2006/11/21号◆特集記事「インターロイキンが転移性癌に対する免疫反応を強化」 | 海外がん医療情報リファレンス

2006/11/21号◆特集記事「インターロイキンが転移性癌に対する免疫反応を強化」

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2006/11/21号◆特集記事「インターロイキンが転移性癌に対する免疫反応を強化」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2006年11月21日号(Volume 3 / Number 45)
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特集記事

インターロイキンが転移性癌に対する免疫反応を強化

NCIの癌研究センター(CCR)による新たな試験結果が、Cancer Research誌の11月15日号で報告され、インターロイキン(IL)が、肝臓に転移した癌と闘う身体に自然に備わっている能力を増強するという有望な結果を示した。IL-12とIL-18の併用が、動物におけるナチュラルキラー(NK)細胞の濃度を増加させ、腫瘍の好発転移部位である肝臓内の腫瘍に対する防御を行っている免疫システムの主要メッセンジャー分子である、インターフェロン・ガンマ(IFN-γ)を治療レベルにまで引き上げた。

NK細胞は免疫作用の主要因子であり、ウイルスが感染した細胞や癌細胞の探知および排除において突撃隊員のように振舞うことから名付けられた。

「このようなインターロイキンの併用は、肝臓の微小環境を顕著に修正すると同時に、強力な抗腫瘍活性を示します。」と、CCRのディレクターであり、この研究が行われた研究室の主任であるRobert H. Wiltrout博士は述べた。「このような方法を用いた免疫治療は、肝臓における腫瘍を治療する新たなアプローチです。」肝臓を手術で摘出したり、移植したりする現在の治療法は、少数の患者にしか効果がない。

インターロイキンおよびその他のサイトカインは、免疫系の一部である情報伝達分子として、生体内で自然に産生されるが、研究室で遺伝子組換え型として産生することもできる。「IL-12とIL-18は共に、別々の機序でNK細胞の産生を増加させることは知られていましたが、今回我々は、それらを一緒に与えると、相乗効果があることを発見しました。」と主執筆者であるCCRのJeff Subleski氏は述べた。

IL-12とIL-18の併用は、NK細胞数を増加させただけでなく、最低2週間は、肝臓の微小環境に存在し、IFN-γ産生を刺激し続けた。以前の各インターロイキン単独の研究では、IFN-γ効果は4日以内に有意に低下してしまう。「このことは、IFN-γが、免疫細胞の癌細胞に対する攻撃を引き起こすのに、重要な役割を果たしている可能性が高いことを意味します。」とSubleski氏は述べた。

IFN-γを高レベルに維持することの重要な点は、もう一つの免疫系主要因子であるナチュラルキラーT(NK-T)細胞の数を減少させることである、とWiltrout博士は指摘する。肝臓のNK-T細胞は、IFN-γを増加させもするが、同時に抗腫瘍免疫系活性を抑制する可能性もある、と博士は説明する。

「肝臓は、外来抗原および細菌が日常的に存在し、初期の免疫防御が戦略として効果的である血流と内臓の間の接合部であるため、NK-T細胞が大量に発現しています。しかし、NK-T細胞はまた、過剰に発現すると初期の免疫反応を抑制することにより、見張り役として働く可能性もあります。」とWiltrout博士は述べた。

博士は「腫瘍の転移や進行に寄与するような免疫抑制は好ましくありません。」と付け加えた。今回の実験では、IL-12とIL-18という新たな組み合わせが、局部のNK-T細胞数を、それらがIFN-γの腫瘍に対する影響を抑制する前に、検知不可能なレベルにまで減少させた。

腫瘍に対する免疫反応の開始には、複雑な一連の事象が起こることが必要である。動物試験から得られた情報は、新規の抗癌治療を開発するために、どのように免疫系の力が利用できるかについての視点を提供する可能性がある。

「これらは、NK細胞による障害に感受性のある癌であれば、その腫瘍特異的な分子の特定が必要ないため、あらゆる癌腫における免疫療法に対して有望な発見です。」と、CCRのワクチン部門の主任であるJay A. Berzofsky博士は言う。「NK-T細胞の抑制効果を減少させることによって、IL-12/IL-18併用治療は、免疫学的に癌をコントロールするのに必要なワンツーパンチを与えるでしょう。」

— Addison Greenwood

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Oonishi 訳

瀬戸山 修(薬学) 監修

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