FDAがまれなタイプの甲状腺癌の治療薬を承認

FOR IMMEDIATE RELEASE:2011年4月6日
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FDAがまれなタイプの甲状腺癌の治療薬を承認
Vandetanibが甲状腺髄様癌の初めての承認薬となる

米国食品医薬品局(FDA)は本日、増殖中または症状を示す手術不能の後期(転移性)甲状腺髄様癌の成人患者の治療に、Vandetanib〔バンデタニブ〕を承認した。

甲状腺癌は首にある甲状腺が癌性増殖を起こしたものである。甲状腺髄様癌は甲状腺内にある特別なタイプの細胞に関与するが、自然に発生することもあれば、遺伝性症候群の症状のこともある。

米国国立癌研究所によれば、2010年に米国で約44,600人が新たに甲状腺癌と診断され、約1,690人が死亡した。甲状腺髄様癌は全甲状腺癌の3~5%を占めると推定されているが、2010年の米国における発症数は約1,300~2,200人で、まれなタイプの甲状腺癌のひとつである。

甲状腺髄様癌でよくみられる症状には、咳、嚥下困難、甲状腺肥大、頸部腫脹、甲状腺の腫瘤、声の変化、嗄声がある。

バンデタニブは甲状腺髄様癌の増殖・拡大能を標的にする。現在、このタイプの癌に対してFDAが承認した治療薬はない。バンデタニブは毎日、経口投与される。

バンデタニブの安全性と有効性は、後期甲状腺髄様癌患者331人を対象にして行われた1件の国際的なランダム化試験によって確立された。試験参加者はバンデタニブかプラセボ(糖錠)のどちらかの投与を受けるよう選別された。

この試験は、患者の癌が進行することなく生存する期間(無増悪生存期間)を測定するようデザインされた。バンデタニブを投与された患者は、プラセボを投与された患者と比較すると、癌が進行しない期間が長かった。無増悪生存期間の中央値は、プラセボ投与群16.4カ月、バンデタニブ投与群22.6カ月以上であった。バンデタニブ投与患者の無増悪生存期間中央値を確定したり、プラセボ投与患者より生存期間(全生存期間)が長いと判定するのは時期尚早である。

「バンデタニブの承認は、治療困難な稀少疾患の治療薬の承認に対するFDAの真剣な取り組みをはっきりと示している」と、FDA医薬品評価研究センター抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師は語った。

バンデタニブの服用で多く生じる副作用は、下痢、発疹、悪心、高血圧、頭痛、倦怠感、食欲不振、胃痛(腹痛)などである。臨床試験で報告された重篤な副作用により、バンデタニブ投与を受けた患者5人が死亡した。死因は、呼吸器合併症、心不全、血液中の細菌感染(敗血病)などであった。

バンデタニブで、死亡につながりかねない不整脈を引き起こし得る心臓の電気活動への影響が示された。バンデタニブは、このような重篤な心臓関連リスクについて医療従事者に通知するリスク評価・軽減戦略(REMS)プログラムつきで承認されている。薬剤配布制約プログラムであるバンデタニブREMSプログラムを通じて資格を得た医療従事者や薬剤師のみが、バンデタニブを処方し調剤することができる。患者は潜在的リスクを記したFDA承認医薬品ガイド(FDA-approved Medication Guide)も受け取る。

バンデタニブは、デラウェア州ウィルミントンにあるアストラゼネカ社が販売している。今のところ、バンデタニブの商品名は未定である。

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窪田 美穂 訳
金田 澄子 (薬学) 監修 
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原文

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