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間接喫煙:Q&A

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間接喫煙:Q&A

間接喫煙と癌   原文日時:2011112 

キーポイント

・間接喫煙は、環境タバコ煙(ETS)、不随意喫煙および受動喫煙とも呼ばれていて、火のついたタバコや葉巻、キセルの先から生じる煙と喫煙者から吐き出される煙を合わせたもののことです。(Question 1参照)
・間接喫煙の煙には69以上の発癌物質が含まれています。(Question 3参照)

・非喫煙者における肺癌の原因になります。(Question 4参照)
・成人における心臓病、乳児突然死症候群、小児の耳感染や喘息発作などとも関連があります。。(Question 5参照))

・間接喫煙曝露の安全とされる濃度はありません。(Question 6参照)

1. 間接喫煙とは何ですか?

間接喫煙は環境タバコ煙(ETS)、不随意喫煙や受動喫煙も呼ばれていて、副流煙(タバコ製品が燃えることにより生じる煙)と主流煙(喫煙者が吐き出す煙)とを合わせたも ののことです(1、2、3、4)。間接喫煙は非自発的喫煙または受動喫煙とも呼ばれています。人は家や車の中、職場やバーやレストラン、その他の娯楽施設 といった公共の場で間接喫煙にさらされています。米国ではほとんどの間接喫煙の原因はタバコで次に葉巻その他のタバコ製品が挙げられます(4)。

タバコ製品から発生する煙の量は、燃えるタバコの量によって決まります。1本の大きい葉巻から出る間接喫煙の量は、タバコ1箱から排出される煙と同じです。

2.間接喫煙への曝露はどのように測定されるのですか?

間接喫煙への暴露は室内の空気中のニコチンまたはその他の煙成分を検査することによって測定されます。間接喫煙への曝露は非喫煙者の血液、唾液または尿中のコチニ ン(体内のニコチン副産物)の濃度を測定することにより検査することができます(1)。ニコチン、コチニン、一酸化炭素およびその他の喫煙関連の化学物質が間接喫煙に曝露した非喫煙者の体液中に見られます。

3.間接喫煙には有害化学物質が含まれていますか?

含まれています。間接喫煙によるタバコ煙で確認された7000種類以上の化学物質のうち少なくともシアン化水素、一酸化炭素やアンモニアといった250種類が有害であるとわかっています。

間接喫煙における有害化学物質の少なくとも69種類が癌を引き起こすとされています(1,5,6)。これらの化学物質は以下の通りです:

  • ヒ素(重金属毒素)
  • ベンゼン(ガソリン中にある化学物質)
  • ベリリウム(有毒金属)
  • 1,3-ブタジエン(有害ガス)
  • カドミウム(乾電池に使用される金属)
  • クロム(金属)
  • 酸化エチレン(医療器具の殺菌に使用する化学物質)
  • ニッケル(金属の成分)
  • ポロニウム-210(放射能を発する化学成分)
  • 塩化ビニール

 

間接喫煙において癌の原因となることが疑われるその他の有害化学物質は以下の通りです(1)。

  • ホルムアルデヒド
  • ベンゾピレン
  • トルエン

間接喫煙において影響を及ぼす化学物質は、タバコの種類やタバコに添加されている化学物質、また喫煙の方法、巻きタバコやや葉巻に関しては巻いている紙の種類などにより様々です。(1、3、4) 。

4.間接喫煙への曝露は癌の原因になりますか?

なります。米国環境保護局(EPA)、米国毒性学プログラム(NTP)、米国公衆衛生局長および国際癌研究機関(IARC)らはすべて間接喫煙をヒトに対して知られている発癌物質(癌を引き起こす物質)に分類しています(1、3、5、7)。

間接喫煙は非喫煙者の成人の肺癌の原因となります(4,5)。米国では間接喫煙の結果毎年約3000人の非喫煙者が肺癌により亡くなっています(2) 。米国公衆 衛生局長は、非喫煙者が喫煙者と同居することにより肺癌になる確率が20%から30%くらい上昇すると見積もっています(4)。

ある研究ではまた間接喫煙が成人における乳癌、鼻腔癌、鼻咽頭癌、そして小児における白血病、リンパ腫、脳腫瘍のリスクを高める可能性があると示唆しています(4)。間接喫煙とこれらの癌との関連があるかどうかを知るにはさらに研究を行う必要性があります。

5.間接喫煙に関するその他の健康問題は何ですか?

間接喫煙は非喫煙者の成人および小児における疾患および早世と関連があります(4、5)。間接喫煙への曝露は気道に直接刺激を与えることで、心臓や血管に即時 的に有害な影響を与えます。それにより、。心臓疾患のリスクが約25%から30%上昇する可能性があります(4)。米国では間接喫煙が毎年46,000例 の心臓疾患による死亡の原因になっていると考えられています(8)。間接喫煙と脳卒中および動脈硬化には関連性があるとも言われていますが、こういった関 連性を確認するためにはさらなる研究が必要です。

間接喫煙に曝露した小児においては乳児突然死症候群(SIDS)、耳感染、風邪、肺炎、気管支炎およびより重篤な喘息などのリスクが上昇します。間接喫煙に曝露すると小児の肺の成長が遅れ、咳、ぜん鳴、息苦しさなどを引き起こすことがあります(4, 5)。

6.間接喫煙の安全濃度とは?

