HPV検査により子宮頸癌発症リスクを18年先まで予測できることが臨床試験により判明 | 海外がん医療情報リファレンス

HPV検査により子宮頸癌発症リスクを18年先まで予測できることが臨床試験により判明

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HPV検査により子宮頸癌発症リスクを18年先まで予測できることが臨床試験により判明

米国臨床腫瘍学会(ASCO)

  • 2012年7月30日付Journal of Clinical Oncology 誌オンライン版に掲載された試験の要約で、子宮頸部の前癌病変および侵襲性子宮頸癌の発症予測を目的とした、ヒトパピローマウイルス(HPV)DNA検査のみ、細胞診(Pap検査)のみ、および2種の検査を併用した場合の長期的な効果の調査結果。結論として、HPV検査による一次スクリーニングが有望で効果的な方法であるとされた。
  • 米国臨床腫瘍学会(ASCO)の婦人科領域の癌専門家で、Cancer.Net の共同編集者であるMaurie Markman医師の見解であることを明示して引用
  • ASCOの患者用ウェブサイトCancer.Netに掲載される追加情報へのリンク

 

大規模な前向き臨床試験で得られた最新の結果により、HPV検査は、子宮頸部に「前癌状態」を生じる女性を検査実施後10年~18年先まで予測可能であることが示された。HPV検査で陽性と判定された場合と細胞診で異形成が認められた場合のどちらも、試験後2年以内に前癌状態を生じる可能性を予測できるが、HPV検査が陽性であった場合は、18年間の追跡期間をとおして前癌状態が生じるリスクを予測できることがわかった。一方、試験開始時の検査でHPV検査が陰性であった場合は、18年間にわたって子宮頸部の前癌状態が生じる心配は低く、これは細胞診で異常なしと診断された後の予測期間よりも長期間であった。本試験結果は、Journal of Clinical Oncology 誌7月30日号に掲載された。

 

「高リスク型HPVの検査により、数年以内の子宮頸癌リスクが予測できることはわかっていましたが、この予測の有効性が20年近くも続くとは驚きです。」本報告の統括著者で、米国臨床病理学会会員の公衆衛生学修士であるPhilip E. Castle博士は述べる。「我々の試験結果は、最新のガイドラインと一致し、定期検査としてのHPV 検査の意義を確固たるものとしました。」

 

本試験結果は、米国癌学会、米国コルポスコピー・子宮頸部病理学会(American Society for Colposcopy and Cervical Pathology)、および米国臨床病理学会が2012年に作成した子宮頸癌スクリーニングのガイドラインにおいて、30~65歳の女性に対し5年毎の高リスク型HPV検査と細胞診の併用を推奨している点を支持した。本試験の結論はまた、同年代の女性に対し、まずHPV検査を行って子宮頸部疾患を鑑別し、HPV陽性者にのみ細胞診を行って、子宮頸部前癌状態または子宮頸癌を発症する差し迫ったリスクの患者を特定するというHPV検査/細胞診のもうひとつの選択肢も支持した。

 

HPV検査は、約10年前に子宮頸癌はすべて高リスク型HPVの持続感染(1~2年以上)が原因であることが研究報告により特定され、子宮頸癌のスクリーニングの一法として導入された。

 

「HPV感染が持続して前癌状態に進行するのに平均で5~10年かかり、侵襲性癌を発症するにはHPV感染から平均20~25年かかります。」Castle博士は述べる。「つまり、HPV検査で陰性と判定されれば、次の検査時期までに子宮頸部の前癌状態や癌を発症する可能性は極めて低いのです。」

 

本新規試験には、オレゴン州ポートランドのカイザー・パーマネントで細胞診の定期検査を受けた女性20,000人が登録した。試験登録者に対し、登録時に定期検査として細胞診、および試験目的で高リスク型HPV 検査を行い、その後従来の細胞診を行いなが18年間追跡した。転帰として、CIN2もしくはそれ以上(CIN2+)、およびCIN3もしくはそれ以上(CIN3+)の2種の累積発生率(新規発症率)を算出した。CIN2およびCIN3は前癌状態であり、子宮頸部において正常上皮細胞に代わって異形成上皮細胞が生じている。上皮細胞の異形成は悪性ではないが、最終的に癌に進展する可能性がある。試験開始時のHPV検査には、米国食品医薬品局の承認を取得済みの、13種の高リスク型HPVを同時検出する検査薬を使用した。このHPV 検査で陽性と判定された場合は、研究用臨床検査試薬を用いてHPV16とHPV18をそれぞれ追加検査した。この2種の高リスク型HPV は、子宮頸癌の原因においてそれぞれ55%、15%を占めることが知られている。

 

30歳を超える登録者のうち、登録時点で8.7%がHPV検査陽性であり、4.3%に細胞診で異形成が認められた。18年間でCIN3および子宮頸癌の発症例は、登録時のHPV検査陽性者の方が、細胞診で異形成が認められた場合より多かった(112人対65人)。さらに、HPV陽性者はHPV陰性者と比較して、細胞診の結果にかかわらず10~18年間で前癌状態を呈する可能性が高かった。したがって、HPV検査陽性結果は、細胞診の異常結果と比較して長期的な子宮頸癌発症リスクの予測に優れていた。18年間の追跡期間において、HPV 検査陰性者は、細胞診で異常が認められなかった場合と比較して CIN3および子宮頸癌の発症率は低く(0.9% vs. 1.27%)、HPV検査が陰性であるほうが数年内に子宮頸部に前癌状態を呈する可能性はより低いことが示唆された。また、本試験により、30歳を超える女性においてHPV検査陰性でかつ細胞診で異常が認められない場合は、定期検査の間隔を3年から5年に延長してもCIN3および子宮頸癌のリスクが増大することは実質ないことが示された(0.08%対0.16%)。

