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イマチニブ治療後GISTに対するリプレチニブはスニチニブと同等の効果で副作用が少ない

ASCOエキスパートの見解

「この大規模な第3相臨床試験では、イマチニブによる治療で増悪した消化管間質腫瘍に対して、スニチニブと比較してリプレチニブの優越性は認められませんでした。リプレチニブでは、高血圧、手足皮膚反応、好中球減少の発生率が低く、副作用のプロファイルはより良好であったと認識することは重要です。これは、治療の選択肢を検討する際に、患者さんにとって重要な要素となります」―ASCO消化器がんエキスパート Muhammad Shaalan Beg医師

イマチニブによる治療で、増悪または不耐を示した進行消化管間質腫瘍 (GIST) 患者において、リプレチニブの有効性はスニチニブと同等であった。このINTRIGUE試験の結果は、米国臨床腫瘍学会(ASCO)プレナリーシリーズの1月セッションにて発表された。

GIST患者では、約80%でKITの一次変異がみられる。イマチニブはKIT変異を有するGIST患者に対して有効であるが、ほとんどのGIST患者において最終的にイマチニブに耐性を示すようになり、その原因の多くはKITの二次変異によるものである。スニチニブはイマチニブに耐性を示した一部の変異に対して有効である。

今回の国際多施設共同試験には22か国122の施設が参加し、453人の患者がリプレチニブ群(226人;うち163人にエクソン11変異有り)またはスニチニブ群(227人;うち164人にエクソン11変異有り)にランダムに割り付けられた。

・全体で無増悪生存期間中央値(mPFS)は、リプレチニブ群で8カ月、スニチニブ群で8.3カ月であった。KITエクソン11一次変異がある患者の無増悪生存期間中央値は、リプレチニブ群で8.3カ月、スニチニブ群で7カ月であった(ハザード比 [HR] 0.88、p=0.360)。

・全体の客観的奏効率はリプレチニブ群で21.7%(49人)、スニチニブ群で17.6%(40人)であった。KITエクソン11一次変異がある患者での客観的奏効率は、リプレチニブ群で23.9%(39人)、スニチニブ群で14.6%(24人)であった。 

リプレチニブの忍容性は一般的に良好であった。リプレチニブ群でのグレード3/4の有害事象の発生は、スニチニブ群と比較すると少数であった(41.3%対65.6%)。スニチニブ投与患者はリプレチニブ投与患者に比べ、グレード3の高血圧が3倍(26.7%対8.5%)、グレード3の手足症候群(手のひらや足の裏に発赤、腫脹、水疱を生じることがある、抗がん剤治療の副作用)が7倍多くみられた(10%対1.3%)。皮膚疾患のQOL評価 (DLQI:Dermatology Life Quality Index)で測定したところ、生活に中程度~極めて大きい影響があった患者は、リプレチニブ群の方が少なかった。治療中、仕事や余暇活動を行う能力が低下した患者も、リプレチニブ群の方が少なかった。

「INTRIGUE試験では、主要評価項目である無増悪生存期間の改善には至らなかったものの、リプレチニブとスニチニブの有効性は同等であることが分かりました。リプレチニブのスニチニブに対する優越性はGISTの二次治療ではみられませんでしたが、四次治療やそれ以降に使用する薬剤としてリプレチニブは優れた作用が認められ、それらの段階での治療における唯一の薬剤としてFDAに承認されています」と、筆頭著者であるMichael C. Heinrich医師(FACP:米国内科学会フェロー)は述べる。「私達の目標は、本研究の結果全てを腫瘍に関わる業界に提供し、担当医師が十分な情報のもとに進行GIST患者さんにとって最良の治療の決定ができるようにすることです」。

2022年1月ASCOプレナリーシリーズより: INTRIGUE: イマチニブによる治療歴を有する進行消化管間質腫瘍患者を対象に、リプレチニブとスニチニブの有効性と安全性を評価した第3相ランダム化非盲検試験 Michael C. Heinrich他 