間接喫煙への曝露に関する安全な濃度はありません。低濃度の間接喫煙曝露ですら有害になり得ます。非喫煙者を完全に間接喫煙への 曝露から守る方法は、室内から完全にタバコ及びタバコの煙を排除することです。喫煙者を非喫煙者から隔離する、空気清浄を行う、建物を換気するといった方 法では間接喫煙への曝露を完全に排除することはできません(4)。

7.非喫煙者の間接喫煙を減らすためにどのようなことが行われていますか?

国レベルでは、公共の場における喫煙を制限するいくつかの法律が施行されています。連邦法では国内線、米国と外国間のほとんど全ての国際線、州間運行バスおよびほとんどの列車で喫煙が禁止されています。またほとんどの連邦政府のビルでは禁煙となっています。1994年に施行されたPro-Children法では連邦政府が資金を出す子供に対するサービスが定期的に行われる施設は禁煙となっています。

 

多くの州や自治体で学校、病院、空港、バスターミナル、公園、浜辺といった公共の場およびレストランやバーも含む民間の職場における喫煙を制限する法律が施行されています。中には集合住宅や車の中での喫煙を規制する法律を施行させた州もあります。州の半数以上では州レベルで職場における禁煙が施行されています。

 

米国国立衛生研究所の一部である国立癌研究所は、間接喫煙による健康被害を強調するため、会議などを行う場所は、特別な事情によりこのポリシーに対する例外が正当化されない限り、禁煙となっている州、郡や市町村に限るようにしています。さらに情報が必要な場合はインターネットで http://meetings.smokefree.gov/ を参照してください。

 

米国保険社会福祉省(DHHS)のHealthy People 2020は包括的、全国的な健康促進および疾患防止のためのなかで、タバコの使用や間接喫煙曝露に関連した疾患、障害および死亡を減少させることを目標としています。現在、ほとんどのアメリカ人が間接喫煙に曝露しており、子供たちがもっとも大きな危険にさらされています。2020年に向けた目標は、間接喫煙に曝露する人の割合を10%削減することです。Healthy People 2020は、この目標達成を援助するため職場や公共の場における禁煙導入を促進するといったコミュニティーの介入に関するアイデアも含んでいます。

Healthy People 2020についてのさらに詳しい情報は、インターネットでhttp://www.healthypeople.gov/を参照してください。

国際的にも禁煙を施行する国が増えており、フランス、アイスランド、ニュージーランド、ノルウェーそしてウルグアイといった国々でバーやレストランを含む全ての職場で禁煙が義務付けられています。

 

 

参考文献 

  1. National Toxicology Program. Report on Carcinogens. Eleventh Edition. U.S. Department of Health and Human Services, Public Health Service, National Toxicology Program, 2005. 
  2. National Cancer Institute. Cancer Progress Report 2003. U.S. Department of Health and Human Services, Public Health Service, National Institutes of Health, 2004. 
  3. International Agency for Research on Cancer. Tobacco Smoke and Involuntary Smoking. Lyon, France: 2002. IARC Monographs on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans, Vol. 83. 
  4. U.S. Department of Health and Human Services. The Health Consequences of Involuntary Exposure to Tobacco Smoke: A Report of the Surgeon General. Rockville, MD: U.S. Department of Health and Human Services, Centers for Disease Control and Prevention, Coordinating Center for Health Promotion, National Center for Chronic Disease Prevention and Health Promotion, Office on Smoking and Health, 2006. 
  5. U.S. Department of Health and Human Services. How Tobacco Smoke Causes Disease: The Biology and Behavioral Basis for Smoking-Attributable Disease: A Report of the Surgeon General. Atlanta, GA: U.S. Department of Health and Human Services, Centers for Disease Control and Prevention, National Center for Chronic Disease Prevention and Health Promotion, Office on Smoking and Health, 2010. 
  6. National Cancer Institute. Health Effects of Exposure to Environmental Tobacco Smoke. Bethesda, MD: National Cancer Institute; 1999. Smoking and Tobacco Control Monograph 10. 
  7. U.S. Environmental Protection Agency. Respiratory Health Effects of Passive Smoking (Also Known as Exposure to Secondhand Smoke or Environmental Tobacco Smoke—ETS). U.S. Environmental Protection Agency, 1992. 
  8. California Environmental Protection Agency, Office of Environmental Health Hazard Assessment. Proposed Identification of Environmental Tobacco Smoke as a Toxic Air Contaminant: Part B Health Effects, 2005.

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NCI関連資料およびウェブサイト

  (日本語訳)「ライト」たばこの真実: https://www.cancerit.jp/4822.html 

 

問い合わせについ

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(西川百代 訳・武田裕里子 監修)

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