米国のメンソールタバコおよびフレーバー付き葉巻禁止法案をAACRが賞賛

米国がん学会(AACR)は、米国食品医薬品局(FDA)タバコ製品センターが、メンソールタバコおよびフレーバー付き葉巻の製造、流通、販売を禁止する2件のタバコ製品規制案を発表したことに強く賛同する。今回のFDAの行動は、タバコ関連のがん抑制と健康格差の対処に向けて重要である。

AACRの最高経営責任者であるマーガレット・フォッティ(Margaret Foti, PhD, MD (hc) )名誉医学博士は、次のように語った。「今日の発表は、Cancer Moonshotの取り組みの再活性化と、今後25年間でがん死亡率を50%以上低下させるという目標達成に向けた政権の計画においてきわめて重要な要素です。喫煙は、米国および世界各国において予防可能な死亡の主因であり、喫煙による死亡や疾病の負担軽減を目標とした、根拠に基づくタバコ規制政策の策定をAACRは強く支持します。メンソールタバコが公衆衛生に有害な影響を及ぼすことを示す科学的根拠に沿って、AACRは、メンソールフレーバーを特徴的フレーバーとしてタバコやその他の燃焼式タバコ製品に添加することを禁止するFDA案を強く支持します」。

メンソールやその他フレーバーにより、喫煙開始者が増加し、禁煙は困難となり、ニコチン曝露量はきわめて高くなることが多くの研究で示されている。メンソールタバコで喫煙を開始した若者は、非メンソールタバコで喫煙を開始した若者よりも日々の喫煙習慣が確立されやすく、またメンソールタバコを喫煙する青少年は、非メンソールタバコを喫煙する青少年よりもニコチン依存症の有病率が高く、ニコチン中毒がより重い。

さらに、アフリカ系アメリカ人はメンソールフレーバータバコを喫煙する傾向が高く、それによる危害を不釣り合いに被っている。また、メンソールタバコを喫煙するアフリカ系アメリカ人は、非メンソールタバコを喫煙するアフリカ系アメリカ人よりも禁煙が成功しにくい。メンソールフレーバータバコを禁止することは、この集団においてタバコ関連の害を減らす重要なステップとなり、さらに若者を含めたアフリカ系アメリカ人を標的とする長年のタバコ産業の販売戦略を抑制することとなるであろう。

イェール大学がんセンター臨床副部長、イェール大学医学部トランスレーショナルリサーチ副学部長、AACR科学政策・政府問題委員会委員長であるRoy S. Herbst医学博士は次のように語った。「私は、メンソールタバコに対するFDAの本日の重要な発表に称賛の意を表します。この発表によって、何千人もの命が救われ、多くの人々ががんにならずに済むと推測されます。AACRは、ほぼ10年にわたりメンソールタバコ禁止を提唱してきました、本製品規制がまとまるまでわれわれは行動し続けます」。

日本語記事監修 :高濱隆幸(腫瘍内科・呼吸器内科/近畿大学病院 ゲノム医療センター)

翻訳担当者 平 千鶴

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