動の効果
  10. 10免疫療法薬の併用はタイミングと順序が重要

お勧め出版物

一覧

arrow_upward

ユーザー 病名 発信元種別 発信元名 治療法別 がんのケア がんの原因・がんリスク がん予防 基礎研究 医療・社会的トピック 注目キーワード別 薬剤情報名種別

女性のがん
消化器がん
泌尿器がん
肉腫
血液腫瘍
その他
民間機関
その他