 

また、18年間にわたり、HPV-16またはHPV-18が陽性で細胞診で異常が認められない女性は、他の型のHPVが陽性で細胞診で異常が認められない女性と比較して、CIN2、CIN3を呈するリスクが有意に高いことも示された。

 

本臨床試験の結果は、30~65歳の女性向けの以下の最新スクリーニングガイドラインと一致する。

  • 5年毎にHPV検査を行い、陽性者に対して細胞診を行う。または、3年毎に細胞診のみを行う。ハイリスク型のHPVが陽性であった場合は、細胞診の結果が正常であっても年1回の定期検査を行う。
  • HPV検査陽性、細胞診陰性であった場合は、HPV16およびHPV18の個別検査を行い、直近のCIN3進行リスクが高い女性を特定する。
  • HPV16およびHPV18のいずれかが陽性であった場合は、膣鏡診を行う。

 

「子宮頸癌スクリーニングにHPV検査を追加することで、患者さんにとっては2つの利点があります。子宮頸部の前癌状態と癌の検出率が高まる点と、安心して検査の間隔を広げることが可能となる点です。」とCastle博士は述べ、検査の回数が少なく信頼性が高いスクリーニング検査があれば、不必要な検査や治療による危害(不安や不快から治療による早産のリスクにわたるまで)を減らすことができる点について言及した。「試験が多すぎることは患者にとって大きな懸念です。なぜなら癌の予防よりむしろ悪影響につながることがあるからです。」

 

スクリーニング検査による潜在的な有益性は、潜在的な有害性と釣り合いがとれてなくてはならない。

 

「医師たちが新しいガイドラインに従うようになるには何年もかかることがあります。しかし、適切な検査を利用するよう指導し、推奨していかなければなりません。」Castle博士は付け加えた。「保険会社は、保険への適用をとおして適切な検査利用の推奨に重要な役割を担うため、保険会社に対する指導も必要です。」

 

Castle博士はまた、米国における子宮頸癌による死亡率を低減する上での一番の障害は、一部の女性に対してスクリーニング検査が行き届いていない点であるということを強調した。

 

「米国内で子宮頸癌の診断を受ける女性の半数は、十分な医療を受けていません。それらの女性の子宮頸癌発症率、死亡率は、第二世界、第三世界の各国に匹敵します。これらの女性に何らかのスクリーニング検査を提供する方法を模索しなければなりません。」

 

ASCOの見解

Maurie Markman医師、Cancer.Netの共同編集者でASCOの婦人科領域癌専門医

「本試験は優れた、重要な試験です。子宮頸癌スクリーニングの標準療法を変えるには、本試験のみではなく、さらに多くの研究が必要ですが、本データは、まずどのようなHPV検査を行い、その後の個別スクリーニング方法をどのように規定すればよいかの非常に確かな裏付けとなります。」

 

本試験結果の原著全文はこちら(http://jco.ascopubs.org/content/early/2012/07/30/JCO.2011.38.8389.full.pdf+html)

 

Cancer.Net(http://www.cancer.net/)の参考サイトへのリンク

  • JCO Cancer Advancesの関連記事 (http://jco.ascopubs.org/content/early/2012/07/30/JCO.2011.38.8389.full.pdf+html)
  • 子宮頸癌について (http://www.cancer.net/patient/Cancer+Types/Cervical+Cancer)
  • HPVと癌 (http://www.cancer.net/patient/All+About+Cancer/Cancer.Net+Feature+Articles/Cancer+Screening+and+Prevention/HPV+and+Cancer)
  • 癌のスクリーニング検査 (http://www.cancer.net/patient/All+About+Cancer/Risk+Factors+and+Prevention/Cancer+Screening)
  • 細胞診 – 検査で何がわかるか (http://www.cancer.net/patient/All+About+Cancer/Cancer.Net+Feature+Articles/Cancer+Screening+and+Prevention/Pap+Test%26mdash%3BWhat+to+Expect)
  • 子宮頸癌を予防するHPVワクチン (http://www.cancer.net/patient/All+About+Cancer/Cancer.Net+Feature+Articles/Cancer+Screening+and+Prevention/ASCO+Expert+Corner%3A+HPV+Vaccination+for+Cervical+Cancer)

 

Journal of Clinical Oncology誌は、癌患者を治療する医師を代表する世界有数の専門家学会である米国臨床腫瘍学会(ASCO)が3カ月毎に発行している、論文審査のある学術誌である。

 

ニュース報道への引用には、JOURNAL OF CLINICAL ONCOLOGY誌への帰属を明示のこと。

原文掲載日

翻訳石岡優子

監修北村裕太(内科/東京医科歯科大学医学部附属病院)

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