ファイザー社がMylotarg〔マイロターグ〕の米国での販売を自主的に中止

FOR IMMEDIATE RELEASE:2010年6月21日
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ファイザー社がMylotarg〔マイロターグ〕の米国での販売を自主的に中止

ファイザー社は、骨髄腫の1つである急性骨髄性白血病(AML)の患者を対象としているMylotarg〔マイロターグ〕(gemtuzumab ozogamicin〔ゲムツズマブ・オゾガマイシン〕)の米国内での販売を自主的に中止することを本日発表した。同社は、最新の臨床試験の結果、患者に対する安全性に関し懸念が浮上し、また臨床試験に参加した患者における薬剤の効果が確認できなかったため、FDAからの要請を受けて今回の対応を取った。

Mylotargは2000年の5月に、FDAの迅速承認制度のもとで承認された。FDAはこの制度により、満たされていない医学的ニーズを伴う重篤な疾患を治療するための薬剤を代替評価項目に基づいて承認できる。代替評価項目としては、患者の様態、機能、あるいは生存率といった通常の評価項目の代わりとして、臨床検査値や身体的徴候が用いられる。

この制度のもとでは、薬剤の承認後に効果を確認する臨床試験を実施しなければならない。もし承認後の臨床試験において患者に対するベネフィットが確認されなければ、あるいは当然行うべき試験を製薬会社が実施しなければ、FDAは簡便な手続きでその薬剤を市場から撤退させることができる。

Mylotargは、60歳以上で他の化学療法が適用されないAML患者を対象として承認を受けた。当初の承認は、3回の臨床試験における142名のAML患者に対する寛解率(すなわち、臨床検査値において患者の白血病が改善または完治した割合)に基づいている。

承認後の確認試験はワイス社(現在はファイザー社)が2004年に行った。試験の目的は、Mylotargを標準的な化学療法と併用した場合にAML患者に臨床的ベネフィット(生存期間の延長)がもたらされるかどうかを確認することであった。試験では臨床的ベネフィットに改善がみられず、化学療法のみの場合に比べMylotargを併用した患者での死亡例が多かったため、この試験は早期に中止された。

最初の承認時には、Mylotargは肝中心静脈閉塞症と呼ばれる致死的な重度の肝障害との関連性が認められていたが、この疾患の発症率は市販承認後に上昇した。

FDA医薬品評価研究センター抗腫瘍薬製品室長であるRichard Pazdur医師は、「Mylotargは、破壊的な癌に対する期待できる新治療と信じられていたものを患者へ適用させるため迅速承認を受けた。しかし、臨床試験での確認や市販承認後の数年間での経験から、この薬剤はAML患者にとって臨床上のベネフィットをもたらさないことが判明した」と述べた。

市場からの撤退の結果、Mylotargは今後市販されない。現在この薬剤の投与を受けている患者は、専門の医療従事者と相談のうえで治療を完了してもよい。医療従事者はMylotargを投与されている患者すべてに対し、この薬剤の安全性上のリスクを説明しなければならない。

今後Mylotargを米国内で使用する場合には、どのような場合にも、FDAに治験薬申請を提出しなければならない。
Mylotargはニューヨークを拠点とするファイザー社が製造している。

なお詳しい情報は以下のサイトを参照のこと。
• Pfizer: Mylotarg Withdrawal
• FDA: Access to Investigational Drugs
• FDA: Office of Oncology Drug Products

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朝井 鈴佳 訳
林 正樹(血液・腫瘍科)監修 
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原文


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