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アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用が進行肝臓がんの一次治療に

【ロイター】免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブ(販売名:テセントリク)と血管内皮増殖因子阻害薬(VEGF阻害薬)ベバシズマブの併用療法が、システマティックレビューとネットワークメタアナリシス(NMA)を経て、進行肝がんの標準治療として有望であることがわかった。

「われわれの研究結果から進行肝細胞がんに対する最も効果的な治療法が確認できましたが、この結果は実臨床に応用されるべきです」と、Tanios Bekaii-Saab氏(アリゾナ州フェニックスのメイヨークリニック所属)はロイターヘルスに電子メールで述べた。

「今回の研究結果は、進行肝細胞がん患者への現在のケアを促進するものですが、今後の臨床試験では、可能性のある他の併用療法、逐次療法、免疫チェックポイント阻害薬+VEGF阻害薬の同時投与後の治療戦略の最適化に焦点を当てる必要があります」とも述べている。

JAMA Oncology誌での報告によれば、本研究チームは、進行肝細胞がんの一次治療、あるいは標準治療不応後の患者の治療として、さまざまなVEGF阻害薬、免疫チェックポイント阻害薬、それらの併用を評価する複数の第3相試験について、開始から2020年3月までに発表された文献を解析した。

バイアスのリスクが低い14件の臨床試験が見つかり、その内訳は一次治療が8試験、二次治療または標準治療不応後の患者対象が6試験(そのうちの1試験はサブグループ解析でのみ検証)であった。一次治療の試験には18歳から89歳までの患者6,290人が参加し、標準治療不応後の患者対象の試験には同様の年齢層の患者2,653人が参加していた。

一次治療の試験では、アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法は、レンバチニブ(販売名:レンビマ。HR:0.63)、ソラフェニブ(販売名:ネクサバール。HR:0.58)、ニボルマブ(販売名:オプジーボ。HR:0.68)と比較して優れていた。

標準治療不応後の患者対象の試験では、すべての試験薬においてプラセボと比較して無増悪生存期間の改善がみられたが、全生存期間が延長したのはレゴラフェニブ(HR、0.62)とカボザンチニブ(販売名:カボメティクス。HR:0.76)を服用した患者のみであった。

肝機能マーカーAFP値が400 ng/mL以上である患者サブグループのネットワークメタアナリシス(NMA)によれば、レゴラフェニブ、カボザンチニブ、ラムシルマブ(販売名:サイラムザ)の各薬剤は、プラセボと比較して無増悪生存期間と全生存期間の改善を示したが、比較試験において他剤より優れたと示された薬剤はなかった。

この結果をまとめて、著書らは次のように述べる。「14件の試験のシステマティックレビューとNMAにより、アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法は、現在、進行肝細胞がん患者の一次治療の標準治療と考えられることが明らかになりました。標準治療不応後の患者にはレゴラフェニブとカボザンチニブが望ましい選択肢であり、AFP値400ng/mL以上の患者ではラムシルマブの選択肢も追加されます」。

「われわれは、免疫チェックポイント阻害薬とさまざまなマルチキナーゼ阻害薬の併用や、免疫チェックポイント阻害薬+VEGF阻害薬に反応しない患者に対して免疫チェックポイント阻害薬とIL-6阻害薬を併用することの意義を明らかにする臨床試験を開発しています」とTanios氏は述べている。

「さまざまな薬剤の併用を一次治療として評価する多数の試験がすでに終了、あるいは終了間近ですが、いずれもアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用との比較を行っていませんので、意義のある方法で大きな前進をもたらしそうにありません」と締めくくった。

David Geller医師(UPMC 肝がんセンター長、ピッツバーグ大学外科学Richard L. Simmons Professor)は、ロイターヘルスへのメールで次のようにコメントした。

「今回の知見は、本年5 月にNew England Journal of Medicine誌で発表された最近の画期的なランダム化臨床試験を裏づけるもので、その臨床試験では、アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用は全生存期間と無増悪生存期間がソラフェニブよりも優れていることを示しています。(引用:https://bit.ly/3ky2aF8

進行肝細胞がん一次治療としてのアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用は、実地医療を変えるものです。しかし、(移植患者など)一部の患者においては免疫療法薬に禁忌があり、その場合にはソラフェニブまたはレンバチニブが優れた第一選択薬となります。

臨床医師は、本研究で分析された試験参加者のほとんどがChild-Pugh分類A(肝機能良好)の肝硬変患者に限定されていたことに留意する必要があります。今後の研究で、Child-Pugh分類B(中等度まで肝硬変が進行)患者に対する肝細胞がん治療の有効性と安全性を検討する必要があります」。

 引用:JAMA Oncology誌、2020年10月22日オンライン版

翻訳山本哲靖 

監修中村能章(消化管悪性腫瘍/国立がん研究センター東病院 消化管内科)

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