抄録ならびに詳細情報は原文を参照のこと。

抄録番号 359881:INTRIGUE:イマチニブによる治療歴を有する進行消化管間質腫瘍患者を対象に、リプレチニブとスニチニブの有効性と安全性を評価した第3相ランダム化非盲検試験 

著者:Michael C. Heinrich、Robin Lewis Jones、以下原文ページ参照

背景:スニチニブは、進行消化管間質腫瘍においてイマチニブが奏効しなかった後の薬剤として承認されている。リプレチニブは、KITおよびPDGFRAのスイッチ制御を行う広域スペクトルチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)で、イマチニブなど3種類以上のチロシンキナーゼ阻害薬による治療歴がある成人GIST患者の治療の適応となっている。本試験では、イマチニブによる治療で増悪または不耐を示した進行GIST患者におけるリプレチニブとスニチニブの有効性と安全性を比較した。

方法:この多施設共同国際ランダム化非盲検第3相試験(NCT03673501)では、イマチニブによる治療で増悪または不耐を示した成人GIST患者を登録した。患者は、リプレチニブ群(1日1回150mgを投与する群)またはスニチニブ群(1日1回50mgを4週間投与後2週間休薬する群)に1:1でランダムに割り付けられた。KIT変異の有無とイマチニブ不耐によって層別し、ランダム割付を行った。主要評価項目は、改変したRECISTバージョン1.1を基準とした独立放射線画像評価(IRR)による無増悪生存期間(PFS)とした。重要な副次評価項目は、IRRによる客観的奏効率(ORR)と全生存期間であった。主要評価項目および重要な副次評価項目は、事前に規定された順序で階層的に検定を行った:KITエクソン11に一次変異を有する患者(エクソン11 intention-to-treat[ITT]集団)は、全患者のITT集団より先に検定を実施した。データカットオフは2021年9月1日で、無増悪生存期間と客観的奏効率の最終解析と、全生存期間の初回中間解析を行った。

結果:計453人の患者をリプレチニブ群(226人;エクソン11変異を有するITT集団は163人)またはスニチニブ群(227人; エクソン11変異のあるITT集団は164人)にランダムに割り付けた。年齢中央値は60才(18~88才)で、患者の多くは白人(66.2%)男性(62.0%)であった。無増悪生存期間は、リプレチニブ群とスニチニブ群で、エクソン11変異を有するITT集団(ハザード比 [HR] 0.88、95% CI 0.66、1.16; P=0.36;中央値8.3カ月対7.0カ月) または全患者のITT集団 (ハザード比 1.05、95% CI 0.82、1.33;P=0.72;中央値 8.0カ月対8.3カ月)において統計的な有意差はなかった。リプレチニブ群のスニチニブ群に対する客観的奏効率は、エクソン11変異を有するITT集団(23.9%対14.6%;差9.3%、95% CI 0.7、17.8;名目上のp値=0.03)または全患者のITT集団(21.7%対17.6%;差4.2%, 95% CI -3.2、11.5;名目上のp値=0.27)において数値的に高かった。全生存期間については追跡期間が極めて不十分で、OS中央値は両群で未達であった。グレード3/4の治療関連有害事象(TEAEs)の発現は、リプレチニブ群の方がスニチニブ群(41.3%対65.6%)よりも少なかった。両群間で5%以上の差が認められたグレード3/4の治療関連有害事象は、リプレチニブ群の方がスニチニブ群よりも少なかった(高血圧[8.5%対26.7%]、手掌足底発赤知覚不全「1.3%対10.0%」、好中球減少症[0%対6.3%]、好中球数減少[0%対7.2%])。 

結論:両群において、無増悪生存期間はスニチニブの有効性を示した過去の第3相試験でスニチニブが達成した無増悪生存期間よりも長かった。リプレチニブによる治療は主要評価項目である無増悪生存期間のスニチニブに対する優越性の基準を満たさなかったが、意義のある臨床効果を示し、グレード3/4のTEAEは少なかった。

翻訳担当者平沢沙枝

監修中村能章(消化管悪性腫瘍/国立がん研究センター東病院 消化管内科)

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