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OncoLog 2014年2月号◆包括的禁煙治療プログラムによる癌患者の禁煙支援

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OncoLog 2014年2月号◆包括的禁煙治療プログラムによる癌患者の禁煙支援

MDアンダーソンがんセンター月刊OncoLog誌2014年2月号

MDアンダーソン OncoLog 2014年2月号(Volume 59 / Number 2)

 Oncologとは、米国MDアンダーソンがんセンターが発行する最新の癌研究とケアについてのオンラインおよび紙媒体の月刊情報誌です。最新号URL

 

包括的禁煙治療プログラムによる癌患者の禁煙支援

喫煙習慣を断ち切るのは難題である。癌と診断された後はストレスが大きく、禁煙はさらに困難となる。

 

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの画期的プログラムは、喫煙癌患者が完全に禁煙できるようさまざまな治療戦略を提供している。

 

「癌の診断後に禁煙した患者の方が予後良好という証拠がわずかながら増えてきています」とPaul Cinciripini博士(行動科学部門教授・禁煙治療プログラム長)は述べた。

 

喫煙癌患者に禁煙は恩恵があるという理論に基づき、MDアンダーソンの禁煙治療プログラムが2006年に創設された。本プログラムは、MDアンダーソンの喫煙患者または禁煙間もない患者が無料で利用可能であり、包括的な治療法を取り入れ、一人一人のニーズを最大限満たすようさまざまな方法との組み合わせが可能なカウンセリングメニューや薬物治療を提供している。本プログラムは、MDアンダーソン職員とその配偶者および27歳以下の子弟も利用可能である。

 

カウンセリングと薬物治療

心理社会的介入とカウンセリングが禁煙治療プログラムの基本の柱である。禁煙治療プログラムでは6名の常勤カウンセラーと2名の臨床心理士がカウンセリングを行っている。Vance Rabius博士(行動科学部門教官・禁煙治療プログラム指導者)は「カウンセリングには、まだ禁煙を決断していない参加者への動機づけや禁煙に苦戦している参加者との面談、禁煙に対する障害についての相談、禁煙または禁煙維持のための計画作成などがあります」と述べた。

 

                         MDアンダーソンがんセンター禁煙治療プログラム

患者コホートの禁煙率
解析方法 3カ月 6カ月 9カ月
  患者数/禁煙率 患者数/禁煙率 患者数/禁煙率
回答があった症例のみ* 2,479/45% 2,282/47% 2,085/47%
治療意図に基づく解析(intent-to-treat)群+ 2,779/40% 2,779/38% 2,779/35%

*「回答があったのみ」群の解析では、追跡データがない参加者は除外した。
+「治療意図に基づく(intent-to-treat)解析」では、追跡データがない参加者は喫煙を再開したとみなした。
参考文献:テキサス大学MDアンダーソンがんセンター禁煙治療プログラム年次報告書2012年9月1日~2013年8月31日

 

Dr.Rabius氏は、参加者のほとんどは6回~8回のカウンセリングを受けるが、その回数は変更可能と語った。必要回数決定の主導権は参加者が握る。現場での対面カウンセリングが理想だが、本プログラムでは電話やテレビカウンセリングも実施している。

 

薬物治療は禁煙治療プログラムのもう一つの重要な柱であり、喫煙者の禁煙成功割合を約2倍にする。Dr.Cinciripini氏は「薬物治療が禁煙維持と喫煙再開という違いを生むことがよくあるのです」と述べた。

 

禁煙治療プログラムでの薬物治療には、ニコチン置換療法、ブプロピオン、バレニクリン単独あるいは併用による治療がある。これらの薬は副作用が異なるため、治療は各患者のニーズに合わせ選択される。

 

最近の研究

現在8年を迎え、禁煙治療プログラムは研究や評価活動を広げている。調査分野の1つは、この禁煙治療グログラムでの包括的治療による禁煙率が、より広く行われている教育に基づいたプログラムの禁煙率にどれくらい匹敵するかを検討することである。

 

禁煙治療プログラムは、地域社会での将来的な有用性についても研究されている。本プログラムは、現在、精神疾患患者や多量のアルコール摂取者を対象に包括的治療法の有効性を調査する臨床試験への参加者の登録中である。この研究への参加者がMDアンダーソンの患者である必要はない。

 

もう一つの研究分野は、禁煙治療プログラムに参加した癌患者の予後である。「われわれのプログラムは、過去に遡りこれまでに治療した患者カルテを入念に調べ、患者がその後どうしているかの調査に十分な年数を満たしています」とDr.Cinciripini氏は述べた。

 

禁煙治療プログラムの研究者らはまた、肺癌患者を対象とし、禁煙治療プログラムによる癌の治療効果、生活の質、生存への効果を判定する前向き研究を間もなく開始する予定だ。

 

Dr. Cinciripini氏は、世界中にある他のがんセンターが、集約的な個別化禁煙治療プログラムにより癌患者の生存や生活の質に、実際に差が生じるかどうかの結果を待ち望んでいるだろう、とつけ加えた。彼は「ここで起きることは、あらゆる地域の癌患者や喫煙者に影響を与える可能性があります」と述べた。

 

【引用部分訳】

癌の診断後に禁煙した癌患者の方が予後良好という証拠がわずかながら増えてきています。— Dr. Paul Cinciripini氏

— Kathryn L. Hale

 

The information from OncoLog is provided for educational purposes only. While great care has been taken to ensure the accuracy of the information provided in OncoLog, The University of Texas MD Anderson Cancer Center and its employees cannot be held responsible for errors or any consequences arising from the use of this information. All medical information should be reviewed with a health-care provider. In addition, translation of this article into Japanese has been independently performed by the Japan Association of Medical Translation for Cancer and MD Anderson and its employees cannot be held responsible for any errors in translation.

OncoLogに掲載される情報は、教育的目的に限って提供されています。 OncoLogが提供する情報は正確を期すよう細心の注意を払っていますが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターおよびその関係者は、誤りがあっても、また本情報を使用することによっていかなる結果が生じても、一切責任を負うことができません。 医療情報は、必ず医療者に確認し見直して下さい。 加えて、当記事の日本語訳は(社)日本癌医療翻訳アソシエイツが独自に作成したものであり、MDアンダーソンおよびその関係者はいかなる誤訳についても一切責任を負うことができません。

原文掲載日

翻訳佐々木亜衣子

監修久保田 馨(呼吸器内科/日本医科大学付属病院)

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