ネクサバールは進行性甲状腺癌に対し有望

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標的薬剤であるネクサバール(ソラフェニブ)は治療抵抗性分化甲状腺癌の成長を遅延させるという第3相試験結果が、米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次大会にて発表された。

分化甲状腺癌は、外科的切除および放射性ヨード(RAI)療法により治癒することが多い、最も一般的な甲状腺の癌である。しかしながら、RAIに抵抗性のある癌も一部の症例で認められ、RAI抵抗性甲状腺癌では、効果的な治療選択肢が限られていた。

ネクサバールは癌の成長の原因となる特定の蛋白を標的とした経口薬剤であり、進行性腎癌や切除不能肝癌の治療に使用されてきた。

ネクサバールの甲状腺癌の治療効果を評価するため、研究者らはDECISION trialという第3相試験を行った。本臨床試験には417人の転移性RAI抵抗性分化甲状腺癌患者が組み込まれ、患者らはネクサバールもしくはプラセボのいずれかにて治療された。

  • ネクサバール群の無増悪生存期間(癌が進行せずに生存)10.8カ月に対し、プラセボ群は5.8カ月であった。
  • 30%以上の腫瘍縮小が、12%のネクサバール群患者で認められたが、プラセボ群では1%にしか認められなかった。
  • 疾患管理率(腫瘍縮小もしくは6カ月以上の病態安定)は、ネクサバール群で54%、プラセボ群では34%であった。

これらの結果から、ネクサバールは、治療抵抗性転移性分化甲状腺癌患者の無増悪生存期間を2倍近く延長することが示唆された。仮にネクサバールがこの癌種に対し承認されれば、ネクサバールは数十年で初めて同患者群に対して治療効果を示す新薬となる。

参考文献: Brose MS, Nutting C, Jarzab B et al. Sorafenib in locally advanced or metastatic patients with radioactive iodine-refractory differentiated thyroid cancer: The phase III DECISION trial. Presented at the 49th Annual Meeting of the American Society of Clinical Oncology. May 31-June 4, 2013; Chicago, IL. Abstract 4.


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翻訳担当者 藤平あや

監修 東 光久(血液癌・腫瘍内科領域担当/天理よろづ相談所病院・総合内科)

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