2012/11/27号◆”科学的根拠に基づくがん検診”特別号-7「インサイドNCI:癌検診についてDr. Barry Kramer氏は語る」 | 海外がん医療情報リファレンス

2012/11/27号◆”科学的根拠に基づくがん検診”特別号-7「インサイドNCI:癌検診についてDr. Barry Kramer氏は語る」

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2012/11/27号◆”科学的根拠に基づくがん検診”特別号-7「インサイドNCI:癌検診についてDr. Barry Kramer氏は語る」

米国国立がん研究所(NCI)キャンサーブレティン

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NCI Cancer Bulletin2012年11月27日号(Volume 9 / Number 23)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~
PDFはこちらからpicture_as_pdf
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この記事は、NCI Cancer Bulletin2011年1月11日号に掲載されたものです。
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インサイドNCI:がん検診についてDr.Barry Kramer氏は語る

NCIのPDQ(Physician Data Query)検診・予防編集委員会の編集長が、現在行われている有効ながん検診の種類、および時にがん検診に伴うリスクについて語る。

 

 

【You Tubeスクリプト訳】

Rick Manrow氏:今週のインサイドNCIにようこそ。NCIコミュニケーション・教育室のRick Manrowです。今週は、Dr. Barry Kramer氏です。Kramer氏はNIH疾病予防局の前副局長であり、現在はNCIのPDQのがん検診および予防委員会の主幹を務められています。ようこそ。ご出演いただきありがとうございます。

Barry Kramer氏:お招きいただきありがとうございます。

Manrow氏:ランダム化比較試験は、医療介入を評価するうえで最高のエビデンスとなります。 広く一般的に用いられているがん検診のうち、ランダム化比較試験で癌の死亡率が低下するまたは死亡者数を減らすと判明したのはどれで、そうではないのはどれでしょうか?

Kramer氏:不利益より利益が勝る検診が首尾よく行われている癌はいくつかあります。 子宮頸部細胞診は、明らかに子宮頸癌による死亡リスクを減らします。 それ以外の試験で、明確に利益が不利益を上回ったのは、便中の潜血を調べる検査です。 これは便潜血検査(FOBT)と呼ばれています。4つの試験で参加者をFOBT群と対照群に無作為に割つけて調査したところ、大腸癌による死亡リスクが減少したことが示されました。 最近では、歴史に残る試験が行われました。イギリスで実施された60cmの軟状S状結腸鏡検査によるランダム化試験で、大腸癌による死亡リスクが減少するという結果がちょうど発表されたところです。

Manrow氏:マンモグラフィ検診についてはいかがお考えですか?

Kramer氏:マンモグラフィも有効な検査として確立されたものです。 これまで実施された7〜8の試験結果から、有効性に関しては議論の余地はないと思います。 目下の論点は、特定の年代におけるリスク/利益率に集中しています。

Manrow氏:がん検診について社会へ発信されるメッセージは、どれもこれも、検診で癌を早期発見すると命拾いできるというものばかりです。しかしこれは必ずしも真実とは言えないですよね?

Kramer氏:あまりにも多くのキャンペーンCMで、非常に複雑な情報を簡略化しすぎた メッセージにして伝えていますが、検診の領域はそのようなキャンペーンには向いていません。 検診結果は、もっと微妙なものであることが多いのです。 さらに、全ての検診には不利益が潜んでいます。

Manrow氏:一般的に、がん検診に関する不利益をいくつかご紹介いただけますか?

Kramer氏:がん検診を受けると7つのことが起こるとよく言われています。5つが悪いことで、2つが良いことです。もちろん2つの良いこととは、治療が軽くなること、そして、癌による死亡リスクが減少することです。 それと引き換えに、検診のマイナス面にさいなまれる人もでてきます。 検診は、症状が無い人の早期癌を診断することを目的としています。そして、その結果、雇用や保険などにおいては人々を差別化する可能性があります。 マイナス面には、さらに、偽陽性があります。 癌はかくも恐ろしい病気であるため、偽陽性により健康な人が癌であるかもしれないと示された場合、非常な不安を生じ多くの精密検査を行うことになりえます。 また偽陰性の場合もあります。これは、癌があるにもかかわらず見逃される可能性があるということです。 ありふれているわけではないが最も深刻な不利益は、過剰診断と言われる現象です。検診によって陽性とされた癌患者に過剰診断が起こりえます。発見された癌の進行がとても遅く、もし検診を受けていなければ見つかることもなく患者の生涯において決して悪影響を及ぼさなかったと考えられる場合です。 それにもかかわらず、過剰診断は侵襲的な検査や治療、時には体を傷める大手術、放射線、化学療法などを惹き起こします。

Manrow氏:最後に、癌検診を考えている人に何か助言をお願いします。

Kramer氏:不利益の潜むまたは不利益が避けがたい医療処置を検討する場合には、すべての情報を知っておくことが常に最良です。 情報を得る一番の方法は何ですかと尋ねる人がいるかもしれません。NCIのPDQ (Physician Data Query)[サイト注:日本語訳は「がん情報サイト」)にて閲覧可能]は、患者と医療者の両者にとって素晴らしい情報源だと思います。PDQには、一般に宣伝されているスクリーニング検査のほぼ全てが記述されています。 自己決定をする際に非常に有益なもう一つの情報源は、米国医療研究品質局(AHRQ)の米国予防医療作業部会(USPSTF)と呼ばれる部署から得られます。 ここは、予防と検診について非常に幅広く網羅しています。

Manrow氏:本日はご出演いただき本当にありがとうございました。 とても興味深く有意義なお話しの数々でした。 がん検診とPDQについてのより詳しい情報は、NCIのホームページをご参照ください。 Rick Manrowでした。

 

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野川恵子 訳
斎藤 博(消化器内科・検診/国立がんセンター がん予防・検診研究センター)監修
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原文掲載日

翻訳野川恵子

監修斎藤 博(消化器内科・検診/国立がんセンター がん予防・検診研究センター)

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