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パクリチニブは、骨髄抑制のリスクを引き起こすことなく、骨髄線維症の治療に有効な可能性

キャンサーコンサルタンツ

治験薬パクリチニブ[pacritinib]は、骨髄抑制のリスクを引き起こすことなく、骨髄線維症に対し活性を示すと思われる。骨髄抑制は、骨髄線維症をはじめとする骨髄増殖性腫瘍(MPN)の治療に用いられる多くの薬剤にみられる副作用である。パクリチニブを開発しているCTIバイオファーマ社とバクスター社は、第3相PERSIST-1試験で得られた試験結果を発表した。

 

骨髄線維症は骨髄増殖性腫瘍として知られる血液がんのひとつである。血球を生成する骨髄細胞の形成異常と機能異常を伴い、骨髄内で瘢痕組織を形成する。骨髄線維症は貧血、脾臓や肝臓の腫大、疲労などの問題を引き起こすことがあり、骨髄線維症患者の中には、急性骨髄性白血病に進行する人もいる。

 

JAK1およびJAK2として知られるたんぱく質が、異常な数の血球を生成させることにより、骨髄線維症など骨髄増殖性腫瘍(MPN)の発生に関与していると思われる。このような疾患に伴い増加した血球数を減少させることによりJAK1およびJAK2の働きを抑制する薬剤が、さまざまなMPN治療に使用されている。しかし、JAK1/JAK2阻害剤は、骨髄の血球産生の過度な抑制、すなわち骨髄抑制をもたらすことがあり、患者の健康と生活の質に悪影響を及ぼしかねない。

 

パクリチニブは骨髄線維症に対して、JAK2キナーゼおよびFLT3として知られるキナーゼを阻害することにより腫瘍の発現を抑えるようデザインされている。他のJAK阻害剤と異なり、パクリチニブは骨髄抑制を引き起こすことがないため、安全性と効果が確認されれば、患者にとって有効な薬剤になりうる。

 

研究者らは、パクリチニブを投与した患者と、best available therapy(現状で利用可能な最良治療;以下BAT)で治療した患者を比較し、骨髄線維症に対するパクリチニブの抗腫瘍効果を測定した。研究者らは、脾臓サイズ(脾臓の腫大は骨髄線維症の症状のひとつである)のモニタリングを実施し、各治療法を評価した。治療開始から6カ月の時点で、全患者の脾臓サイズを測定したところ、BAT群と比較してパクリチニブ投与群のほうが、多くの患者で35%以上の脾臓縮小が認められ、より重症化した患者に、最も有意な効果が得られた。さらに、本試験に登録し、定期的な赤血球輸血を必要としていた患者の多くが、パクリチニブ投与後、輸血を中止できるまでになっていた。パクリチニブの有益性が認められ、BAT群の79%がパクリチニブによる治療への移行を許可されるほどであった。

 

試験担当者らが、それ以前の研究と比較して、パクリチニブによる新たな副作用情報を見出すことはなかった。これは、副作用により治療を中断しなければならない患者は、ほとんどいなかったことを示唆するものだった。

 

パクリチニブは骨髄線維症患者にとって非常に有望な治療薬になると思われる。疾病に対して活性を示すだけでなく、骨髄抑制のリスクを伴わないため、従来の方法では治療選択肢がなくなってしまったような患者にとって効果的な治療薬となるであろう。

 

参考文献:
CTI BioPharma and Baxter Announce Positive Top-Line Results from Phase 3 Persist-1 Trial Of Pacritinib for Patients with Myelofibrosis [press release]. CTI BioPharma website. Available at: http://investors.ctibiopharma.com/phoenix.zhtml?c=92775&p=RssLanding&cat=news&id=2023690. Accessed March 17, 2015.

 


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翻訳萬田美佐

監修佐々木裕哉(血液内科、血液病理/久留米大学病院)

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